XLN Audio “XO Lite”

リズム音源兼シーケンサー兼サンプリング素材管理ソフトXOを導入後しばらくして、「今後のバージョンアップに関する意見募集」的なアンケートへの回答リクエストがあり、その項目の一つにあった「ライト版があればニーズはあると思うか?」との問いに、たしか、当時のXOで充分な機能が備わってるでなし、もし予定されているXOの機能拡充が大々的なものであるならライト版あってもいいかもね、程度にお答えしていたのですよ。
そして、件の XO Lite がついにリリース。

XOをまだ触ったことない人が「XO Lite出たよ」って言われても困りますよね。
今日は、既に愛用している立場から所感を記しておこうという記事になります。

XO - XLN Audio(機能比較表)
XO – XLN Audio(機能比較表)
  • まずマルチアウトがなくステレオアウトのみってのは、本気制作にとっちゃ致命的かもしれません。
    ソフト内での音色加工はある程度できるものの、充分とは言い難い。
    また、処理済みのオーディオデータやパーツごとのオーディオデータがLite版だと書き出せません。
    したがって、XO Liteで当面楽しむことはできても2,3ヶ月で限界を感じてしまう可能性があります。
  • 提供サンプル数(ファクトリーコンテンツ)は1/4と圧倒的に少ないのですが、何が削られているかによります。
    とはいえ既にユーザーがサンプルを大量に所有しているならばそれを放り込めばいいので、重大というほどでもなさそう。
  • ビートプリセットが1/2に削られてる点は、上記(ファクトリーコンテンツの減量)以上に、何が削られているかによりますね。
    面白さが伝わってくるプリセットのみがLite版に残されているとしたら、フル版にしたところでそんなに得した感じもしないでしょう。
  • ファイルフォーマットはそんなに気にするとこでもなし。
  • エクスポートの機能に関しては、先ほど書いたようにXOならではの部分であり、融通利くデータを曲中で扱うために重宝する機能だから、これが軒並み不可になっているのは相当もどかしいでしょう。

冷静に表を見て、フル版の20前後ある機能のうちライト版で使えるのが6つのみであるにも関わらず、フル版が約$180に対してライト版が約$120というのは、贔屓目を抜きにしても割に合わないと思います(ライトからフルへのアップグレードが約$70というのも考えどころ)。
もともとそれが狙いでライト版を高めの設定にしてるんでしょうけどね。

じゃあフル版が約$180の価値あるかというと、個人的にはもう少し機能の拡充が必要だと思っていて、自分はもう(セール時期にお得に)買って持っちゃってるからアップデート待つだけでいいけど、たとえば歪み系のインサートエフェクトやピッチエンベロープといったBatteryではふつうにできることだとか、AUX(BUS)でのトリートメントだとか、各ステム(パーツ)の名称変更や並べ替えといった整理機能、これが備わって納得価格と考えています。
路線が少し異なりますけど、昨日取り上げたDrumComputerみたいにエディット機能がかなりディープなものもありますからね。他の類似ソフトと比べての差別化というかアドバンテージ面はメーカーが感じてるほど大きくない気がします。

ただ、エディット機能をさておき、XOの機能として最大といっていい”似た種類の音にすぐ辿り着ける仕組み”は、もう他のサンプル管理システムを全部投げ捨てていいクオリティの代物(ライト版にも備わってる)だと思いますし、パーツのシーケンスフレーズをナッジできる仕組みも一度使ったら病みつきになり得る代物ですんで、これらの機能に対してユーザーがどれだけの価値を認めるのか次第なとこあります。
なのでデモ版を落としみるなら、この2つの機能が自身にとってどれだけ好都合かってとこを確かめてその上で必要かどうか判断されるのがよいかと思います。