Minimal Audio “Ripple Phaser” – いろいろ調整可能なフェイザー

Minimal Audio “Ripple Phaser”

えらく久しぶりの更新になりますが、Minimal Audioから予告通りRipple Phaserがリリースされています。Minimal Audioのサブスク使ってる人はフリーで手に入ります。

情報

  • Windows, macOS対応
  • VST, VST3, AU, AAX
  • 定価$49、イントロ価格$29

Currentユーザーの方はご存知のとおり、Currentに搭載されたエフェクトのスピンアウトみたいなもの。
既にCluster Delay, Hybrid Filter, Morph EQ, Swarm Reverb. Fuse Compressorがリリースされていて、今回Ripple Phaserがスピンアウトしたので、残るPolar Distortionもいずれ切り出されるのではないかと思います。

機能、操作感

Ripple Phaserはいうまでもなくフェイザー。
ノッチ数(=stage数?)が最大24(偶数/奇数両方OK)、MODEが7種(といっても奇抜なものがあるわけではない)、形状のコントロール2種(バランス調整可)、クロスフィードバック、モジュレーションにはランダマイザー(ステレオ同期On/Off)、モジュレーションLFO形状4種、モジュレーションのテンポ同期、出力リミッター(便利!)などが特徴的。
機能豊富って印象よりも、デフォルトで備わっていてほしい要素がきちんと搭載された使いやすいエフェクト。
一方で、典型的なギターエフェクター的なフェイザーを思い浮かべると、カラーがないというか、シンセっぽ過ぎるように聞こえる点は否めません。まあ、それはFlex ChorusやSwarm Reverbについても同様で、「便利ではあるけど、入力音との一体感を形成する目的で使うには少し力不足」な印象。

Feedback値を極端に上げて発振したようなサウンド(いわゆる土管)にした場合、SpreadやStereoの値を調整すると、Chorusでは難しい、ピーク位置の調整がある程度可能なキツいレゾネートが得られます。

シンセの内蔵エフェクトを切り出したものってせいもあるのでしょうけど、入力からのルーティング(エンベロープフォロー)を持たないのが残念なとこ。オートメーションするにしては面倒。Hybrid Filterはエンベロープフォローを活用できるんですけどね。

Ripple Phaser単体で面白いってよりは、同社製のエフェクトが一通り揃ってたほうが面白いと思います。
そういったとこで考えると、こうしてエフェクトがバラされてリリースされていくのも決して悪くはないんだろうけど、SerumFXやReason Rack、Kilohearts Multipassのように、付随要素を備えたラックがあって、そこに好きな順序、好きな数だけエフェクトを突っ込めるようになっているほうが、サウンドデザイン時にあくせくせずに済むんじゃないかなと。
特にエンベロープフォロワーのようにオーディオ入力に反応して信号として別途出力する仕組みをDAWはまだ備えてないので、それを補佐する機能はほしいとこ。