Unfiltered Audio製品を取り上げるのは2回目で、前回はBYOMEでした。
今回は TRIAD ってのが新登場して、そのデモ版のチェック。
要はマルチバンドマルチエフェクター
早い話がBYOMEをマルチバンドに対応させたものなので、マルチバンドコンプとしてでなく、マルチバンドマルチエフェクターとして見たほうがよさそうです。
BYOMEは入力全体に対して処理を加えるものだったので理解が比較的容易だったのですが、マルチバンドになって俄然ややこしさが増しました。ポップな見た目が一周回って憎らしく思えてきます。
バンド管理は3-Band, 2-Band, 3x Parallel, 2x Parallel, M-S, L-Rの6種類。
先日取り上げたvenomode “COMPLEXER 2”はこれに比べると、申し訳ないけどおもちゃにしか見えません…。
できることは多すぎる、が…
モジュレーションソースを内包したエフェクターってことで、モジュレーションはあらゆるパラメーター、たとえばクロスオーバー(周波数帯域のスプリットポイント)や、コンプのアタックタイム、ステレオイメージャーのWIDTH、リバーブタイムに対しても結線可能となっていて、もはや何ができないのかがわからない領域に達しています。
カスタマイズしようとすると、できることの多さに呆然としてしまうと思うので、そこまで使うのはゆくゆくのこととしておいて、当面はプリセットを使うことになると思います。
プリセットメニューの一部がこちら。
じゃあ、こんだけの可能性があるなら負荷がどのくらいのもんかというと、Logicだと環境設定でヘルプタグをOnにした上でインサートスロットにマウスオーバーするとおおよそのレイテンシーが表示されるのですが、それを見るとたしかに軽いとは言い切れません。
もちろん、レイテンシーと負荷とはイコールじゃないので実際の自分の使い方によると思います。
複雑なぶん、クリエイティブな使い方が期待でき、既存のエフェクターではできなかった緻密な整音作業まで実現できる可能性があります。
そうした確実にとんでもない代物だと思うのですが、元からBYOMEやTRIADに備わっていないモジュレーションソースやエフェクターをコントロールすることはできません。「そら、そやろ」なのですが、案外うっかりします。
だから当然のことながらDAW純正のエフェクターであろうとTRIADから制御することはできません。
これが、ReaktorのようにMIDI FXとしても機能し、あまつさえサイドチェーンを受け取るMIDI FXみたいなものになるとすれば、全能感にすら浸れるかもしれませんが残念ながらそれはムリ。
あと個人的な希望として、LFOのソース波形はもっとカスタマイズできるようになればいいなと思いました。
価格その他
購入前に14日間のデモを試せます。また53ページにも及ぶマニュアルを閲覧することもできます。
なお、正規の価格は$299で、イントロダクトリー価格が現在$144。