僕も講師として名を連ねているDTM-Online音楽教室、その代表の高岡さんの記事であります(ちなみに僕はしばらくのあいだ別件で忙しくなるため、DTM-Onlineでの講師業をお休みします)。
記事内容に異論はなし。ひとまず歌に関してですが。
一点だけ、僕がふだんから強く思ってる点を補足させていただくならば、
上手くない歌を直してもすぐバレる
本気で歌ってるかどうか、体調が良いか悪いかは声の質感や声の表情にはっきり出ますし、聞く人が聞けばすぐわかります。
聞く人が聞けば…ってのは、つまりファンの方。好きなボーカリストの歌であるからこそ、ファンの方はそうした部分を鋭く感じ取るんですよ(ファンの方々のこうした情熱を侮ってる人が案外多い)。
で、こうした’歌いっぷり’を修正でどうにかする技術はまだ生まれていないので、修正前の時点で可能な限り詰めておかないと総合的な仕上がり度が下がってしまいます。
もう少し突っ込んでいうと、
修正してもバレにくい歌い方ってのはある。だけどそれを習得するには基礎能力(どう歌ったらどう聞こえるかという知識/蓄積/視野、実践する感覚、理解力、記憶力、復習能力)が必要。
「バレバレの修正音源」が当たり前になると、OK/NGテイクの判断が曖昧になってくる。結果、自身の伸びしろや課題をつかまえにくくなり、場合によってはそこで成長が止まる。
もちろん、どういうボーカリストを自分が目指すのかって論点はあります。猛烈に歌が上手いからといって売れるわけでもないので、歌唱レベルはそこそこにしてブランディングにいそしむ選択肢ももちろんあります。
余談ですけど、ここ最近、ケロ声やオクターブ下げなど意図的な加工をしてもらいたいときに「修正して」と言ってミックス依頼する人がいるようですが、それは「加工」であって「修正」ではない。誤解を与えるとよけいな時間がかかるのでちゃんと伝えましょうね。
歌だけじゃなくバイオリンの独奏だろうとサキソフォン・カルテットだろうと、抑揚やタイミングが整わないだけでずいぶん拙く聞こえてしまうんです。
子音母音の発音の仕方(=周波数分布)が絡んでくる「歌」となると、さらに複雑なので、どうしても厳しく見なきゃいかんのです。
まとめます。
- 手抜きはファンにこそバレる
- 上手けりゃ売れるわけじゃないが、上手くなりたいならOK/NGの違いを直視すべき
- ギミックやネタとしての加工を修正とは呼ばない