昨日はオープンキャンパスを兼ねて、学校のレコスタにSHIHOさんをお招きして秋M3用のかなり勇み足なレコーディングを敢行しました。観覧くださったギャラリーの方々には、ガチ録りのピリピリ感や、ブースとのコミュニケーションを気持ち体感いただけたかなと。
と、tuts+にタイムリーな記事が上がってたのでご紹介。
CompとはCompingのこと
How to Create the Perfect Vocal With Comping(https://music.tutsplus.com/tutorials/how-to-create-the-perfect-vocal-with-comping–cms-26402)、コンピングで完璧なボーカルトラックを作るには、という内容です。
Bobby Owsinski氏も同様の記事をUniversal AudioにComping Basics: Getting the Perfect Vocal Take – Blog – Universal Audioとしてかつてまとめておられました。


実際に現場で働いてる方はわかってると思いますが、ここでいうコンプとはコンプレッサーのことじゃもちろんなくて、コンパイリング(取りまとめる)のこと。
テイク内容を記号でメモる

Logic Pro Xのようにテイクが整理されてコンプ状態が見やすく扱いやすい場合もあります(ProToolsの場合はPlaylists)が、録音時に各フレーズのテイク選択をどう判断したかは覚え切れなかったりで、シビアな判断になればなるほどその傾向は強まります。
そこで両ページで紹介されているのが、歌詞とテイクナンバーと簡単な記号でメモ書きしたコンプシートなるもの。
記号の意味は次の通り。
↑ = sharp(あるべき音程より少し高い)
↓ = flat(あるべき音程より少し低い)
G = good(OKテイクもしくはキープ、残し)
VG = very good(OKテイク)
X = bad(NG)
? = “I can’t decide”(保留)
余談。今どうか知りませんがアメリカだとペーパーテスト採点時、正解の場合は◯でなくチェックマークなんですよね。×がダメなのは変わらないんですが。
VGが必ずしもベストとは限らず、流れで聞いたらGのほうが自然につながるケースもよくある、ここが大きなポイント。近似した例でいうと「ピッチ補正をかけ過ぎたら胡散臭くなる」みたいな。
コンプ結果がベストになるようにテイクを選ぶのは、なかなか一筋縄にいかないので、色んなケースを体験していただくしかなさそう。
考えるべきこと
tuts+の記事中の動画で示されている3つのコンプメソッドもついでに訳しておきます。
- 音節、単語、フレーズ1つずつ厳選して緻密にコンプを組み上げる
- ベストテイクを選んで、気になる部分だけを他のテイクに差し替える
- ベストテイクを選び、VGや8テイク超えでないものも含めて部分を差し替える
これの1と2の間が「まあ結果を残しやすいだろう」と言っています。
判断基準も幾つか紹介されてますね。
- ノイズ、ポップ、エラー(衣擦れとか、吹かれ、歌い損ない、発音ミスなど)
- タイミング(ブレスや、長音の長さ、楽器の場合演奏タイミングなど)
- 声色(発音の明瞭さ、楽器の場合音色など)
- 情感(詞の内容に伴う部分など)
- ピッチ
- 前後関係(曲の抑揚など)
- 直感
録音する側も録音される側も初心者からベテランまで色んな人がいますが、どうもしっくり来るテイクを残せないってときにはまず上の7つのポイントで考えてみるといいってことになります。
そして、これらを踏まえて、
- ベストテイクと思われるものをチョイス
- イマイチ不自然であれば他のテイクに差し替え、ループ再生をOnに
- いい感じであれば目印をつけるなり、メインテイクのトラックに置く(※Logic Pro Xでは不要)
- それでもまだ惜しければ単語単位、フレーズ単位で別テイクから選ぶ
- テイクをつないだ場所が不自然な場合はクロスフェード等でつなぐ(※Logic Pro Xでは不要)
- ループ再生をOffって、もう一度数小節前から聞き直す
- つないだ場所が不自然な箇所を必要に応じて調整する
というプロセスでPerfectに仕立てていきます。
なので、レコーディング時においても、出来がいいトラックだけ残すってのは必ずしも得策じゃないといえます。かといって、もちろん何でもかんでも残せばいいというもんでもありません。