Logic : 純正環境でサイドチェーンポンピングのシェイプを自由に調整できるんかな

結論を先に書くと、面倒なこと極まりないので、精神衛生的な意味でもツールを導入して何とかするべき。

コンプを使ったトラディショナルなサイドチェーンポンピングはLogicでも当然できるんですが、コンプだと思い通りのノリを作りにくい。
そこにはバスドラ(あるいはサブ)のピッチの問題、コンプのアタックとリリースとの兼ね合いの問題、Kneeの設定の有無、レイテンシーの問題など、要因が多々あり。

ボリュームフェーダーないしそれに準ずるコントロールを操作する固有の波形(形状)が、バスドラの信号を受けて1-shotで再生してくれればそれだけでいい。だけど、純正環境だとそれをシンプルかつ自由に作り上げるのが至難の業です。
それゆえにKickstart(有償)やSTFU(無償)、SideChainer 2(無償)を使うのが今の標準になってるといえます。

    しかしながら、4つ打ちのループ曲じゃなくなると急に扱いにくくなる、という点はやはり容易に克服できず(VST環境ならマシ)、Future GarageやFuture Beatみたいにハネたノリが出るとなおしんどい。

    あくまでコンプを使った上で、となると、超低い周波数でなくそこそこの周波数(コンプのアタック、リリースのせめぎ合いを少なくするため)の電子音を、好みの長さで別途打ち込んで、それをサイドチェーンの信号に使う、というのが形状形成においては無難。でもバスドラのフレーズを変えたらそれも変えなくちゃいけなくなって面倒。前段階としてこのお話があることとします。

    Ultrabeatをサイドチェーン入力で使ってみる

    純正環境でサイドチェーン入力の音をNoteOn情報と連動して無加工で出力できるのは、どうもこれだけっぽい。プラグインに直接MIDIを送り込めないのがもどかしい。

    UltrabeatをStutterツールとして使う
    UltrabeatをStutterツールとして使う

    鍵盤個々に再生エンジンを持っているので、スクショのようにside chainを指定してやれば、鍵盤を叩くときにエンベロープ付きで再生できます。

    仕込むのとキーの対応状況を把握するのとが面倒ではありますが、鍵盤ごとに異なる設定やフィルター、EQ、ディストーション、LFOを使用できたり、マルチアウトプットできたりとけっこう面白いギミックができるので、iZotopeのStutter Editライクな活用をできることに今気が付きました。

    キックと連動させるには

    ただキックを打ち込むだけで、思った通りの形状で勝手に沈んでくれるって仕組みにできると願ったり叶ったりなのですが、キックからの信号をただただサイドチェーンに送るってのがそもそもLogicに限らず幾つかのDAWで既に大変。

    今回、Ultrabeatを使うならどうするかってことで、こういうふうに組み立ててみました。

    (1)たとえばDrummerのキックだけをTrack Stackのほうに移管する。
    (1)たとえばDrummerのキックだけをTrack Stackのほうに移管する。
    (2)サイドチェーン信号送信用のUltrabeatのキック用キーを適宜設定。
    (2)サイドチェーン信号送信用のUltrabeatのキック用キーを適宜設定。
    鳴らしっぱなしにするには…
    鳴らしっぱなしにするには…
    (4)ミキサーの状態も載せとく
    (4)ミキサーの状態も載せとく

    Drummerのドラムのキックをサイドチェーン信号として送るってのを考えたときに、結果、サミングスタックのBusチャンネルにキックを置くのが形的にはスマートかな((1)のスクショ)。
    Ultrabeat側はキックのMIDI信号だけ受け取るわけですが、キックのフレーズを変更したら即反映されるのが理想。そうするとNoteOffを無視してくれるほうが好都合なのでこの間やったようにベロシティをサスティンに変えるMIDI FXだけ差してやります((3)のスクショ)。
    あと、Ultrabeatのほうはキックをモノフォニックで発音するようにしとくのと、ちょっとしたオマケとしてベロシティの強弱でポンピングの速さが変わるようにしてあります((2)のスクショ;とはいえ、キックのベロシティがDrummerにもそのまま反映されてしまうので、結局は使いづらい)。

    試したは試したけど、この、誰も幸せにならない感じがイヤですね。数年後にこのプロジェクトデータを開いたらわかりにくて発狂しそう。一応、音はこんな感じになります。

    Surgeを使う手も

    お金を使わずにという縛りに少し緩めるのであれば、フリーのソフト音源であるSurgeを使うのも悪くはないか…と思ったら、思ったように形状を調整できない。有償だがAbsynthなら形状の自由度が高いと思ったら、デフォでリトリガーが効く設計のようでModifier MIDI FXとの相性が悪く、リトリガーOffにする設定を探すのも面倒なので深堀りしませんでした。

    Surge (1.9)
    Surge (1.9)

    必要条件としては、こういうことかな。

    • 無償
    • サイドチェーン入力対応のシンセ、またはMIDI制御エフェクト
    • エンベロープの形状に自由度がある、またはマルチセグメント型のエンベロープを備えている
    • モノフォニック対応で、リトリガーをOffにできる

    結論

    冒頭にも書いたように、脳がしんどいので素直にCableguys辺りのツールを導入するのがベストなのかなと思います。IACドライバー経由はレイテンシーと取りこぼしがちょくちょく発生するので、なるべく使わない方向で考えたほうがいいと思います。
    あとは、自分がそうなんですけど、EDM系統の制作依頼が来たときにはすんなりLogicを諦めてVST環境で行うか。

    理想

    理想というか、STFUをはじめフリーのポンピングマシーンもまあ使えるんですけど、先ほどUltrabeatに対する仕込みでも行なったように、ベロシティか何かでアタック・スピードもしくはエンベロープ・デプスが変わると個人的には使いやすい。だけど、それふつうに考えたらコンプ使うのがベストだよな、と出だしに戻っちゃいますね。