Xfer RecordsのOTTの使い道を探っていく中で、LogicのEXSに収録されているようなSteinwayのピアノ音色をOTTで加工すると意外と馴染ませやすくなることに気づきました。
OTT過去記事とClean XOVに関する補足
上の記事で触れているClean XOVのパラメーターの件、Logic以外での操作方法を記しておきます。
- Cubaseだと一般エディターに切り替えるかトラック上にオートメーションを明示的に入力しておくことで設定が可能。
- StudioOne 3だとエディターの画面切り替えがないようなので、オートメーションを明示的に入力しておくことで設定可能。
- Ableton Liveはオートメーションやマクロコントロールのパラメーター一覧で設定可能。
- Reason 9.5だとCVパラメーターで設定可能
値0がOFF、1がONといういわゆるToggleスイッチでありながら、DAWによってはオートメーションを0〜127で呼び出す懐かしい設計になっているので若干注意です。
手持ちの音色群
昔のLogicのサンプラー音色群のEXSのピアノ音色は、軽くてヌケもまあまあよくて便利なのだけど、華やかさに若干欠けました。
その後追加されたSteinwayの音は、硬めで華やかで、弱めのベロシティでも存在感があります。しかしながら重心が低めなので、J-Popにはちょっと合わないし、EDMにはちょっと密度が濃すぎる印象。
打ち込みらしい曲を作るにあたって使いやすいのは…あくまで自分の都合でいうと
- ある程度、軽量
- ベロシティスプリットは少なくていい
- サンプリングレートはそれなりに高め
- 生々しいステレオ感はさほど要らない(ステレオ感を狭めると位相の関係でペラくなってしまうため)
- 高域の金属感がキラキラしているほうがいい
と考えていて、手持ちの中ではビンゴなものがなく、一時期はSpeakerphoneでマイクをSH52を使って重心を上げつつ、不足して感じる音の伸びはコンプで補足していたのですが、今ひとつ奏法のバリエーションを出しづらい問題があって、次第にその手のジャンルは別のDAWの純正音源でまかなうようになっていきました。Ableton Liveのピアノの音は比較的無難(要DL)。
方針と現状の最適解
上記のスクショ群と下記プレイリストについて補っておくと、まず音源に関しては…、
- Rolandの伝統のピアノ音色は使いやすいのだけど、Concerto内の音はフィルター感があって浮いてしまう。今はRoland Cloudが使えるのでJV-1080か5080、あるいは拡張音源シリーズの音ならわりとイケる。
- KORG GadgetのDARWIN(M1)はKORG Legacy CollectionのM1と比べると何かが違う。Italo HouseやRave辺りを作るには都合いい。
- HALion 5はうちの環境だと取り回しにくい。
- Ableton Liveはピアノの読み込みが少々遅い。ReWire使う手もあるが取り回しにくい。
- Reason ID8とNN-XTは悪くないが、これもReWire使うのはしんどい。
- NI KontaktのAlicia Keysは好みではあるけど容量がでかい。
エフェクターに関しては…、
- EQは一辺倒にかかる上、ピーキーになってしまうのでこういうケースでは不便(機会あれば書く)
- Exciterは元音のサンプリングレートが粗いとジャギー感が出てしまう
つまり何らかのシミュレーターを通すか、流動的に変化するインテリジェントな仕組みのエフェクトもしくは擬似的に高域を付加するRoth-AIRみたいなエフェクトを使うのがこの場合はよさげ。Drawmer S73やSlate Digital Revive(またはFresh Air)も可。
軽量で一定のシズル感と金属感を併せ持たせるとなるとEXSのSteinwayに緩めのOTT設定を施してやるのが最適解かなというところ。
※ドラムパートはLogicのDrummerのプリセット。
追記:ちなみに、2021年現在のうちでOTTを使用するときの初期設定(EDM除く)は、DEPTH:40%, IN GAIN: -2dBで、HiのCompを外した(緑色部分を⌘+クリック)状態で、調整するのはもっぱらIN GAIN。