もちろんビブラートも含めて完璧なテイクを収められればよいのだけど、人間はロボットじゃないので毎テイク安定して録れるとは言い難い。
なまじ歌が上手いと、「もっと、もっと。もっと来い!」って気にもなるので、レコーディング時にVGはなかなか出ない。
現場でOKにするかどうか判断に悩むこともあります。
収録されたものをアラ探し気分で聞いちゃったりもします。
一昔前。
ビブラートが崩れた箇所をどうしても修正しなくてはいけない場合、うまくいっているビブラート1周期分コピーしてきて、崩れた箇所にペーストしてやるってことをしていたんですが、地味にシンドイのでウンザリしながら作業したもんです。
AutotuneやMelodyne以降、歌は可視化対象となり、非破壊編集もできるようになって、ビブラート補正も圧倒的にラクになりました。
あ、もちろんあくまで曲を自分のイメージ通りにしたいか歌唱者の持ち味を活かすかっていう天秤にかけた上での判断なので、ビブラートにせよピッチにせよ直さないこともありますし、ほどほどのアラを残すこともあります。
ビブラートの補正
上のスクショを見ればもう説明も要らんのですが、Logicではflexの各ノートに対して振幅の大きさとスタートピッチ、エンドピッチをそれぞれ調整できます。
それを考慮すれば、1周期ごとにナイフを入れて、調整必要なものだけ調整すれば終わりと。
念のため、あまりDAW操作に慣れていない人向けへの補足として、大事なポイントを記しておくと…
flexパラメーターやリージョンインスペクターのパラメーターは、チャンネルストリップのインサートエフェクトよりも(音の経路的に)前の段の処理にあたります。
したがって、例えばCompressorがインサートされた状態で、音量を上げようとしてflexのゲインやリージョンインスペクターのゲインをガンガン上げても、Compressorへの送り込み量が増幅されて歪む一方。状況を見極めて、ただ音量を上げたいだけなら、ボリュームフェーダーを操作するのが正解。オートメーションを活用するのもよし、と。
という話で思い出したんですが、一昨日のRecording Revolutionの記事「The Day I Stopped Relying on Compression for Vocals | The Recording Revolution」。
オートメーションをちまちま書き込むのがシンドイなら、リージョンを切ってリージョンごとにゲインを調整すればいいじゃん的なことが記されています。
Logicに関していえば、flexは検出された各ノートに対してゲインを調整できるので、リージョンを切らなくても、ノートのゲインを調整するだけで済ませることもできますね。
もちろんリージョンオートメーションも活用できます。が、リージョンが重なった箇所で、設定してもいない値に飛ぶバグがあるようなので、なるべく単純な構造の場所にのみ設定するほうがよさそう。
あと注意点としては、flexとリージョンインスペクターは、そこで手を加えた値が一覧として見られるわけではなく、著しく視認性を欠いています。
几帳面に仕上げたい人にとっては悩ましい仕様ですね。