ソフトシンセのグライド動作

グライド(ポルタメント)自体は簡単な話なんですが、ソフト音源によって仕様が異なるので一概にこうであるとはいえません。
けっこう手間がかかるので、何回かに分けて記事書きます。

ES2

単音

検証すべき点は何点もあるのですが、ひとまずこれで。

発音モードにPoly, Mono, Legatoの3種類があって、MonoとLegatoの違いは次の通り。

  • Monoは、発音中に別の音程を発音した際、オシレーターとEGは発音し直す(リセット)。休符を挟んでもグライドがかかる。LFOもオシレーターなのでリセットされる。
  • Legatoは、発音中に別の音程を発音した際、オシレーターとEGは発音し直さず音程だけ変更し、いわば連結して発音する。休符を挟むとグライドはかからず、LFOはリセットされる。
    EGリリース中の新しい音程に対してリトリガーは行われず、オシレーターとEGはリセットされる。

個人的にMono発音は発音中のオシレーターとEGのリセットがノイズ発生のもととなるため好きじゃなくて、ES2を使用する時には大抵Legatoを使うのですが、そうするとビブラートの制御が面倒になるので、かつてR&Bで多用されたサイン波のリード音色フレーズを打ち込むのが地味に面倒。このため、そうしたフレーズを打ち込む際にはES2以外のソフト音源で行っています。とはいえ、オシレーターとEGのリセットでノイズを発しないソフト音源は実際問題かなり少なくて、ハードウェア音源のほうがよほど優秀という印象です。

ポリフォニック時のグライドについてですが、ES2はボイスアロケーション(いわば発音ごとにIDが振られる)が行われるようで、上の例の場合、発音順に1,2,3,4と割り振られて結果同じIDになるノート同士グライドがかかっていることになります。すべてのソフト音源がこうなるわけではありません。
したがってES2をこのモードで使用する際、希望通りのグライドをかけようとしたらフレーズを練り込むか、どうにかダミーの音程を鳴らせるように工夫する(ベロシティ1でほぼ無音になるようにとか)必要があって、けっこう面倒です。

和音

良くも悪くも少々ややこしいのが和音発音した場合。
グライドがどうかかるのかは先述のアロケーションシステムに左右され、特に同じタイミングで複数の音程が鳴らされる際にはリストウィンドウで表示されている順にID(のようなもの)が割り振られると考えてよさそうです。結果として、グライドによる音程の連結はスクショのようになりました。
Logicでは、リストウィンドウでの(同タイミングの)ノートの並び順は確かRECした順で固定され変更できないと記憶してましたが、どうも今回の検証時には必ず低い音程から並ぶようになっていて、気が付かない間に仕様が変わったんだろうかと思ってます。※この検証は今回は行いません。
Cubaseもリストエディターでの(同タイミングの)ノートの並び順は一時期変更できたんですが、うちの環境ではできなくなったっぽいですね。

上の2つ目のリストウィンドウのようにtickを微妙にずらすことで、同タイミングに限りなく近い形でID(のようなもの)の割り振りを制御することは可能です。2小節目の音程を降順に並べ替えることでグライドの連結するノート同士の関係を変更しています。

和音でのグライドを行いたい時にこのID(のようなもの)を考えるのが面倒なら(ポリ数に縛りのある内蔵音源方式のポータブルゲーム機以外でこの考え方が役立つことはほぼ無いと思うし、サウンドからこの手法に気付いて称賛してくれる人など今どき誰もいないと思う;ただしMIDI情報からキャラクターの動作を制御するみたいなインスタレーションには応用可能かもしれない)、モノフォニックまたはレガートのソフト音源用トラックを複数用意して1個ずつ和音を分散していったほうが圧倒的にラクだと思います。

グライド動作に特徴があるものとして、あとSerumとSpireとMassive XとElektraXとKontaktを取り上げようと思ってますが、次、いつになるかわかりません。なるはやで…。

続いてSerum。マニュアルもご覧いただくとよいかと。

Serum

単音

Legatoは、マニュアルによるとMonoの時のみ機能するもの(実際にはPolyが2以上の時にも機能する)で、Legatoオンになるとノートがカブるときには1つの音符と勘定し、EGとLFOがリセットされなくます。

ポリ1

Polyが1の場合、LegatoはOnもOffも同じで、かつグライドは基本的に意図通りに機能しないと言ってよいかと。DAWを再生停止した直前に鳴っていた音程がMIDI CCでいう#84に指定されたような動作になります。
Polyが2以上のとき少し動作が変わります(後述)。

またPolyが1のとき、EGリリースは使い切られるまでリセットされず、EGリリースが使い切られるまでの間に別の音程を鳴らすとレガートっぽく、同じ音程を鳴らそうとすると鳴らない(実際には鳴ってるけど音として出ない)。

Poly1は厄介なので原則としてMonoモードを使うが吉。
もっと言っちゃうとPolyのときのグライドは基本的に意図通りに機能しないと言ってよさそう。

和音

ポリフォニックでグライドを使う機会はあまり無いと思いますが、Serumで行うならLegatoなし、Alwaysありが一応は理想に近いでしょう。
ES2でのID(のようなもの)はやはりここでも機能します。
先ほど書いたようにPolyのときのCC#84同様の動作がここでも見えるので、これがもし期待通りの動作でないなら、1個のSerumで和音のポルタメントを行うのは諦めたほうがよさげ。

ES2のときの実験と同様に、ノートの位置をtick単位で並べ替えた場合の動作はおおむね予想通り。
ID(のようなもの)はいいとしてCC#84に相当する音程をどうするかがネックになりそうです。

その他、特記事項

簡易トリル

もう1点、モノフォニック時の動作で見ておくべき点がありました。Massiveにはこのトリル奏法に関する設定があります。
SerumではLegatoオンのとき利き、Poly1のとき利きません。

グライドカーブ

Serumの独特な機能としてグライドのカーブをユーザーが決められるってのがあります。

なお、SCALEDのスイッチはOnのとき、下の図でいう「Rate」の動作、つまり音程差が大きくなるとグライド時間も長くなる仕組みです(✎参考Spire ざっくりガイド – makou’s peephole)。SCALEDとRate/Timeのどちらが呼称として一般的かはわかりませんが、Rate/Timeのほうが見かける頻度が高い印象があります。

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