Admiralizorの紹介でアナライザーに触れたからってわけじゃないんですが、こちらもまたアナライザーにこだわるBlueLabから、定位をビジュアライズする PANOGRAM ってのが出ました。
定位がヴィジュアライズされる必要度が一般に低いためか、類似の他社製品が思い当たりません(あるんだろうけど)。
だけど、こうして示されると結構面白いもんで。
以前から気になっていた、Logic純正のVintage Electric PianoのトレモロとApplied Acoustics SystemsのLounge Lizard(Plugin Boutique)のトレモロとを表示してみました。
ピックアップやフォークを微調整できるLounge Lizardのほうが音色の面では好きなんですけど、トレモロに関してはVintage Electric Pianoのほうが好き。見たらやっぱり明らかに動き方が違いますね。
Logic純正のTremoloエフェクトもVintage Electric Pianoのトレモロと同じ動きを音源に対して与えるので、Lounge Lizardに対してこれを使用する手があります。
また、細工が少し必要だけどMIDI FXのModulatorでLounge Lizardに同じようなトレモロをかけてやることもできますね。
ただ、でも根本的な解決にはならない。音源内蔵エフェクトからいったん音源外部エフェクトを通して再度音源内蔵エフェクトに戻すような仕組み、もしくはサイドチェーン方式でもいいから音源部と音源内蔵エフェクトを分離できれば…。
ちなみにSpectrasonicsのKeyscape内蔵のトレモロはこういう動きをします。
LFOの動きも要するに各ソフト音源のフィーチャーなんだなあ…。
ソフト音源のメーカーもLFOの形状ごときでまさかネガティブな評価を下されるとは思ってないかもしれないけど、ソフト音源のリアルさが増すほどそういう微々たる部分がかえって気になるもんよ。
いろいろ試す中でES2に付属するChorusとFlangerとPhaserの効果をPANOGRAMで見てみたら、「あら、そうなの?」ってのが目視できて面白かった(あえてスクショは載せない)。
PANOGRAMは結果的に音程を追ってくれてるような表示状態になります。Logic純正のDirection MeterやiZotopeのImagerなどで帯域を指定したStereo Widthの調整を行うと(当たり前だけど)Stereo Widthの広い帯域と狭い帯域とに分かれて見えます。
何の役に立つか、要るか?といわれると「う〜ん…」だけど、このヴィジュアライゼーションが今までなかったのには軽く驚き。
左右逆相に関する検出機能はなく、あくまで定位分布の履歴が記録されるまでが機能内容であり、各種のステレオアイザーの成果も「うん、ステレオだね」ってとこまでしかわかりません。なので、Correlation Meterは依然必要。
Haas効果も上のスクショのように可視化されるけれども、Delay Time設定値によって片chに寄って聞こえるという心理的(この場合生理的といったほうがいいのか)現象については、このヴィジュアルだけじゃ何もわかりません。
逆に言うと何かデータと聴覚との間に差異を感じたとき、特にステレオ感に違和感を覚えたときに、原因を絞り込みやすくする判断材料としては有用じゃないかなと思います(あくまで、この可視化ツールと同等のものが今まで無ければ)。
あ、あと地味〜に機能として備わってるステレオアイザー(MONO->ST)はなかなかいいです。
BlueLabはこれ以外にもフリーの製品バンドルや、シンプルなユーティリティも数多く扱っているので、試してみたい方は各製品ページ下部のTrial Versionをゲットしてみてください。
Macの場合はインストール時にインストーラーの実行許可が必要になりますんで手順にご注意を。