Sugar Audio “Admiralizor”

また新しくWavetableのソフトシンセ出ました、 Admiralizor 。
10分そこらデモを使ってみて、結論言うと、サウンドクオリティはそこまで低くはないけど一線級のものに比べるとかなり落ちる感じ。
それと、各パラメーターの名称に独特な略称が多く、パネルの切り替えもわかりにくくて馴染みにくい。そんな感じです。

Admiralizor – Wavetable Multi Operator Synthesizer Audio Plug-In | Sugar Audio
Admiralizor – Wavetable Multi Operator Synthesizer Audio Plug-In | Sugar Audio
Admiralizor – Wavetable Multi Operator Synthesizer Audio Plug-In | Sugar Audio
Admiralizor – Wavetable Multi Operator Synthesizer Audio Plug-In | Sugar Audio

ウェブデザインと紹介動画がちょっと古臭くて、きっとネタでそうしてるんだろう、ほら、レトロブームだしと思ってたら、ぶっちゃけ見たまんまでした。

メインのオシレーターが2基、サブオシレーターが1基ずつ、ノイズ・ジェネレーター(White NoiseとPink Noiseのみ)が1基ずつ。
AM、RM、FM、PM変調用のオシレーターが8基、それにカオス信号用オシレーターが2基。
波形の変形手法(BendとかPWMとかMirrorとかの類い)は5つと少なめ。
フィルターはHigh Pass(Lo Cut)、Low Pass(Hi Cut)、Band Passなどオーソドックスなものが15種類。
ルーティング設定スロットは20個。アルペジエイターは最大64ステップ。という構成。

Admiralizor – Wavetable Multi Operator Synthesizer Audio Plug-In | Sugar Audio
Admiralizor – Wavetable Multi Operator Synthesizer Audio Plug-In | Sugar Audio

エフェクターはDynamics, Tremolo, Pre EQ, Overdrive, Distortion, Post EQ, Vibrato, Phaser(というよりShort Delay), Flanger, Chorus, Delay, Reverb, EQ, Filter, Limiterで順序変更はたぶん不可。
CompressorやLimiterはAttack TimeやRelease Timeを速くし過ぎるとちょっと予想しない音になりますね。
予想しない音って点でいえばOverdriveとDistortionもそうで、階調飛びしたWaveshaperみたいな音になります。
Phaserも、一般的なPhaserとして想像される音と違って「?」という感じ。
Reverbはそんなに悪くない。

なので、ここまでのとこ見ると、プログラム畑の人が初めて作ったソフトシンセという印象がしちゃいますね。
ただ冷静に考えて、同じようなボタンやノブが多すぎて全てがワケわからん風に見えてしまうUI面の欠点が改善され、たとえばSylenth 1のAPOXスキンのようにどのパラメーターがどこに影響するのかが見やすく整理されただけで「あともう少しサウンドクオリティだけ向上してくれれば」って好印象に変わる可能性はあります。

Sylenth1 | LennarDigital
Sylenth1 | LennarDigital

いいところも書いときます。
負荷が低めで、単純な波形をユニゾンさせるだけの目的で使うには他のブロートウェア気味のソフトシンセを使うより軽快っぽい。ただし以前同じ理由でウヒョーと歓迎したSoundSpotのUnionも実際使うと重かったってのがあるんで、Admiralizorについても断言できません(MassiveやMassive Xのユニゾン発音の重さよりはマシと思うが)。
同一作者のFilterizor Q – EQを見るとFFTなどのアナライザーが作者の得意と見られ、Wavetableシンセにしてはおそらく唯一、Indexを切り替えるたびに高速でFFTが再描画されます(Wavetable編集中だけですが)し、フィルター部分ではいま鳴らしている音もしっかり表示されます。地味に有り難い。
またエフェクターのDynamics部分にもゲインリダクション具合がモニターされる、という風にモニタリング機能は随一という感じ。

まとめというか繰り返しになりますけど、各パラメーターの略称のわかりにくさとUI全般のわかりにくさ、エフェクターの質がネックで、波形の変形などエンジン部分があと一息、FFTなどインジケーター部分は大事な売りとすべき、というのが(何様?ですが)率直な感想です。

個人的な印象でWavetableシンセ、Wavetable機能を持つシンセ、それに準ずるシンセの機能面でランク付けを行うなら、こんな感じかなあ。あくまで個人的な評価です。


変化度ユニークさ音質使いやすさ合計
Ableton “Wavetable”445417
Propellerhead “Europe”454316
Xfer “Serum”543315
SurgeSynthTeam “Surge”443314
NI “Massive”432312
Tone2 “Icarus”433212
Steinberg “HALion”333110
NI “Massive X”551-110
Tone2 “Electra2”33309
Waldorf “Nave”32319
Apple “Retro Synth” [Table]24017
Waldorf “PPG Wave 3.V”21025
Spectrasonics “Omnisphere 2”11103
Soundspot “Union”-12113
Propellerhead “Malström”02002
NI “Kontakt 6”220-22
SugarAudio “Admiralizor”111-30
InitialAudio “Sektor”-10-10-2
LinPlug “Spectral”20-3-2-3
DS “Thorn”20-4-1-3

どうも、WavetableシンセはIndexのサンプル数が縛りになってこれ以上進化できない気がするんですよね。Wavetableでのカッコいい音はこの先も生まれていく可能性あるけど、その音色のバリエーションが出にくいというか。
Additiveシンセにもっと流動的な仕組みが備わってなおかつCPU負荷が1/10以上に圧縮されると、新たに「まだ聞いたことないシルキーな音」が登場するんじゃないかと思ってます。