【概訳】マスタリングについてミュージシャンの知るべき事柄

「いまの時代のマスタリングとは」的な記事が上がってたので軽く翻訳しとく。

What Is Mastering? Here’s What Every Musician Needs To Know

マスタリングとは何か。
インディーズやDIYアーティストにとって重要な問いに答えるにあたり、iZotopeのチームを招いた。
マスタリングとは録音されたものを変え、強調し、編集できる最後の工程であり、それが済んだものは、あとは講評を受け入れるだけの存在となるのである。

マスタリングとは何か

何より先に、我々は自分たちの音楽を可能な限りいい音にしたいと思っている。
極論、猪口才な手を使ってでも最大の品質をこねくり出せる人を欲しているということでもある。
そこがマスタリングのキモだ。
たとえば何に配慮すればよいのか。

  • 音色は理想的な音になっているか
  • バランスやダイナミクスの聴感は理想的になっているか
  • トラックごとのレベルは適正か
  • 何らかの欠落や手違いはないか
  • ふつうに聞いて心地よいか
  • 聞き手の求めるものにマッチしているか

今日び音楽は、バイナル(レコード)からiTunes、CDというメディアで、そしてヘッドフォンから車のスピーカー、家庭の再生環境と、実にさまざまな方法で”消費”されている。
我々が自分たちの音楽に求めているのは、$60,000のクラブのサウンドシステムで聞いても自室でスマホの埋め込みスピーカーで聞いても同じように感情が揺さぶる刺激を持っていること。
マスタリングは聞き手の体験や聴取デバイスに音楽を合わせていくラストチャンスであり、レコーディングしたアーティストにとって絶対的に重要な工程なのだ。

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(キミの楽曲を送信してiZotopeのフリーのマスタリングパッケージを手に入れよう(訳注:元記事を掲載しているReverbnationは楽曲配信サービスを運営している)

マスタリングが成し遂げるもの

最終的に仕上がった音楽群を我々は聞き手としても楽しめているわけだが、それはマスタリングエンジニアのありったけの知見が反映されたお蔭である。
アルバムの場合だと、それぞれまるで異なる曲たちがサウンド面で取りまとめられている。
レコードをより良くする手法、つまり深みや温かみ、疎密を作り出すことによりサウンドは強調される。
あらゆる手法と商売道具を投入し、節々で音量を上げ下げしてダイナミックレンジを適宜調整してゆけるわけだが、こうしてダイナミックレンジを狭めていくことで、より大音量でクリアなマスターを作ってゆくことができる。
だがマスタリングでできることには限界がある。
マスタリングしやすい音にミキシングエンジニアが仕上げておいてもらわないといけない。

マスタリングでできることとできないこと

マスタリングは何でもかんでもクリアで大きな音にしようとはしないし、まして音を創り出す工程でもない。
配信するフォーマットに適した音量に仕上げ、サウンドが整っていることを確認することがゴールなのだ。
ちょっとだけ手入れしてサウンドを最高品質にまで改善する、それがマスタリングである。

マスタリングで楽器同士のバランス感を調整することはできるものの、ミックスとは手法が異なる。
マスタリングによるトラックのリミキシングは、過度なEQやコンプッサーによる埋もれや歪みをもたらしてしまう。
あくまでマスタリングは最終ステップであり、以下の調整を行う段階ではないことを心に留めておこう。

  • 曲自体のピッチをオクターブ単位で上げる
  • レコーディングによって作られたスタイルを変える
  • 曲の中間部丸ごとフランジャーをかける

マスタリングとは、完璧な録音物の完成度をより高めるための、いわばケーキにアイシングのデコレーションを施すようなものだと考えるべき。

プロ並みのマスターを行うにはどうしたらよいか

最高品質のマスターを作るために皆が皆充分な蓄えやツールを持っているわけではない。
技術的経済的な理由で世界クラスの設備を利用することが困難になることも時にはあって、だが、それはそれでかまわない。
やむを得ないのだ。
もしデモの作成や、友人に聞かせたい音源、急な依頼でEPを売らなくてはならなくなったとき、専門の手を借りる必要は必ずしもない。

我々はみな、日ごろ何らかの上達を考えていて、知識を得たり実際に試したりする。
そのためには、なるべく良いマスタリングを真似るのがいい。
たとえ自室の環境が良くないとしても、では良い環境とは何かと考えることで、自室の問題点を特定したり改善を図ることができるのだ。

  • 室内や環境の騒音が混じらず、スピーカーの音がしっかり聞こえるように、静かな部屋を選ぶべし
  • 低音が聞こえるように充分な広さを持った部屋であるべし
  • 低域の位相歪みなど起こらぬよう、できる限りよけいな補正のないモニタリングシステムを使うべし

環境を補正するだけなら自宅でできる。
低域が充分に聞こえる良いヘッドフォンを入手し、自分の知る/好みのたくさんのレコーディングを聞き、自室の環境でどのように聞こえるか注意を払おう。
複数のモニタリング環境を用意しておくと、よりさまざまなことに気づくはず(たとえばパソコンのスピーカーとヘッドフォン、スタジオモニター、車のスピーカーなど)で、そうすれば自室でさえも最高の環境になりうることがわかるだろう。
異なったスピーカーシステムだとそれぞれサウンドの違う部分が強調されて聞こえる点、覚えておこう。

一定のレベルでの比較

レベルが一定な中でA/Bを比較して聞くのはマスタリングのワークフローでも重要な部分だ。
自分がサウンドに対して与えた変更を実感できる唯一の方法は、ビフォーアフターを同じ音量で聴き比べること
Ozone 7 Elementsのようなマスタリング用プラグインの幾つかには、バイパスしたときと同じ音量で聴き比べられるような設定がある(Bypassボタンの隣に小さな”耳”の形をしたボタンがあるから探してみて)。

マスタリングに向いた音源を集めたSpotifyのプレイリストを公開しておく。
広いフリケンシーレスポンス、ダイナミックレンジを活用した見事な録音物を、幅広いジャンルでバランスよく提供している。

Download the free 10-day trial of Ozone 7 Elements to get started mastering your own music today!
(自分の曲を今日から自分でマスタリングできる、10日間トライアル版のOzone 7 Elementsをダウンロード!(訳注:既述の通りOzone 7 Elementsの宣伝を兼ねた記事である))

週に4記事の更新ペースであるReverbNation Blog。
Feedlyで見ると2週間前の「Ready To Hire a Music Publicist? What To Expect From Your First PR Campaign」が200+のSaveを集めていた。
その記事と方向性が違いながらも2週間振りに100+のSaveを集めているということは、読者もマスタリングに対して思うところがかなりあるということか。
ReberbNation BlogをFeedlyで読むくらいだから一般聴衆ってより作る/配信する側だろうと思われるので、”聞かせたい曲に思うところがある”と考えるべきだろう。
読者数が400強ってとこも計算に入れるとそこそこの注目度。

蓋を開けてみるとOzone 7 Elementsの宣伝を兼ねた記事ってとこもあるけれど、経験則ベースの音楽脳筋的な話に偏らず端的にまとまっていてよいと思った。