昨年Skypeレッスンで生徒さんにBFD3とStudio Oneの使い方を教えてくれと言われて、特にBFDは使ってないので教えられないとお答えしていたのだけど、繰り返しお願いされたので急きょ導入しました。
現在うちのドラム音源には、DAW純正のものを除くとBattery3, 4(Native Instruments)、Superior Drummer 2(Toontrack)、Addictive Drum 1, 2(XLN Audio)、BFD3(fxpansion)などがあります。
参考になるかわかりませんが、それぞれ個人的な印象を記しておきます。
Battery 3, 4
- 生ドラムのセットは多くなく全体的にアタックが強め。ドラムのメーカーは明示されていない。ジャズのドラムセットは他のより味濃い目でイイと思う。MPCライクな生ドラム音色の使い方するのには悪くない。生ドラムよりヘンチクリンなドラム音色のほうが活用しがいがある。
- ざっくり曲を作るのには向いてる。邦楽にもわりと向いてる。
- メーカーによる拡張音源はない。
- ミキサーは卓のような統合的な仕組みをしていない。
- マルチアウト可能。
- フレーズは用意されていない。
- セットの自作はしやすいほうだが、音色ファイルの保存場所に注意。
- リムは基本1つ(近年多く見かけるリムクリックのフレーズはほぼ不可能)。またスネアやタムのエッジ打ち(叩き損ねを打ち込む目的)は不可。
- 同じベロシティで基本的には同一サンプルが鳴るが内部的にヒューマナイズが可能。
Superior Drummer 2
- 基本的に生ドラム。ディケイのコントロールが少し面倒。ドラムのメーカーは有名どころが多い。
- メーカーによる拡張音源が豊富。
- ざっくり曲を作るには、少しリアリティがあり過ぎるかもしれない。J-Pop向けには自作の必要あり。
- ミキサー内蔵で、比較的自由なルーティングが可能。内蔵エフェクトは少ないが、用意されたミキサープリセットはなかなかいい。
- バスルーティングを含め、マルチアウト可能。
- フレーズは基本別売り。
- 用意されたドラムパーツに限るが自作しやすい。既存のセットに別セットのパーツを追加するX-drumの仕組みは少々わかりにくく、キーアサインも煩雑になりやすい。
- リムクリックフレーズは工夫すれば不可能でもないが、選択したスネアによってはほとんど聞こえない場合がある。スネアやタムのエッジ打ちが可能。
- 同じベロシティでの別サンプル再生(ラウンドロビン)が可能なので、MIDIでのランダマイズの必要がない。
Addictive Drum 1, 2
- 基本は生ドラムだが、エディットされて物凄い音になっているプリセットもある。ディケイのコントロールが少し面倒。ドラムのメーカーは有名どころが多い。
- メーカーによる拡張音源が豊富。
- ざっくり曲を作るときにもまあ使える。J-Rockには向いてるかも。
- ミキサー内蔵で、ルーティングには制約あり。内蔵エフェクトは多くないがわりと使える。
- マルチアウト可能。
- フレーズプリイン。
- セットの自作は限界あるので、独創的なフレージングを作るのにはあまり向いていない印象。
- リムクリックフレージングはラク。スネアやタムのエッジ打ちが可能。
- たぶんラウンドロビン対応。
BFD3
- 基本は生ドラム。ドラムのメーカーはdw, Gretschなど「ん?そっちかぁ」という感じで、色んな意味で生々しさが一倍ある。
- メーカーによる拡張音源が豊富。拡張音源の和楽器がやたら充実している。マレット奏法のセットもけっこう豊富。
- プリセットプログラムやオーディオファイルのインストール場所が少々ちぐはぐで、いったん辻褄が合わなくなると一から全部インストールし直す必要がある。
- ざっくり曲を作るには、少しリアリティが過ぎるかもしれない。
- ミキサー内蔵だが独特。
- グラフィック処理も独特で、起動中にメモリ解放を行うとかえって動作が重くなる。
- マルチアウト可能。
- フレーズはプリイン、というかいちいちフレーズが優先的に鳴る。
- セットの自作はかなり自由。とにかく操作ごとのマウス移動距離が大きいのである程度の忍耐力が必要。
- リムクリックフレーズはわりとラク。スネアやタムのエッジ打ちは可能。
- 内部的にランダマイズがかけられたはず。
その他
ほかにLogic純正の音色やToontrackのBeatstation、NI Kontaktの中のStudio Drummer等を使うこともある。
どれを使うかは現在、仕事の場合だとジャンルで判断するけど、個人作の場合はたいてい合わなそうなほうから試して発見を探す。
書き忘れた。
Logic純正のUltrabeat、これもぼちぼち次のメジャーアップデート辺りで消えるんじゃないかと思うけど、これはノートごとにシンセとノイズジェネレーターとサンプラーの3つを選択的ないし全選択状態で鳴らせるもので、生ドラムといえるパッチの多くはEXSのそれと重複している。
既製のパッチ以外はベロシティスイッチ非対応と見られ、ベロシティスイッチがからむような細かな自作は一切できないと思われる厄介な仕組みだ。
キーマップとベロシティカーブの差
厄介なのが、以前も書いたがドラム音源を切り替えたときにキーマップが変わってしまって調整するのにすこぶる時間がかかること(手作業でピアノロール上でノートを移動してリマップする場合には、リマップ済みのノートをミュートすると視覚的にわかりやすくなっていいんじゃないかなと思う)。
もう1つ、ベロシティカーブもずいぶんと違うので、Logicの場合であればこんな対処。
- リージョンインスペクターのベロシティとダイナミクスを組み合わせる
- MIDI FXのVelocity Processorを使って動的に変更
- ピアノロールでMIDIトランスフォームの「指数ベロシティ」を使って静的に変更
- 同じく「指数ベロシティ」画面でベロシティが「指数」となっているところを「スケール」に変更して静的に適用
- ドラムパーツごとにベロシティカーブが異なって聞こえる場合には、トラックを分離して(MIDIリージョンを右クリックしてMIDIメニューからMIDI>ノートピッチで分離、またはMIDIリージョンが選択された状態で編集>MIDIイベントを分離>ノートピッチで)、適宜、上記いずれかの方法で値を調整する
- MIDIエンバイロメントを使って、トランスフォームを挿入する
Liveの場合はVelocityモジュールを挿入するとよいかと思う。