Spire 1.1.13 のアップデートが近いようです。
あんまり期待はしていなかったんですが、動画での告知を見ると、機能追加とバグ取りの面で地味に大きな進歩を感じました。
個人的には、今回のアップデートでシンセとしてのステータスはSerumを追い抜いた感あり。Serumは残念ながら現在のところまだ愚直で数学的な発音マシーンの域を出ていません。
Spire 1.1.13 での追加機能
クリック除去
Serumもですが、モノフォニック状態で発音したときに音の継ぎ目がプチプチ鳴ることがあります。
ある程度シンセやエフェクトのリアリティとして機能はあるものの、対策が面倒なのは事実で、おそらく発音時にオシレーターに対して数サンプル分のフェードインがかかるだけのものだとは思いますが、あると有り難い機能です。
Vowelオシレーター
フォルマントフィルターはPhaserのバリエーションとしても備わっているのですが、オシレーターとして新たに加わるようです。
最大のメリットは、音のリリースがピシッと切れるようになるということ。
フィルターやエフェクターだとレゾナンスが残って音切れが悪く、サイケトランスやエレクトロハウス等に使うにはこれまで一手間よけいにかかっていました。
Shaper
フィルターに加わったのがShaperで、動画で見る限りオシレーターの波形自体をサチらせるもののようですが、他の音色でも試してみないとわからないですね。
Shaper用の入力値があるわけでもなさそう。
同様の機能はLogicのAlchemyやSerumのDistortionなんかにも備わっています。
MeldaProductionのMWaveShaperなんかもそうですね。
オシレーターに対してかかるのかオーディオに対してかかるのか、つまり和音を弾いたときに濁るかどうかは明日以降試さないとわかりません。が、おそらく濁らないタイプのWaveshaperだと思います。
Saturation
たぶん結果的にはShaperと同じで、いわゆるWaveshaperがShaperとSaturationとの2種類に分かれたのだと推測します。
単純にクリップするShaperと303のDistortion風に歪むSaturationの2種類じゃないかと。
【補足】
和音を鳴らしたときに、その鳴った和音丸ごとに対してディストーションがかかるタイプの処理と、和音の構成音1つ1つに対してディストーションがかかるタイプの処理があって、そのシンセの構造/設計によります。
どれが正解というわけではなく好み次第。
ほぼ全てのハードウェアPCMシンセ(つまりピアノの音がサンプリングで鳴る、リアリティのあるシンセ)は、ディストーションをかけた場合、ピアノならピアノのその和音やフレーズに対してディストーションがかかります。
こだわりのあるシンセに限っては、いわば1個の鍵盤に対して1つずつディストーションがかかり、和音やフレーズとしてはディストーションがかかって聞こえないことになります(GM音色のディストーションギターを鳴らすようなイメージ;単音なら歪んでるのに和音だと複数人が単音のディストーションのギターサウンドをそれぞれ鳴らしている状態)。
J8 Chorus
これも試してみないとわかりませんが、Jupiter-8っぽい芯の太いコーラスですかね。
これまでのSpireのChorusは若干センが細くなってデジタル臭が強くなる傾向があったので、厚みの出るChorusが備わるのはちょっと嬉しい。
と、おおむね今までの機能を維持しつつ、いま現在の(特に海外の)音楽で使いやすいようにアナログサウンドに寄せてきてる印象があります。
プリセットもそれなりの数が追加されていて、持ち前のタイトなサウンド感もキープされているみたいですね。