ややフィルター閉じ気味のソフトシンセのトラックにOTTなどキツめのMultiband Compressorを使用すると、MIDIのNote Offのタイミングでピチッというノイズが発生します。
いま携わってるR&B気味の曲のベースパートにSerumをフィルター閉じ気味で使っていて、この現象が起きていて、簡単に処理できるだろうと思って後回しにしてたら思いのほか深刻でやんの。
言うまでもなく、商品として流通させる曲でこういうサウンドの状態はダメです。
ということで今後にも備えて、なるべくオールマイティで有効な解決方法を探ってるうちに数日経ってたという体たらく。
現状、対症療法のみか…
現状の最適解はこの2つかなあ。
- RX6などのレストレーションツールで、トラックバウンス(コミット)したオーディオデータから対症療法的にノイズを除去する
- Multiband Compressorのあとに、EGからルーティング可能なフィルターを配置する
サイドチェーンゲートが利くかもと試したものの、汎用性が低い上に劇的な効果がありませんでした。
フィルターでサイドチェーン拾ってゴニョゴニョできるかとも思ったのだけど、かなり複雑になる気配があったため断念。
そもそもそんな音色使うなってのがいちばん正しいのだろうけども。
原因を探す
「簡単に処理できるだろう」と思ったのはSerumの中で音色とFXをほぼ完結させていたから。
つまりシンセの設計上の問題だろうと思っていて、後述しますがこの手のケースではEGの設定で単純に回避できることが経験上多かった。
だけど実際、Serum以外でもこの現象は起きるし、特に同メーカーのOTTの元ネタでもあるAbleton LiveのMultiband Compressorで既にこの現象が起きてます。
対処方法を試していく中で、EGをMultiband CompのHiGainにルーティングしてみたら多少マシにはなりました。
ついでなので、Serumの構造の問題と思い込んで対処方法を試して効果がなかったこと。
- DAWの変更
- DAWのサンプリング周波数の変更
- Filter EGのリリースタイムをAmp EGのリリースタイムより長くする
- Amp EGを各オシレーターのLEVELに重複ルーティング(重ね掛け、または上書きを意図)する
- FilterのDriveやFatをOFFにする
- MonophonicやLegatoに設定する
- PhaseのRandomを0にする(開始位相の先読みとの関連の可能性を考えて)
- Oversampling(GLOBAL)の設定を変更する
- CompressorのAttackやReleaseの設定を変更する
- Serum内蔵のCompressorをやめ、Serum FXまたはOTTを使う
ちなみにここに上げたSerumのGLOBALメニューのOversamplingですが、この設定が1xのときに発生するSUBの12kHz辺りの発振音(折り返しノイズ?)が2x、4xに設定すると消えます。
ピリッとした音にしたいときはOversamplingを1xにしておいてもかまわないと思うのですが、もしもStemのデータとしてエンジニアに渡すときには2xか4xにしてから渡したほうがいいかなと思います。
根本的な原因
存在しない帯域をキツいCompressor設定で力ずくで持ち上げるために起きる、と言っちゃっていいと思います。
デジタルのヒス気味に新しい倍音が加わって味が出るのは確かですが、副次効果のNote Offのノイズは耳障り度がきわめて高いですし、RX6等で事後処理するにしても作業量が半端じゃありません。
なるべく、Multiband Compressorを使わなくて済む音作りを心がけたほうがいいかなと思いました。