Soniccouture “Pan Drums II”

Soniccouture “Pan Drums II”

今週は取り上げるものないかもと思ってたタイミングでSoniccoutureから久しぶりに新作Pan Drum IIがリリースされました。
IIってことなので前バージョンがあり、一気に4つほどモデルの追加があったみたいですね。
詳しくないので、紹介されているものをそのまま列挙すると、次のような感じ。

  • MERIDIAN (NEW IN V2)
  • HANG MK.1
  • HALO IN C
  • HANG MK.2
  • HALO IN B
  • RAV VAST (NEW IN V2)
  • ROCK CREEK TONGUE DRUMS

搭載されている機能としては、これもWebに示されているものを見ると、チューニング、フィルター、Jammer/Weaver(これらはHammersmithでも見られたアルペジエイターやリズムシーケンス用のものと見られる;詳しくは知らない)、FXというように、比較的オーソドックスな感じのようです。

動画を見ると、まあまあ色んな奏法がカバーされてますね。
あとタンドラム(Tongue Drum)だと音階の縛りが少なそう。

Logicの純正音源にもハンドパンの音が収録されてますね、そういや。

PAN DRUM?

PAN DRUMの製品名になっていますが、呼称は自分もよくわからないのでchatGPTの案内も借りつつざっとさらってみたところ、超かいつまんでメモがてら記すと、もともとはスイスのPANArt社がスティールパン(スティールドラム)を意識して作ったHang(ドイツ語で「手」「丘」を意味するらしい)が最初で、総称としてハンドパンが用いられがちと。
ここからどうなの?と思ったら、類似製品が各社OR個人に作られたり、別の楽器がこの影響を受けて派生したり、PANArt社自身も別の楽器にリソースを注いだり、混沌とした状況になったらしい。
実際にその時期に界隈を見ていた専門の人に聞かないと迂闊なこと書けなそう。

なお、Hang Drumなる呼称を見ることがありますが、発明者によれば「誤用なのでやめてほしい」そうです。UduがCray Drumと混じってUdu Drumと記されたりもするわけで、人間の記憶力の雑さを垣間見る感じ。
筐体上部の出っ張りをDing、底部の穴をGu、あるいは他のPANArt社製品でもGu, Duといった中国語の拼音っぽい響きが見られる、その由来は不明。
Drum, Tomがそうであるように、この手の言葉が擬音由来(というのもせっかちな書き方だが)であることも多いので、似ているからといって直結するとは考えないほうがよさそう。

あと、チューニングについてはスティールパンともまた違い、各社OR個人が決めているらしい。
要するに自分がしっくり来たものを使うのがよろしい、ということでしょうね。

色んなハンドパンの叩き比べをしてる動画がありました。大きく違う何かがある、ってものでもないみたい。急速に楽器が浸透し、それに伴った奏法の派生も興味深い。

LUMEN

製品ページ最下部に見えるLumenというのは、南アフリカの電子楽器メーカー。といっても、見る限り、この電子ハンドパン以外は見当たらないので、本製品または前バージョンの製品きっかけでつながったか、新たに立ち上げたか。
この電子ハンドパン用の音源としてガムランやマリンバ、カリンバが使用できるようにも見受けられます。

Lumen Handpan Home

この動画でサジェストされた別メーカー、Neotoneのハーモニクスやミュート(チョーク)奏法にさらに驚くなど。

どれをどう選ぶのか

と、あれこれと補足情報類をとりまとめつつ自身が得た刺激を整頓しながら考えていて、上のNeotoneの電子ハンドパンがLumenに比べて自然であるよと、じゃあそれと比べて生のハンドパンはどうなのといえば、叩き比べの動画で見られるように生のハンドパンでしか不可能な奏法をこなしていて(”こすり”や”ワウ”みたいなの)、なんだ、じゃあ生のハンドパンがいいじゃん、となっちゃう。
おそらく、動画にもまだ見えていない奇想天外な奏法など将来的にもきっとあるでしょうし。

かといって電子ハンドパンでは瞬時にチューニングを変えたり、まったく別の楽器を鳴らしたり、自動伴奏させるなど、物理的に不可能なこともできるわけです。

耳にタコが出来て口が酸っぱくなって手垢がつくくらい繰り返される言い草ではあるけれど、それぞれに長所があって、それを活かしゃいいんですよね。
打ち込みドラムが良いだの悪いだの、いや、曲調次第で使い分けりゃいいじゃんってのと同じ話で。