Sampleson “Drumbada”

先日、ただでさえ安い製品をさらにセール販売していたSamplesonから新作、Drumbadaがリリースされています。
南米の太鼓Bombo Legüeroをポリリズミックに鳴らす仕組みを持ったもので、近年和太鼓が洋画の緊迫シーンで重宝されるのと似たような位置付けになるのかなと思います。

素材とされるBombo Legüeroは古い軍用太鼓に由来する楽器で、毛皮の残った皮を叩くため音にヌケ感はなく、かなりプリミティブな響き。
叩く姿はSurdoに近いですかね。片手でのみマレットを持ってるように見えますし、リム打ちも目立ちますし。ミュートは…ないっぽいかな。
憶測ですがLegüeroはLeague(3マイルの距離)に通ずる言葉じゃないかと。中空でやや鈍い音のする太鼓をbomboといったりするので、打音が遠くまで響くといった意味合いかな。リバーブが内蔵されているのも距離感を演出する目的かもしれない。

出音としては好き嫌いが分かれると思いますが、機能的に面白いとこがちらほら見え、将来性を感じます。
動画をざっと見た限り、他社製品で見られるような”フェイジングを時折伴ったランダム性”がないのがいいですね。まあ長時間使ってたらそういうこともあるかもしれませんが。

Soniccoutureの製品に少し似た趣のものがありました(EuclideanとPoly Beatsだったか)が、こちらは非Kontakt製品ってこともあって各機能にアクセスがしやすい。
Samplesonは物理モデリングを中心に扱っていたデベロッパーではありますが、Brushify以降、サンプルを用いた製品にも積極的に取り組み、加速度的に技術の幅を広くしてきた印象があります。
UJAMもそうですが、価格抑えめで発想の幅が広い製品はユーザー、とりわけ将来ある学生クリエイターにとって有り難いことこの上ないので、どんどん色んなものをリリースしてもらいたいところです。
特にSamplesonにおいては「私は自分がやりたいことしかやらない」と言い切っていて、僕としては「ですよね!」以外にない。そういうデベロッパーがいないと、AIに委ねるがごとく、音楽のバリエーション(特に突飛なもの)はなくなっていきますから(AIが何の学習もなしに「強風オールバック」のような音楽作れるとは思えませんよね)。いつでも、新境地を開拓してくれるのはギラギラした人なのですよ。

先日そのSamplesonのスタッフからメールをいただいたんですが、メールの記載がスペイン語だったので、もしかしたらスペインの会社かもしれません。てっきりUKと思い込んでました。EULAやTerms of Service辺りに所在地の情報があるかと思ったのですが、見当たらなかったんですよね。