Heavyocity “VAST”

Heavyocity “VAST”

設定がうまくできていれば、今日から更新通知をX(旧Twitter)にも飛ばせているはず…。うるさければミュートしてね。
さて、Heavyocityの新作はサンプルライブラリーではなく、最近少し彼らが力を入れつつあるプラグインエフェクト方面の代物で、「広大」を意味する”VAST”。

プレイスルー動画を見てわかる通り、入力した白玉系のオーディオをいかにもHeavyocityって感じの出力に変貌する、インパルスレスポンスを核としたマルチエフェクターです。

仕組みなど

トライアル版が配布されているので早速試したところ、動画で示されたその通りの内容で、仕組みそのものにそこまで特別な要素があるでもなく、かといってもちろん各パラメーターに一切の手落ちもなく、ただただ入力するオーディオの内容にセンスが問われるといった感じ。

うねり系単独のエフェクトはなく、使用可能なエフェクトはこのスクリーンショットに見えているのがすべて。もちろん並べ替えに対応していて、MIXバランスが随所に備わっているのもとてもよい。
積極的なエフェクトバリエーションは、核となるIRデータと、ディレイに備わったモジュレーションとピッチシフトで形成していくことになります。
核となるIRデータというのは、要するにだいぶ前にこの日記でも紹介したリズミックコンボリューションの手法。ゆえに誤解のないように記しておくと、スクリーンショットに見えているGateはリズミカルなゲートではなくいわゆるノイズゲート(テンポ同期にも対応しているが、もっぱらギターやアナログシンセなどの入力のトリートメントに使用するもの)で、リズミカルなゲートはIRデータで行なってゆくのが運用上の標準操作となります。

IRデータというかコンボリューション元となるオーディオデータは、インターフェースのいちばん大きな窓(ここは波形以外にスペクトル表示も可能)に示されており、SOURCE BPMと示された数値とDAWのBPMを一致させ、タイムメーターさえ調整すれば、テンポ同期させた状態でエフェクトをかけられます。そして、この窓には自前のオーディオデータを放り込めば、すぐさまコンボリューション元の信号として使用できるようになります。
なので、コンボリューション用のリズムに強いこだわりがあるなら、いったんノイズ・ジェネレーター等でリズムを組み(実はこれがいちばん大変なのだけど)、それをバウンスしてVASTに放り込むのがいいのかなと。

一般に、自動的にシーケンスフレーズ化する仕組みとしてはゲーターとアルペジエイターがあり、それらを始動するきっかけ(トリガー)にも種類があります。
リズミックコンボリューションは、リズミックといえど要するにリバーブなので、入力信号があればそのたびに反応し、周波数分布を掛け合わせて出力します。従って、VAST自体のタイプはゲーターに近い。

ともあれ、先ほども記したように、ただただ入力するオーディオ信号の内容にセンスが問われる、という事実は変わらないでしょう。

Makou ConvolutionSource
https://www.makou.com/rhythmic-convolution/

近々、VAST用にconvolution sourcesの新しいバージョンでも作ろうかなと思っています。

追記240216

コンボリューション用のオーディオデータ作ってたけど、思ってたほど面白くなかったのでちょっと考え中。プリセット込みで作らないと活用難しそうね。