Spitfire Audio “Crystal Bowls”

Spitfire Audio “Crystal Bowls”

Spitfire Audioから新製品出てますね。坂本龍一とのコラボレーション経験もあり、アンビエントやエレクトロニカ、エクスペリメンタル方面にも造詣深い音楽家、演奏家である、アスカ・マツミヤさんによるCrystal Bowlsのライブラリーです。Spitfire Audioのアプリではなく、Kontakt Playerにも対応したフォーマット。

ヒーリング分野でしばしば言われる432Hzのチューニングになっており、チベットのシンギング・ボウルにも通ずるクリスタル・ボウルを、マレットやブラシ、ドラムスティック、ロッドで演奏したもの、あと音叉も収録。音叉も交えた試奏が下の動画の真ん中ら辺だったかで確認でき、なかなか効果的です。

インターフェース、実用場面など

抽象的すぎて操作に若干戸惑いそうですが、インターフェースがミニマリスティックで美しいですね。
製品動画を見るとわかりますが、レイヤーの設定状態によってはとんでもないポリ数を消費するようです。一瞬映るのは170を超すポリ。

基本的には各演奏手法によるボウルの音をそのまま使うことになりますが、アタックやリリース、スタートオフセットの移動、それと(ロンドンのハックニー・ラウンド・チャペルで収録されたIRデータによる)リバーブと、シェイピングを活用できます。

個人的に面白いと思ったのはインターフェース最下部にあるIciclesやSnowfallといったWarp機能。
実際に使ってみないと仕様を把握できませんが、ブーメランエフェクト等ギターエフェクトやグラニュラーシンセを通じて発せられるものと記されており、ふわっと和音でも弾いていれば、自然な感じでアンビエント曲っぽくなる仕組みのようです。
一般的なアルペジエイターだと整然とし過ぎてロボティックな印象を与えますからね。いいアイディアだと思います。

Master Tuningとの兼ね合いは…

これも実際の仕様は定かじゃありませんが、上述の432Hzチューニング。
KontaktではMaster Viewのところに基本チューニングを設定する画面があり、デフォは440Hz。
KontaktインストゥルメントはMasterの設定込みの保存方式じゃないと思うので、たぶんMasterが440Hzのときにインストゥルメントが432Hzで鳴るという、几帳面な作家にとってはモヤッとする実装状態かなと思います(もしくは辻褄を合わせるための手法がマニュアルまたはインターフェース上のギミックなど何らかの形で示されるかもしれない)。
ただ実際に他の楽器と合わせて演奏する場面では、非音程打楽器を除く一切合財を432Hzに収束させるでしょうから、仮にモヤッとする実装状態であったとしても困ることはそんなにないでしょう。ただただモヤッとするだけ。

Can I master tune Kontakt to 432hz?

Bronze AI?

で、あと少し気になったのが製品ページの下段に突如置かれているBronze AI。
余談になっちゃうんかな…そんなこともないと思うのだけど。
説明によると、playボタンを押したあとregenerateするたびに、このライブラリーに収録されたサンプルを使ったフレーズが勝手に生成されるというものらしい。
確かに、他社サイトもプレビューを製品ページに貼り付けておくことが標準となった昨今ですが、利用者側からすると「聞こえのいい音色だけ使ったプレビューじゃないの?」「他の製品も交えたプレビューだと真価を判断しかねる」といった感想が頭を過ぎってしまうものです。
そこいくと、揮発的でこそあれ、確実にライブラリー内のサンプルのみを使ったプレビューを聞けるってのは誠実といえます。
理想としてはこれが本記事内にもEmbedできるといいのですが、デベロッパー側のサーバー(またはこのAIとサンプルを負担するサービス)にも負荷がかかるでしょうし、マーケを多少左右するだろうとはいえ、悪戯を防ぐためにも今のところはEmbed機能を提供しないほうがいいんだろうと思います。

このBronze AIがナニモノかってのはよくわかりません。ググってみたものの、同名のアーティストがいるんかな?って感じで、準備中のWebサイトやインスタ、Xアカウントはありましたけど、どうとらえてよいのやら。

少し話がそれますけど、最近海外のアーティストにも既存の有名なものに肖ったり流行中の何かに準えた紛らわしい名前が幾らか見かけられます。
当面、名前に「AI」って付けて注目を集めようって人も増えてくる可能性がありますね。