ADSR Sound “ADSR Sample Manager” Review 💭

※190111 記事統合

DAWの使い方や音作りなどの充実したWebinar(英語)でお馴染み、ADSR Soundsから ADSR Sample Manager がフリーでリリースされました。

ADSR Sample Manager | ADSR
ADSR Sample Manager | ADSR

サンプルをふだんから大量に駆使する制作者にとってMutant以外に選択肢が増えるのはイイと思います。
簡易なサンプラーとしても使えるので、フリーのサンプラーが乏しくて困っているMac環境のDTMerにとってもラッキーかなと。

簡易サンプラーとしての機能が便利

MutantはMacだとスタンドアローンで起動するソフトですが、こちらはAU, VSTのプラグインインストゥルメントとして起動。
MIDIキーボードやそれに準ずるコントローラーから信号を受け取り、音程やベロシティを反映して発音します。
音程が変わったときには自動的にタイムストレッチ/コンプがかかり再生時間が変わりません(さすがに極端にピッチを変えた場合にはアラが出ます)。できれば、この機能のOn/Offがあるとなお嬉しい。
サンプルスタート位置を動かすこともできますが、これはいちど動かしたらそのままですね。オートメーションできたら面白いのだけど。
あと、オートメーション使ってサンプルを高速で切り替えるなどグリッチーなことが出来るのでは…と悪知恵が脳内を過りましたが、オートメーション項目自体が無く、断念。
要所要所惜しい感じはありますが、スピーディーに制作を進めるならこのくらいの機能でひとまずはよいかと思います。

サンプル管理(本来の機能)

画面内左下のPCアイコンをクリックすると+ADD LIBRARYというボタンが現れるので、サンプルを大量に保存したフォルダを選択してデータベース化します。
データベースはApplication Supportフォルダ内にSQLiteの形式で保存されている模様。つまり独自形式じゃないので扱いやすい(別項)。
上部の検索窓でファイル名検索することも可能ですし、タグやFavを基準に絞り込むことも可能。
タグは自動的にファイル名を基準にして付けられるので、ファイル名さえそれなりにしっかり付けられていれば困ることもないでしょう。
自分で新たにタグを作って付けることも可能ですが、日本語タグには残念ながら非対応。

Logicで動作確認したこともあり、Apple Loopsブラウザの動作と比較してしまうのですが、再生までの時間がすこぶる速いのがいいところ(Apple Loopsブラウザも現バージョンでは相当高速化されています)。
ただし、BPMやキー等でのソートができないのは残念。
サンプル選択時にオートプレイで鳴ったとき、その再生を停止するのにマウスを使わないといけないのも少し不便かな(オートプレイ自体は初期設定でOn/Offできるがそういう話ではない)。

惜しいところ、まとめ

Sample Managerであると同時に簡易なサンプラーとしての機能が非常においしくはあるのですが、
自動タイムストレッチのOn/Off、ピッチベンドなどオートメーションへのある程度の対応、BPM等パラメーターによるソート機能、ショートカットキーへの対応があれば、ひとまずはいいかな。
スタンドアローン版やサンプルのスライス機能、Amp Envelopeなんかは当面必要ないと思います。

余談として、あくまで個人的な考えですが、どうもここ数年AppleがApple Loopsの扱いに迷ってるような気がしていて、旧態依然のEXSとApple Loopsとの合体って形でADSR Sample Managerによく似たものをいずれ作るか、場合によっちゃ丸パクリするかもなと思いました。

※追記:

1.0.6へのアップデートでキーボードショートカット、リストのソート機能追加、aiff拡張子への対応(以前はaifのみ)が行われました。あと、そういえば書き忘れてましたが、rx2ファイルへは未対応。

データベースの中身

ADSR Sample Managerのデータベースのありか
ADSR Sample Managerのデータベースのありか

db3ファイルが、自分とこで放り込んだファイル群に対して生成されたもの。
強引に開くことも可能ですが、特に得られることもないのでやめときましょう。

tagTree.jsonってのがタグ付けのツールを記したもので、放り込んだファイル群のファイル名にここで定まった文字列が見つかったらタグを付けることになります。
使いやすくするためにと内容をイジっても構わないんですが、ADSR Sample Managerがバージョンアップされればご破算になると思われるのであまりオススメしません。

こちら、ツリーに展開してみました。

これ見ると、ある程度入れ子の状態で、たとえばDrumsの中のCymbalsの中にHiHatのタグ付けが設定されていて、そこにはHiHat, HH, Hatの文字列が定義されていますね。

厄介なタグ、付いてほしいタグ

jsonファイルは取り回しやすいんですが、入れ子の仕組みが若干面倒なので、カスタマイズするにしても誤動作のリスクがありそうです(試してない)。
ワールドミュージック系の素材に対するLatin、MiddleEast、Africaなどのタグはないので追加してもいいかもしれません(バージョンアップ時に先祖返りしないことを祈る)。

要注意なのが、音程やコードについてファイル名で定義されているEbm、Fm、F#mがEBM(Electronic Body Music)、FM(Frequency Modulation)のタグになっちゃうことや、たとえばサウンドのイメージに対してHappyだの演奏のイメージに対してCryだの、既存曲を想起すべくファイル名にDogだのCatだのBirdだの入っていたらそれらに効果音向けのタグがついてしまうことですかね。

ADSR Sample Manager上でのタグのMass Edit(まとめて編集)は、タグを増やすのが簡単なわりに消すのに手間がかかるので、このように余計なタグがついてしまった場合それを整理するための時間がある程度必要になります。せいぜいYes/Noくらいreturnまたはenterキーで確定できるようになってほしい。

編集、用途について

KickのところにKick, Kik, BassDrumとあるように、ファイル名にbdの文字列があったとしてもKickのタグが付かないことになります。
この手の短い文字列を定義しちゃうと、関係ないのも引っ掛かりやすくなっちゃうので、これは余計なことしないほうがいいかも。

tagTree.jsonの中身の編集が推奨できない以上、カスタマイズにあたっては実ファイルの名前を変更しなきゃいけなくなる、はたしてそれが好ましいかどうかは考えどこでもあります。

面白いのが効果音についてもある程度定義されているところで、なんとなく効果音をこのツールに放り込むのには抵抗あるけども、ちゃんとファイル名が付けられていれば見つけ出してくれることになりますね。
つまりMA仕事でも是非導入ご検討を、ってことなんでしょう(言ってないけど意を汲んでみた)。