Scott Kinsey

大学時代から気になってずっとウォッチし続けてる、一言で言うと大変味の濃い、Tribal Techというフュージョンバンドがあります。
20年経ってメンバーも痩せこけたり腹が出たりと年相応の姿に変貌してるんですが、いちばん若い(と思われる) Scott Kinsey がメンバーの誰より健康的な姿で先鋭的な音楽を生み出していることに嬉しさを感じます。
名前でググると1900年生まれの118歳と示されるんで「いちばん若い(と思われる)」と書きました。100超えてるわけあるか。

彼らの古い映像アーカイブで見られるのは、ステージ中央で猫背で緊迫感漂わせつつ弾くチリチリ頭のロン毛の太った男で、はっきり言って近寄り難かった。それがどうだろう、上の静止画に見える好々爺っぷり。これが本来の姿なのでしょう。

このインタビュー動画でScottとともに映っているのはいずれもベテランのMatt Garrison, Gary Novak, Arto Tunçboyacıyan。4人でHuman Elementというユニット。
Artoはトルコ系アルメニア人で現在アメリカ在住。Zawinulともプレイしていたパーカッショニストで、Gary Novakの代わりにRanjit Bardotが叩いているHuman Elementの動画でも即興性に長けた演奏を見ることができます。
Matt Garrisonは説明も要らない、頭も腕も冴える超一線級のエリートベーシスト。
Gary NovakはChick Corea Elektric Band IIやAllan Holdsworthのユニットで確かなプレイを見せつつも、その後は目にする機会の少なかったドラマーなのですが、トレードマークだった長髪も今は昔、ジャン・レノ的なナイスミドルに変貌しております。

Tribal Tech自体、David Goltblatt(写真家じゃない方)がキーボードだった頃からZawinul臭さ濃厚なバンドだったのですが、Scott Kinseyが加わってから抽象性を増した印象。
初期は音色に苦しんでいた様子でしたが、Face First辺りでエフェクトによる加工が積極的に取り入れられ始め、あれよあれよという間に随分前面に出るキーボードサウンドに変容してます。
バンド全体もエフェクトに依存し始め、また良くも悪くもレコーディング技術が発達して粒立ちが細かくなってからは曲のパンチが減っていくのですが、おそらく抽象性と冒険、お互いの刺激を求めるほうに舵を切ったのだなと解釈しています。
いっとき、ほぼTribal TechのメンバーなのにベースだけがGary Willisではないユニットだとか、ギターだけがScott Hendersonではないユニットだとか立て続きましたよね。
当初がScott Henderson & Gary Willisとその仲間たちって感じのバンド名だったことからすると、時が経つ間に何とやらがあったのだろうとも思いますが、同時にScott KinseyとKirk Covingtonがどれだけ他に代え難い存在であるかを示すともいえるでしょう。

Gary WillisとScott KinseyにGergo Borlaiが加わったユニットの動画も見られます。
Kirk Covingtonには見られない、Gergoらしい斬新な拍解釈と緩急。それがGaryの曲で聴けるというのはなかなか面白いもんです。

今年の3月にハワイのホノルルで演奏されたユニットは、Matt Garrisonに代わってHadrien Feraudがベースを担当していて、完全に俺得(生で見たわけじゃないけど)。
Scott KinseyとHadrien Feraudはこれに数年先立つJoe Zawinulのトリビュート企画で共演しています。
Hadrien自身、影響を受けたとしてJaco Pastoriusはもちろんのこと、Gary WillisとMatt Garrisonとの名をしょっちゅう挙げているわけで、人選としちゃ他にあり得ないだろうね、と。
演奏されるのはやはりZawinul愛の溢れる、民族要素の濃い、それでいてどこか異世界感の滲む音楽で、迷いの全くない芯の太い音楽となっています。
好きじゃないと聞いてられない音楽とも言えますが、少なくとも、静かにとことん音楽を追い求めていった末の音楽の出来栄えを僕は諸手を挙げて歓迎します(ちなみに特別Zawinulが好きというわけではない)。

BandcampにScott Kinseyのアカウントがあって、なかなか手に入りにくい音源も今は(きちんとお金を払えば)簡単に手に入れられる時代ですし、この路線に興味のある方は是非どうぞと。
それにしてもScott Kinseyに限らず近年はBandcampに独特な音楽が充実していて本当に有り難い。YouTubeでサジェストされてBandCampにたどり着くという流れが自分の中に出来上がりつつあります。

一方で、自分が作品を取りまとめてBandcampに上げるって気持ちは異常に萎えてますけどもね。

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