Bandcamp が30秒の試聴を否定し続ける理由

Bandcamp にアップ可能なボーナスアイテム

What file types can I include as bonus items in an album download?

The usual: png, jpg, gif, pdf, doc, docx, txt, ppt, pptx, mp4, m4v, m4r, mov, wmv, avi, mpg, mpeg, swf, flv, torrent, cue, afm, amxd, otf, sib, ptb, mid, midi, gp5, gpx, fxp, fxb, vst, mod, it, xm, mtm, nsf, ttf, sav, epub, mobi, vst3, and alp. Most music file types are deliberately not included. If you want to include a track as a bonus item in an album download, upload it like any other track, but check “bonus track.”

すっごく大雑把に分けると、

  • png, jpg, gif, pdf, doc, docx, txt, ppt, pptx, nsf, epub, mobi : 画像、文書
  • mp4, m4v, m4r, mov, wmv, avi, mpg, mpeg, swf, flv : 動画
  • torrent:torrentファイル
  • cue : ディスクイメージ(cueシートのみと考えたほうがいいかも)
  • afm, otf, ttf : フォント
  • amxd, alp : liveおよびmax for live用のファイル
  • sib, ptb, gp5, gpx : 楽譜
  • mid, midi : MIDI
  • fxp, fxb, vst, vst3 : vstと設定ファイル
  • mod, it, xm, mtm : soundtracker, impulse trackerファイル、Amiga系派生ファイル
  • sav : たぶん何らかのセーブデータ

こんな感じでしょうか。対応ファイルが追加/削除される可能性もあり。
「一般的な音楽ファイルをボーナスアイテムとしてアップロードできるようにはしていません。それをしたいなら、トラックとしてアップロードして”bonus track”にチェックを入れてね。」とのこと。

前にもちょこっと書いた通り、特定のプラグイン固有の拡張子はサポートされてないので、現在プリセットファイルの配布が地味に流行っているものの、Bandcampはあまり向いていません。
自身のサイトにEC機能がないなら、synthmobやその他一般的なアップローダを使用するのが順当と考えます。

スニペットなど用意する気もねえとまで言わせているのは何なのか

それはそれとして標題の件ですが。

1年くらい前までBandcampは再生し放題で、flashgot辺りを使えば有料配信の楽曲だろうがいわゆるブッコ抜きし放題だったと記憶していますが、いつしか、いったん再生したらしばらく間をおかないと再生もできない仕組みになった模様。

1曲フルで聞かせんでも、iTunes Storeみたいに指定時間のプレビューを生成するような仕組みはBandcampクラスのWebサービスならちょちょいのちょいで作れるだろうにと訝しく思ったりもしたもんです。

で、冒頭に記したアップ済みコンテンツの内容更新の件でBandcampのヘルプを漁っていたところ「30秒スニペットを実装する気は毛頭ない。その理由はこれ。」と記してあるのを見かけました。
New Music Strategiesというサイトの2007年の記事が示されています。

THING2: 聞いて気に入って買う

オン/オフライン問わず音楽マーケ手法には様々あるが、君がもし基本原理の点でトチっているならば悩むまでもあるまい。

映画が好きだからと映画チケットを買うことはなく(図書館で気に入って本を買うみたいなパターンもあるが)、行動原理としては「購入」が先立ちその後に「消費」が来る。
DVDは音楽を購入するプロセスに近い。映画を気に入ってDVDを買うみたいな。でも一般的には、映画館でチケットを買って見て気に入った上で買う、とやはり「購入」が先立つ流れだ。

音楽は違う。ラジオでしきりにオンエアされ運が良ければ気に入ってもらって、しかる後に購入に至る。
ポップミュージックだと聞き手の心にちょっとやそっと刺さっただけじゃダメ。より刺さるために露出を増やさなきゃなんて言われたりする。

多くの人にとって音楽の消費とは重大な行為で、買って聞くでは飽き足らず、収集構成し、自らの信義に沿って理解したりする。衝動買いで済まされない何かを提供することでもって、僕らは彼らの鑑賞の世界に食い込むわけだ。
ものがポップであれポリティカルなパンクであれ、実験音楽、アヴァンギャルドであれ、聞いて、気に入って、運が良ければ消費活動につながる。その順序は覆らない。買ってから聞いて気に入るなんてことは起きない。

そこいくと30秒のサンプルなど愚の骨頂だ。
まず聞かせ、心に留めさせ、虜になさい。どれだけいい曲だろうが数多ある選択肢の一つでしかないのだから、ケチケチせずどこにでも巣立たせなさい(そのほうがよほど簡単でしょう?)。
消費者との関係を結ぶなら制約なしに何度でも聞かせて所有欲をくすぐりなさい。
価値を提供すれば報酬を得られるのが資本主義であることは自明の理なのだ。
価値を決めるのも君ではない。

元記事にもあれこれコメントついてますが、7年前の事情下で記されたものに少なくとも僕が今とやかく言おうという気は起きません。
極論気味なのもああしたスタンスのサイトではある種のお約束ですし、色んな方の色んな事情下での色んな主張に共鳴する人もいれば共鳴しない人もいるのは世の摂理ばりに当然ですんで、ここでは「なるほど当時はそういう檄が飛んでて、今も通用するスジもあるなあ」とするのが生産的な読み方かなと。

当時(か数年後かわかりませんが)この檄がBandcampの運営に響いたのは間違いないってことですね。
Bandcampとしては「購入欲を掻き立てる自信がある貴方の作品を我がサイトで取り上げるのに、30秒のサンプルなどといった腰の引けたプロモーションをサポートする必要ないですよね?」というスタンスであると捉えてよいかと思います。