Techivation “AI-Loudener”
TechvationがAIを利用したAI-Loudenerを開発、リリースしました。
その意義
このどこにAIを活用する余地が…と思って説明を読むと、音楽を聞いて、その具合から適正な設定を行うってことらしい。
万能な設定を持つよりも、素材に応じた適正な設定が自動でなされたほうが効果として大きいというお話のようで、これには強く同意するものがあります。
Techivation製品に付属する日本語PDF(どなたかがボランティアで日本語化させてるのかと思いきや「Input-Outputメートル」みたいな怪しい翻訳があったり、中華フォントが使用されてたりするので、単に日本人の利用者が多いことに対するサービスか何かかと思われる;むろん内容がわかれば何ら問題はない)には、最も飽和する箇所を選択して3.5秒間程度学習させればよいとあります。
マスタリング前にインサート
色々思うところありつつデモ版を試してみると、表向き何かが変わるって感じでもないのですが、あえて逆に静かな場面で学習させてラウドな箇所を再生させると不快に歪むことから邪推すると、オーバーロードするような箇所を学習させた上でマスタリング段階に進むと出力時に歪みにくくなる処理、と解釈しとくのがいいんでしょうか…。
内部的にマルチバンドのコンプが適正な値でかかるようなものでしょうかね。
なので、ふだん作る曲が歪みやすくて困っちゃうって作風の方にいいのかもしれません。そうでもない方がわざわざ導入するようなものでもないとは思うのですが、もしゆくゆく必要になりそうと思われるなら今のうちに入手しとくといいでしょう。
先だって、Logic Proには機械学習を元にしたMastering Assistantなる機能が搭載されました。
これはプロジェクトファイルのオーディオをざっとスキャンし、4種類のアルゴリズムからお好みのテイストを選んでマスタリングデータを出力できるというものでした。
ちなみに下の記事のように、一般にはValveかTransparentが好まれるようです。
統合ツールである以上、AI-Loudenerとは守備範囲が異なります。
当初、ラウドな箇所を3.5秒程度学習させても他の箇所で歪むようなら、時間が節約になってもあまり嬉しくないと思っていたのですが、前述のようにひっそりとマルチバンドコンプまたはダイナミックEQがかかるようなものであるとするならば、Mastering Assistantをはじめとした各種マスタリングツールの動作を補うものになり得るんじゃないでしょうか。