サンプルとエンベロープ ほんのりガイド

サンプラー使いたての頃に勘違いしやすい点の一つとして、「サンプル素材に対するエンベロープ設定」があります。
結論を先に書くと、もとから減衰音のサンプルに減衰エンベロープを設定すると単に減衰が速くなるだけ。減衰しないエンベロープ(つまりサスティンレベルが100%)を設定したからといって、減衰音のサンプルが持続音になるわけではありません。

なのでたとえばシンバルのサンプル素材をサンプラーにつっこんで減衰を遅くしたい場合に、エンベロープでどうにかすることは不可能です。いずれもしかしたらそれが可能な仕組みが開発されるかもしれませんが、現状その機能はありません。
じゃあどうするかというと、もしサンプラー内にコンプレッサーが備わっているならそれで持ち上げるか、シンバルのサンプル素材に直接手を入れて(コンプレッサー、またはSound Forge等のように増幅可能なボリュームカーブを描けるソフトを使用する)減衰しなくする、その後、必要ならループを組んでサンプラーに突っ込む、というプロセスになります。理想的なのは後者のほうですが、ある程度経験がないと何をどうしたらいいかわからないかもしれませんね。一応、過去記事を貼っておきます。


以下、書きかけのセクションをそのまま転載。

サンプル・スタート

サンプル・スタートというのは、サンプルを鳴らすときにどのタイミングから鳴らし始めるかを指定するもの。
スクショのように、こんにちはの「ちは」だけ再生できるようになります。
パラメーターだけでスタート位置を指定するのは難しい(説明省略)ので、あまり積極的には使いません。

なお、再生しなさいという命令は鍵盤を押したタイミング(Note On)で発せられます。したがって「ちは」だけ鳴らそうってとき、

×鍵盤を押した瞬間には「こんに」の空白時間があって、その後「ちは」が再生される。
鍵盤を押した瞬間に「ちは」が鳴る。

エンベロープとの兼ね合い

CLASSIC, ONE SHOT, SLICEのおおむね3通りの鳴らし方があります。SLICEは特殊なのでスルー。

ONE SHOTは、打楽器や効果音など止める必要がない音に用い、鳴らした音を途中で止めることができません。
CLASSICは、他の楽器のように音を自分の手で止められる手法。鍵盤から指を離す動作(Note Off)が止める合図(トリガー)。

平等主義のエンベロープ

ONE SHOTもCLASSICもエンベロープってのが絡むんですが(【ビギナー向け】Logic Pro : シンセでの音作り – makou’s peepholeの「時間に伴って変化を与える仕組み」)、エンベロープは元の音の音量をまったく見ません。

元がどんな音だろうが、エンベロープはそれを1つのデータと見なして音量変化させるので、上のスクショのようにエンベロープを設定すると「ちは」の辺りで消え入ります。
はい、これも当たり前。だけど、

  • 減衰する音をサンプルとして使うと、エンベロープは減衰を速くできるだけ
  • アタックの遅い音をサンプルとして使うと、エンベロープはアタックを遅くできるだけ

短いシンバルの音を長くすることはできないし、立ち上がりの遅いストリングスの音をシャキッと素早く演奏させることはできません(後者はサンプル・スタートを調整することでそれっぽくすることはできる)。
したがって、使用するサンプルには多くの場合、下準備が必要です。