カセット( Cassette )の話題が某所で盛り上がってますが、それはそれとして。
最近カセットテープの音質を真似るプラグインが幾つか出ているので、それに類するものも含めて列挙しておきます。
こちらも参考にどうぞ。
カセットテープっぽい加工用
Klevgränd “DAW Cassette”
ブラウザからオーディオファイルをアップロードして効果を確認できるWebCassetteのプラグイン版。姉妹品でDAW LPを持ってるのでうちでは使ってない。
Klevgränd製品は全体的に効果がのっぺりしちゃうのが気にかかりますが、質は悪くありません。価格は$39.99で、iOS版が$12.99。
AberrantDSP “SketchCassette”
このプラグインのみを扱うAberrantDSPで、グラフィックに愛嬌あり。
デモ版がなく試せていませんが、DAW Cassetteとはまた少し切り口の違う劣化、圧縮を再現しようとしている気配。価格は$20。
2020/11/7追記:バージョンアップ版が出たらしい
SketchCassette II
Denise “Bad Tape”
持ってないけど、紹介動画のクオリティのせいか、UI含めた印象のいいのがDeniseのBad Tape。定位中央の天井が下がって奥まって聞こえるのはカセットテープに対する僕のイメージと合致しますが、高域の歪み方がちょっと汚い気もします。MIXパラメーターがあるのはナイス。
価格は€48.90で、今まだイントロ価格が有効っぽくて€19.90。
Wavesfactory “Cassette”
表面上はパラメーターが少なくて全くそそられませんが、歯車アイコンから開く設定の中でMIXも含めて実はかなり細く設定できるWavesfactoryのCassette。
歪み方はなかなかよく、潰れ方も強め、他のものより周波数分布に大きく変化が出る印象なので、極端な効果を好む方には手っ取り早く使いやすいと思います。
ハジけ過ぎたギターやベースのパートを大人しくさせるために使うのもよさそう。既に似たようなものを持ってるならわざわざ買わんでいいかも。
定価が€59.00で、イントロ価格が€29.00。
Auditory Lab “Cassette FX”
デモ版がなく試せていませんが、他とは少しタイプが違ってキーコントロールでサウンドを変化させられるらしきCassette FX。
価格は$13。Vaporwave、Future Funk系には便利そう。
【追記分】Caelum Audio “Tape Cassette2”, “Tape Pro”
機能多彩でマニアックに見えて、どちらかとLo-Fiで歪ませるのが目的なTape Pro。£39.99。
【追記分】Chowdhury DSP “Chow Tape Model”
一部ではマニアック過ぎるという評価もある、Chow Tape Model。フリーで、ソースコードが公開されています。
【追記分】Thenatan “Vybz”
音楽機材系の話題を専門に扱うYouTuber、Sanjay CのGiveaway企画でたしか無料で手に入れることもできたVybz(自分は購入した)。リリース時にはいい印象がなかったのですが、しばらく使ってると「まあ、これもたまにはありかな」と思いました。
シミュレーションとしての完成度は高くない。何らかの形でLo-Fiっぽくするためのものと考えたほうがよさそう。
Rancorsoft “TapeSound”
これはただノイズを加えるだけのフリーソフトで、何年か前にたまたま見かけたものなので今のDAW環境でも動作するのかはちょっとわかんない。
おまけ
Tom Cosm “Downgrade for Ableton Live Racks”
正直あまり使いでがあるものでもなかったのですが、CDMで紹介されていた(Free Downgrade turns Ableton Live into lo-fi wobbly vaporwave tape – CDM Create Digital Music)ので。
いわゆるテープマシン用
IK Multimedia “Tape Machine Collection”
カセットではなく、テープマシンの類いは大手各社から優れたものが幾つも出てます。IKのこれは比較的最近のもので、持っていませんが、Webで見る限り評判は悪くありません。
価格は€199.99。
【追記分】その他、雑多に
スクショなどまとめるのは少ししんどいので、海外のレビューで評判がいいものをPlugin Boutiqueのリンクで貼っておきます。むろん、ここに挙げる以外にPlugin Boutiqueで扱われていないものが多々あるので、ピンと来るのがなければ探してみることをオススメします。
- Softube “Tape”(Plugin Boutique)
- Tone Empire “Reelight PRO”(Plugin Boutique)
- Baby Audio “Taip”(Plugin Boutique)
- Audio Thing “Reels”(Plugin Boutique)
大手のものも一応。まずUAD。こちらStuderのA800のシミュレーション。
同じくUADのATR-102。この辺り、本物の動作を知っている人でないと使いこなせないと思ってます。自分もその一人。
次に、テープコンプ目的で使用している人が多いと聞かれるWavesのJ37。僕も試しに買って持ってましたが意外と出番がなく、以降アップデートしてません。
テープ加工された素材
テープ加工されたサウンドを販売/配布しているケースもあります。
THEPHONOLOOPではピアノやFMのエレピ、マレット(チェレスタとガムランの間みたいな音色になってる)のバンドル版とビブラフォン(下スクショのリンク)といった存在感強めの素材を複数フォーマットで扱っていますし、いつも僕が見るbpbのサイトでは606, 808, 909といったリズムマシンのサウンドをテープ加工して無償配布しています。
また2022年に発売されたSpitfire AudioのAperture Casette Symphonyは、わざわざカセットレコーダーをカスタムメイドしてオーケストラ楽器をレコーディングしたという、かなりの意欲作。
この手の素材はWebのあちこちで販売/配布されているので、探してみるといいものが見つかると思います。
BPB Cassette Drums – Free Drum Machine VST/AU Plugin
WavesfactoryのCassetteがリリースされたのを機に、急に思い立ってまとめてみたんですが、冒頭の5つのカセットテープシミュレーターが思いのほか個性的でした。自分ならどれを使うかって聞かれると、今は別に要らないけど、必要が生じて手を出すならWavesfactoryですかね。理由は、ただテープっぽくするだけじゃない別の効果にも期待できるから。