先日のTalkboxに関する記事の最後のほうで、ささやき声のボカロライブラリーを云々と書いたけど、今のうちの環境でささやき声を強引に作ることできるのでは?と思いました。
言うまでもないのですが、最初からささやき声で収録するのがベスト。
さて今回、素材にはAppleLoopsのライブラリーからボーカルフレーズとスピーチ(喋り)フレーズを用いました。
目次
🥇iZotope VocalsynthのTalkbox
もともと個人的な評価の低いVocalsynthですが、ささやき声に加工するには最適のようです。
ダメそうな物でもその活用の場を見つけないとねえ(貧乏性もあるけど必要は発明の母)。
ローカットしたノイズをシンセで鳴らしたものをサイドチェーンとして受け取ります。
Compuvoxだとロボットっぽくなり過ぎてレートも低く聞こえてしまい、Vocoderだとレンジが狭く聞こえてしまいますが、Talkboxでbrightの設定にしてあげると粒の細かい音声に加工されて、イイ感じです。
🥈Sonic Chargeのbitspeek
VocalsynthのCompuvoxに相当するspeak & spellのシミュレーターで、VocalSynthのそれほどレート低くは聞こえませんが、粗さが目立って聞こえてしまい、実用度としては低い印象。
🥉mda Talkbox
これについてもVocalsynthのそれに匹敵するクオリティではありますが、どうも昔流行ったゴノレゴの吉野家ネタっぽい声。
吉野家ネタはMacのスピーチシンセシスの「Whisper」に喋らせたもの、すなわちズバリささやき声ではあるのだけど、いま得たい音ではありません。
Ableton Live Vocoder
内部のノイズジェネレーターを使ってみましたが、そのままの設定だと音程感が残ってあまりよくない。
Rangeの上下の帯域およびBWを全開に広げ、RetroをOnにして多少雰囲気が近くなるかな程度。
ボコーダーっぽさも残ってしまうので現実的ではないですね。
Celemony Melodyne
リシンセシスって考え方からの発展で、通常ピッチ補正の用途ばかりに用いられるMelodyneのSound Editorを試してみましょうか。
結論をいうと、ささやき声にはできませんね、これ。
使いようによっては、ケロケロと全く別のロボ音声っぽく加工することができるので、別の活用法を編み出したいところ。
Alchemy
リシンセシスといえばAlchemyも備えている機能なので、ここにも音声を取り込んでリシンセシスしてみましょう。
ボーカルフレーズ部分は音程感が残ってしまいましたが、スピーチフレーズ部分はかろうじて許せるかな。
ノイジェネが備わっていないシンセなので、今回のようなノイズへの変換がうまくいかなくても仕方ありません。
Audio Ease Speakerphone
最近はすっかり使わなくなってしまったSpeakerphoneにも、圧縮音声をシミュレートする機能が備わっているので試しました。
クオリティを下げたときのグリッチーな結果は相変わらず面白いのですが、ノイズっぽく再生成するのは難しいっぽい。
ちなみに、このあと音声を4ビットまで落として、元音声と逆相で混ぜたらうまいこと抜き出せるのではと一瞬思いましたが、結論としてはそう上手くいかんかった。
Argotlunar
K-v-Rの掲示板に2013年に本記事と同様の質問がポスト(https://www.kvraudio.com/forum/viewtopic.php?t=381755)されていて、そこで紹介されていたもの。
ダウンロードするまで気づかなかったけど、たしかにグレインを荒らしてノイズっぽくするのは方法としてアリ。
にしてもこのプラグインはSaltyGrain(旧KTGranulator)とコンセプトがほぼ変わりません。
多少見づらさはあるけれど、SaltyGrainが有償なのに対してArgotlunarはフリーっぽい。今後も使うならこれで充分じゃないですかね。
同掲示板に、この他、SPEARやSoundmagic Spectral(アーカイブ)を勧めるレスがあったのでちょっと試してみたけど、思うような効果は得られませんでした。
幾つかのものはオーディオで書き出してみました。