「洋楽での」という前置きがつきますが、Sonicbidsのブログに「Is Pop Music Getting More Annoying? (And How to Avoid Pop Pitfalls in Your Songs)」、日本語でいうと「ポップミュージックはウザさを増しているのか(そして罠に陥らぬために)」という記事が。
Popsにおけるメロディや歌詞の 繰り返し ( Repetitive )に関する話題ですね(「反復」と訳すと”同じフレーズの連続”っぽく見えちゃうので「繰り返し」とします)。
概訳。
2017年、Collin Morrisはポップミュージックでの反復は増えてるのか否か気になり、1958〜2017年のBillboard Top 100の計15,000曲を対象として、歌詞中の全単語に占める特定ワードの頻出率を計測した。
私(Caleb J. Murphy)にしてみれば、過剰な繰り返しはウザい以外の何物でもない。
彼の提供してくれたチャートで、繰り返し率の上昇がわかる。1965年の1位より今の1位の曲のほうが繰り返しが多いという言い方も可能だろう。
10位に入る曲は1965〜2015年の他の曲よりおしなべて繰り返しが多く、一方で、ジャンルに関わらず(ビートルズであれジャスティン・ビーバーであれ、マライア・キャリーであれ)いつだって売れた曲は繰り返し率が高いとも語られている。リアーナが極端なのは、彼女のUmbrellaやDiamondsを思えばもっとも。ともあれ、図の両端を見てももれなく傑出したアーティストの名が見られるのは興味深い。ビートルズ、ビヨンセは右端の方に、ビリー・ジョエルやレイ・チャールズは左端の方に、と。
作家の教訓として
大きな教訓としては「やり過ぎるな」。
一切の繰り返しがないと聞き手は聞いてくれないだろうから、印象に残るメロディを繰り返し、軸となる歌詞は二度以上繰り返すのが得策ではある。だけどウンザリさせるまで繰り返したいとは思わないだろう。早い話、繰り返すことと展開することとでバランスを見ないと。1曲の中でどうするか、こうイメージしてみよう。
繰り返しによって聞き手を引き入れる。曲の中で”フードやドリンク”(に相当するもの)を促し、鑑賞に浸ってもらう。程よい頃合いで変化(刺激)を与える。ディミニッシュ7thみたいな意外なコードを弾くのでもいいし、露骨にしてはいなかったボーカルの底力を見せつけるのでもいいし、大サビの前に完全なる静寂のブレイクを挟んだっていい。変化(刺激)のお膳立てとして繰り返しを利用すれば、より効果も大きいだろう。両輪なのだ。
件のリアーナの曲ほどにすることもないが、誰の耳にも届かぬ曲にしたいとも思わないだろう?
ウザくしたくない? だけどそこから得られるものにも目を向けなきゃね。
基本、Sonicbidsの記事はこれからの作家向けなので、後半が牧師さんのお話みたいになっても仕方ない。
リアーナのUmbrellaとDiamondsってのはこれ。
それから「ボーカルの底力」と訳した”vocal run”ってのは、メリスマとかフェイクとかコブシに当たるもの。
引用の冒頭にあるように元記事の元記事は2017年のもので、データのビジュアライゼーションとしても面白いのでご覧になるとよろしいかと思います。
それからGIFでキャプチャしたように、踏韻箇所も軒並み繰り返しと見なしているので、そりゃ繰り返し率60%っていう数字も出てくるだろうと思いました。
思い出したのは、日本のCMソング界隈で昔から商品名連呼する手法。地方CMだと根強いですよね。いっときはCMになると音量がでかくなるなんて言われたのも手法の一つでしたが。
実際の効果を誰も測定してないならば迷信に過ぎないものの、繰り返せば根付き得ると言われれば「まあ、そうかもな」と思ってしまいますね。
もともとPops畑ではない僕ですが、歌ものを頼まれたときにはやっぱりメロディの繰り返しが多くなってしまいます。
といってもそれと評価は別で、自分の作に関しては、全然繰り返しのないもののほうが意外と評価良かったりします。考えられる原因は多々ありますけど。