チャンネルをある程度取りまとめることで処理しやすくなる Mix Bus 。
The Pro Audio Filesに、Mix Busでの経験談が紹介されていたのでザクッと訳す。
SSL mix bus compressorに魅了されて以来、ミックスバスで何を行うかは自分にとっての最大の関心事となっている。色々なものを試していく中で恥ずかしい失敗も犯してきた。これから列挙する失敗例がこれを読む人の今後の役に立ったなら嬉しい。
目次
1. Mix Bus がマジックをもたらすものと考えてしまっている
とりあえずミックスバスを作ってごちゃごちゃやってみる。何も効果がない。いったい何がプロと自分を隔てているのかと悩んだが、ミックスバスは手法の1つであって必須ではない。使わないほうがいい場合だってあるのだ。
2.処理を考えるタイミング
ミックスの大詰めでミックスバスの処理を行うと、音だけじゃなく、何日もかけて構築してきた仕組みもごちゃごちゃになってしまう。
早いタイミングで行えば、わかりやすい状態のまま構築できるのに。3.ミックスバス上でだけ問題を解決しようとしていないか?
たとえばシンセの低域が鬱陶しいだけなのにミックスバス上で処理しようとしてもよくない。問題がハッキリしたならその問題のトラック自体を処理するべき。
4.ゲインの調整は適切に
プラグインは設定次第で猛烈に音が変わるものだからレベル調整は確実に行いたい。アベレージで-18dB辺りをレベルメーターがうろつくようにして、プラグインの最大のパフォーマンスを得たい。
5.アタック早めのコンプ設定
依存しがちだが、元音のトランジェントを壊してしまい、音がまっ平らになってしまう。ミックスバスにおいても同様で、アタック遅めの設定も活用してトランジェントを保護してやろう。
6.やり過ぎ
過剰な加工が効果をハッキリさせるため調子に乗ってやり過ぎてしまうが、微調整程度で充分なときもある。ミックスバスにまとめる前のシングルバスで充分作り込んであるなら、ミックスバスで過度な加工を行う必要もなかろう。
7.リミッターのゲイン・コンペンセーションを行なってない?
サウンドを壊してまでガチガチにリミッターを働かせてしまい、望ましいサウンドバランスを見失ってしまう。ゲイン・コンペンセーションを使って、リミッターの効果と音量との関係をしっかり把握しながらミックスしたい。
8.特異な加工を重ねることに満足してしまう
サチュレーターやイメージャー、マルチプロセッシングなどナイスなツールは多いが、それらの効果の裏面にあたる欠点も把握しておくべき。これら抜きでもナイスなミックスができるのが理想だ。
9.マスターフェーダーに触れない?
マスターフェーダーはフェーダーという名の通り「音量を下げることのできる野郎」だ。サビにインパクトを加えるために、あるいはアウトロを繊細に聞かせるためのオートメーションを書き込むことをためらってはいけない。
若干耳の痛い話もあるけど、そこまで考えなしにミックスしてる人いるんだろうかという気もする。
生産性を考えて、僕の場合は自分用のミックスおよびマスタリング用のテンプレセットを作ってあって、つど必要のないプロセッサーをアンプラグしたりバイパスしたりする。もちろん全てのケースにおいてではないけども。