この間、音楽関連機材/ソフトウェアのニュースを見ていたら、いよいよサイドチェーン・コンプによるポンピングエフェクトのこと自体をサイドチェーンと呼ぶ例を見かけました。もはやコンプでもなく、プログラマブルなTremoloでしたけども。
サイドチェーンの手法自体はゲートやスタッター(Stutter)、ヴォコーダーなど色んなことに使えるので、ポンピングエフェクトだけ言っちゃうと固定観念化しそうでもったいないと思ったのでした。
Sweetsonicsの Laser なる、マルチバンド・サイドチェーン・コンプと思しきプラグインソフト。
![LASER (AU, VST3, AAX) for Mac & Win - Sweetsonics Audio Plugins](https://i0.wp.com/www.makou.com/wp-content/uploads/2019/07/19071301.png?resize=840%2C524&ssl=1)
Laserという命名ももはや食傷気味ではありますが。
いわゆるポンピングエフェクトを想定して触ると困惑するかもしれない。
Gain部分を左側つまりマイナス方向に回すとポンピング(ダッキング)になり、右側つまりプラス方向に回すと一種の逆ポンピング…というか出力絞ればゲートのように働くので、コンプとも言えない。
紹介動画が少しわかりにくいかもしれませんが、前半でいわゆるポンピングとしての働きを、後半でゲートとしての働きを説明しています。
ポンピング意図で使う際にはoffsetが利いてきます。多くの場合、一定レベルのサイドチェーン信号を検出してからattack timeを参照しつつ音量操作が働くためわずかに反応が遅れてしまい、ガツッというアタックの断片(スパイク)が残っちゃいがちで、それを最低限に抑えるために一般にはLookaheadを0〜1msecに設定するところを、LASERではoffsetとして調整可能にすることで完全に抑え込むことが可能になっているわけですね。
人によってはサイドチェーンを受ける側の発音を数msec遅らせることでアタックを残さないようにしていると思いますが。
つまりこのoffsetの手法は、先読み可能な”既に録音されている”OR”打ち込みデータ”だから可能なのであって、ライブなどリアルタイムの場では行なえません(マスターアウトのタイミングを遅らせてよいなら可能かもしれない)。
後半では実用例として、アンビエンスマイクでのスネアのリリースを調整していて、たしかに他のプラグインソフトでも可能な処理といえばそうなのだけど、サイドチェーンといえばポンピング一辺倒で考えてた人にとってはちょっとしたコロンブスの卵のように見えるかもしれません。
![LASER (AU, VST3, AAX) for Mac & Win - Sweetsonics Audio Plugins](https://i0.wp.com/www.makou.com/wp-content/uploads/2019/07/19071202.png?resize=840%2C1164&ssl=1)
マルチバンドではあるけれども、Gainに対してOutputが共有状態なのでさすがにポンピングと逆ポンピングを帯域別とはいえ共存させることはできません。
波形表示部分は、サイドチェーン有効時にはサイドチェーン信号が表示されているのですが、個人的にはサイドチェーン無効時と同じく当該トラックの入力信号を表示してくれたほうが嬉しいかなあ。
じゃないと効果は耳で確認するほかないので。