STRIX Instruments “Pripyat Pianos” Review 💭

Strix Instrumentsの PRIPYAT Pianos 、ご提供いただきました。

感傷抜きにいえば汎用性があるとは言い難い。
ただ収録されているコンボリューションデータ(インパルスレスポンス;残響)と元音素材の相乗効果がえげつないです。掛け値なしに。

メーカーサイトでは定価$199で、
Audio Plugin Dealsでは7/7まで$59.99のセール。
※金額を選択してググると日本円への換算結果が表示されます。
※Audio Plugin Dealsでのセールは終了しました。

Pripyatをプリペアドのロシア語とはじめ誤読していたらそうではなく、1986年チェルノブイリ原発事故が起きたまさにその土地の名、プリピャチのこと。
7年の間にプリピャチ内の25の土地を訪れ、そこで被曝し風雨に晒されて各々状態の異なる20台のピアノから少しずつ音を収集し、現場の残響を集め、最終的に「作り物ではない荒廃」を形にしたかったとのこと。

たとえば幼稚園跡。
廃墟写真としてもおぞましい部類ですが、「放棄された玩具や衣服、調度品が目に入る」という説明とともに「毎時0.95マイクロシーベルト」と、皮肉にも僕らに馴染みのある生々しい表現も見られるわけですね。

今年まさにChernobylという映像作品が大手ケーブルTV局HBOで公開されるそうで、音楽を担当したHildur Guðnadóttir(ヒルドゥール・グズナドッティル)がCDMで紹介されたり(For ‘Chernobyl’ score, Hildur Guðnadóttir went to a nuclear power plant – CDM Create Digital Music)、映像作品のBGMにおけるマテリアル(鉄骨など)の音が印象に与える影響についてdisquietで語られたり(The Chernobyl Effect)もしていて。
ある種の叙事詩に対してコンポーザーが何を語るべきかという点で傾聴に値します。

話戻りますが、コンボリューションリバーブって、ざっとかけるとボーカル曲であっても物悲しく響いちゃう印象があるんですよね。
だからかな、捨てられた町に野晒しのピアノに、この場所ならではの残響が加わることで暗澹たる気分もより増強されるというか。
ピッチのズレたピアノを曲で使うというのは、ラグタイム調であれば陽気さも表現できるのですが、それ以外の場合でいうと乱雑さや放棄の具現でもあって、それに切ない残響が加わるとなると、このライブラリーが使用できる場面はどうしても退廃の方向に限定されちゃうように思えるんですね。なので、先ほど「汎用性があると言い難い」と評したのです。
そのぶん、インパクトはなかなかです。
繰り返しになりますが、ピアノ自体の音は元が元だけに決して良くはない。現地のコンボリューションリバーブが乗っかって、想像した以上に暗澹たる気分になります。そして、それだけに使える場面が限られてくる、と。

少し気になった部分として、細かいですが、ピッチのズレはサンプリング素材自体が元から調律不出来であるならば、random bipolarなんて設定しなくていいんじゃないかと思うんですよね。

Sourceでピッチに対してrandom bipolarを設定すると、NoteOnのたびに異なったズレ方の音程が出ますが、それ、ピアノなどの鍵盤楽器じゃほぼあり得ないので、製品としてリアリティを打ち出すのであればこれはむしろ逆効果だと思います。
この場合、後付で音のズレを出す必要があるならmicrotuningを使うか、ストレッチチューニングをスクリプトで書いたほうがいいんじゃないですかね。

あと、画面内のパラメーターでDETAILにR,K,P,D,SとあるのはそれぞれRelease, Keys, Pedal, Damper, Sympathetic Resonanceで、いずれも付加的なノイズの音量です。
Native Instruments製のピアノ音源をふだんから使われている方には馴染み深いかと。

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