SoundRadix “Surfer EQ 2”

当初いつ使うものかと思ったが、最近のDynamic EQやMultiband系処理の話題が続いたことで、 Surfer EQ が何を目指しているか見えてきました。

開発は32bit プラグインを64bit化する32Livesを作ったSoundRadix。

Surfer EQ 2のインターフェース
Surfer EQ 2のインターフェース

要は周波数が入力音声に連動するEQで、たとえばこんなときの補正に向きます。

  • ベースの低域が出すぎているけどフレーズが激しく動くためにEQ処理では限界がある
  • ボーカルがマイクから遠すぎて芯が細い

アナログ機器等の特性を利用して調整するにしても充分な経験が必要ですし、根性でオートメーションを書き込むのも辛い。
another oneとして提案されたのがこのSurfer EQといえます。
ピッチトラッキング、もしくはフリケンシーフォローなど、いずれこの手法に名がつくでしょう。

ただコレ、なかなか紹介動画のように都合よく倍音を見つけてくれないようで、複数の音程が混ざった状態だとすぐ破綻します。
スレッショルドや反応速度での微調整、サイドチェーンでの制御にも対応しているので、パーフェクトに行おうと思ったら結局手間がかかりますね。
Melodyneに一度音程を拾わせてMIDIで書き出し、それをサイン波で鳴らすようにしてサイドチェーンに突っ込むといいかもしれません。

そもそも論になりますが、補正不要のOKテイクを残すのがやはりベスト
補正ツールの種類が増えれば増えるほど演者のミスが許されやすくなる一方で、作業者にとってはツール導入コストや作業時間の負担が爆上がりになります。
現実には、補正技術が生まれたところで完璧には直せません。むしろ補正技術が広く知られたお蔭で、補正したことがバレやすくなっています、実際。
「補正」とか一辺倒にいうから誤解が生まれやすいのかも。
理想としては「良いものをより良くするため」のポリッシャーであってほしい。

追記
類似した処理が可能なソフトには他にMeldaProductionのMAutoDynamicEq、iZotopeのNectar 3、SoundMagicのNeo EQ
既述のように和音やミックスバスには向かず、たとえば(Logicでいえば)MIDI制御エフェクト、サイドチェーンの方式で制御可能かは要チェック。
またSoundMagicは2019年以降急速に活発になったメーカーですが製品のレベル的には正直あまり期待できません(個人の感想)。