Soundiron “Hyperion Strings Ensemble”

Soundiron “Hyperion Strings Ensemble”

Soundironから久しぶりに大型の製品がリリースされています。Hyperionの名を冠した、オーケストラ音源シリーズになるんでしょうかね、3年前に発売されたMicro, Elementsから格段に膨らんで140GB近い容量に成長したストリングス音源、Hyperion Strings Ensemble。
NFRをいただいてますので操作感などまとめたいと思います。NFRだからって、甘口じゃ書きません、よろ。

質感、インターフェース

インターフェースと質感については動画でご覧いただける通りで、見栄えはMicroやElements、あとHyperion Brassとも大きく変わりません。
Soundironはタブの整理が比較的行き届いているので、全体的には使いやすいと思います。

サウンドの規模は、8/7/6/5/4編成(8型といっていいんかな、これ)だけど、少し厚めな印象を受けますかね。
質感は、焦点が中域にあって「曲のメインは私です」感が少し強めな印象を受けました。伴奏役に回ったときに少し据わりが悪いかもしれません。決して嫌いではないんですが。
メインかオブリで映えると考えると、久石譲氏のような欧州イージーリスニング臭漂う路線と相性がいいですかね…。
内蔵EQの制御でもう少し用途が広がるかも。

レガートというかポルタメントの感じは非常にいい(動画はやり過ぎ)。他の奏法とどう取り合わせていくかが使いこなしのキーになりそう。たまに他の奏法と交えると特定の奏法だけが浮いて聞こえるストリングス音源があるのですが、そこまでの別物感はありません。無茶は禁物ですけど。
あとビブラートのブレンドも(ディビジでなく演奏人数倍増の問題に触れはするが)効果的。
価格と相談しつつですが、これらの効果を求めるために導入するってのはアリかもしれません。

操作感

Native Access経由でないダウンロード&インストールになる(はずな)ので、Kontaktのライブラリパネルに出てきません。
Windowsの場合はわかりませんが、macOSではFinderからnkiをロードすると、ただでさえサイズのでかいデータのロード中、FinderとKontakt(DAW)の両方が虹色アイコン下となるため、不便だ〜と思いました。
となるとfilesないしquick-loadで扱おうか…。この2つ、自分も活用してはいるけど、便利かといえば疑問が残ります。

膨大なメモリ、高速なディスク、高速なCPUで動くPCをお使いならば特に心配もないと思います。
そうでない環境で使用する方にあっては、インストールが終わったらいったんBatch Resaveして、サイズの大きなnkiをロードしたあと、自分にとって使いやすいアーティキュレーションに絞ったインストゥルメントを作成して、メモリパージをした上でnkiを別名保存し、以降そのnkiを中心に使うようになるかなと。

PLAY ASSISTやARPEGGIOの機能は、使う人も少ないかな。そういう機能ほど工夫すると面白いのが通例だけど、このデカいライブラリで遊ぶには少々勇気が必要そう。

ホストオートメーションおよびMIDIラーンはかなり充実しています。使いこなすとフレーズに結構な説得力を持たせられるでしょう。

まとめ(?)

ソフトウェアやライブラリには「箱を開けてすぐ使える」の売り文句がしばしば見られますが、本製品はカスタマイズの余地を残したためか、そのセンからは遠い気がします。
言っちゃえば、ユーザ次第。自分を含むせっかちな作家さんには、この下準備の必要さが邪魔くさく感じられるとは思いますが、理想的な表現を実現するために労を厭わない作家さんには、なかなか力強いツールになるんじゃないでしょうか。