ProjectSAM “Lineage Percussion”

ProjectSAM “Lineage Percussion”

ProjectSAMから、Symphobia 4: Pandora以来となるでしょうか、オーケストラパーカッションの集積となる新作Lineage Percussionがリリースされました。Core版とFull版があり、収録内容にだいぶ差がありますが、何となく手を出してみようかって人にとっても選択肢が増えるありがたいリリースといえます。

これまで今ひとつとっつきにくかったインターフェースが本作から刷新、近代的でインタラクティブになってますね。
楽器のチョイスはごく一般的(擬音系の打楽器除く)で70(INSTRUMENTS » Lineage Percussion » ProjectSAM)、14キットにユーザー向けキットビルダー2つ、マイクセットは4チャンネル、XYパッド状のバーチャルステージ搭載、アダプティブシンク、NKS、Kontakt Player対応と、若干小ぶりに見えながら標準的な機能を搭載したといえます。

アダプティブシンクと余談

アダプティブシンクとは、クレッシェンドするサンプルの終わりのタイミングが拍に合うようにノートオンのタイミングを内部的に操作するもので、KeepForestなど他社製品でも似た機能を見かけます。が、再生尺やテンポが異なるとボリュームカーブに現実には一様でない変化があるなど、実際の運用現場では思い通りのタイミングに抑揚を合わせるのが難しかったりして、結局手作業の確実さを選んでしまうのです。なのでtiming-savingと手放しには評しにくいし、画期的な機能ともいいにくい(個人的にはです)。
といっても、おそらくデベロッパー側ってよりもNI側の研究がいま一歩現実に即しきれていないってことなのかなと推測します。KontaktのRise&Hitで尺調整すると「おや?」ってときがありますもんね。いや、発展の余地があるのはいいことですよ、ホントに。

刷新されたUIと余談

アダプティブシンクはさておき、バーチャルステージは大きな活用可能性を孕んでると思います。
また、実際に操作してみないと確実にはいえないものの、とりあえず一画面に押し込んで、狭く見えるならインターフェース全体をデカく表示すりゃいい的な発想が蔓延しつつある今、これだけ整理されたUIはとてもいいと思います。
Vir2のVital Seriesが比較的似たようなインターフェースを持っていて、画面下部の横長のページで切り替えて操作するスタイルであることを思い出しました。リリースが古いとはいえ、使いやすいかといえば、まあ使いやすくはなかったので、それを考えると何かもう少しやりようがあるのかなとは思いますね。画面遷移が現代的じゃないのは確かかなと。クリックすると点滅するとか、ヌルッとドロワーが出てくるみたいな視線誘導の仕組みが備わってないせいもあるのかな(多くのデベロッパーが自前のサンプルプレイヤーの開発に踏み出したのにはそういうとこもあるのかもしれません)。

いろいろ脱線しましたが、製品としては平均的なものという印象を受けました。詳細については上に貼った動画を流し見でもしていただくとよいかなと思います。