Logic Pro Xの10.4アップデートによりピアノロールのMIDIドロー機能がオートメーションになり、従来の手法を使っている人にとっては使い勝手が意外に大きく変わりました。
目次
余談:テンプレ
今回のLogic Pro Xのメジャーアップデートをきっかけに、うちで使ってるテンプレを少し見直しました。
- コントロールバーとディスプレイをカスタマイズで随所On/Off切り替え
- いったんピアノロールを開き、スナップとオートメーションの設定を変えておく
- ステップエディタのデフォルトのレーンセットを削除しておく(うちでは何故か日本語モードと英語モードで動作が異なり、初期状態の「自動」だと無意味に空のレーンセットが開かれてしまうので、それを削除して旧来の「MIDI Control」が開くようにしてある)
オートメーション動作の仕様変更
MIDIドロー機能がオートメーションとして機能するアップデートに伴い、そのトラックのオートメーションモードが「Read」のときにプラグイン等のパラメータに触れるとオートメーション表示対象が自動で切り替わるようになったのですが、少し複雑なMIDIインストゥルメントを使用した場合やプラグインエフェクトをいじった際にもオートメーション表示対象が切り替わってしまいます。
この機能のOn/OffはミックスメニューのReadモードでオートメーションパラメータを自動選択で切り替えられます。
使用頻度が高いようであればファンクションキーにでも割り当ててしまうとよさそう。
いちど目的のMIDIチャンネルと違うMIDIチャンネルで入力されてしまったそのMIDIチャンネルを修正するのはピアノロール上ではどうもできなそうで(厄介な!)、以下の対処方法が比較的シンプル。
- ピアノロール上のオートメーション表示のMIDIチャンネルを切り替えてカット&ペーストする
- メインウィンドウでMIDIリージョンに対してすべてのパラメータを永続的に適用する(なおフェーダーイベントには適用されない)
- イベントリストを開いてちまちま修正する
間接的なオートメーションパラメータが優先表示される問題
たとえばAmple GuitarをModulationで操作するときに、Modulationによって値が切り替わるパラメーターのほうがオートメーションパラメータ欄に表示されてしまいます。
こうなるとやはり、Readモードでオートメーションパラメータを自動選択は厄介。
Ample Guitarの話題が出たついでなので、何点か気付いた点と対処についても記しておきます。
値のジャンプをさせるドラッグコピー
Logic Pro XのステップエディタではたとえばModulation 0の16分音符あとにModulation 127という値を入力することで値のジャンプを行わせられ、かつてはギターのハンマリング・オンやプリング・オフを表現するのに活用されたわけですが、これがピアノロールでオートメーション表示した際に勝手に補間されてしまうことがあります。
補間を避ける方法としては、たとえば0と127の制御点がある場合、0の制御点をいったんクリックホールドしておいてOptionキーを押したままドラッグして127の制御点の箇所までコピーして持ってくるのが現在は有効。
ただしAmple GuitarやMODO Bass等のソフト音源のように、この手法だと中途半端な値で止まってしまうものもあります。この場合の対策は色々試したけど打つ手なしでした。
Ample Guitarのビブラート
Ample GuitarといえばModulationによるビブラートの設定が独特で、Auto Modというのを入れないとModulation値を上げてもただピッチが上がるだけ。
ビブラートのスピードも変えられないので、Pitch Bendで入力する他ないと思いきや、LogicからだとPitch Bendの処理が追いつかず、これまた厄介。
Modulatorの機能と利用
このModulatorってのもわかりにくい上に説明があまり無くて困ったサンなのですが、いちばん説明が必要そうな部分をざっとだけ書いておくと、
- ENVにあるTriggerのLFOは、ModulatorのLFOの値が天井についたときにENVをスタートさせるもの
- ENV to LFO Ampとあるのは、LFOのOutput LevelでなくOffsetに対して利くような動き(バグかな?)
- 通常、LFOとENVの両方をOnにする機会はほぼない
今回はやむなく力技で「Ample Guitarが定義する速度と違う速度でビブラートをかける」ためにLFOとENV両方をOnにしてます。
- CC#1 Modulationを利用する場合
- Ample GuitarのMod Rangeは0.75程度に設定、Auto ModはOFFる
- ModulatorのToをMod Wheelに設定、ENVのToはOFFる
- LFOのRateは4.8〜7.2Hzくらいが限度か
- Pitchbendを使う場合(オススメしない)
- Ample GuitarのBender Rangeは1か2に設定
- ModulatorのToをPitchbendに設定、ENVのToはOFFる
- LFOのRateは4.8〜7.2Hzくらいが限度か
- ENVをSync(♪ボタン)させ、Holdを全開の32barsに設定(ADSRのSustain値があるわけじゃないので、ギターが減衰音であることを考慮すれば、Holdを32小節にしておけばまあよいかと;秒数表示だと10000ms=10秒がMAXで、Sync状態だと仮にBPM120では32小節=64秒となり、断然こちらのほうが長い)
- ENV to LFO Ampを全開に設定(100%か-100%じゃないとかからない;これもバグかな?)
そんで、いつもならModulationでビブラートをかけるところを、LFOのOutput Levelをオートメーションさせることで、ギター向きの、ピッチが高いほうにしか上がらないビブラートを得ます。
デフォルト値が最小値ではないパラメーター、つまりたとえばPitch Bend(-8192〜8191)はLFOが0を挟んで上下に振れる形式ですが、たとえばCC#10のパンは64をデフォルト値としてくれないので、こういうケースではOffsetの値(と必要ならばENV to LFO Ampとの兼ね合い)で調整する必要があります。
念押しで書いておきますが、Pitchbendで揺らすタイプのビブラートをオートメーションで書くとLogicの場合補間処理によって情報量がオーバーフローしかねないため、LFOを介することで負担をかけずにビブラートを発効するという記事でした。
なお、このようにオートメーションでModulatorのOutput Levelをコントロールするって手法にしてもなお、Readモードでオートメーションパラメータを自動選択が作業を妨害してくるので、やはりこの機能にはキーコマンドをアサインしてすぐに切り替えられるようにしたほうが精神衛生面には良いと思われます。
以上、長くなりましたが、中身的には小ネタでした。