Logic Pro : スタジオインストゥルメント周りの動作

を、軽く復習。書き漏らしがありそうですが。
Studio StringsとStudio Horns、読み込みに時間かかるのが難ですけど使いがいがありますね。
似たような仕組みのものでKontaktのSession Strings ProとSession Horns Proもそこそこ使えるのですが、意外と自由が利かない。

Studio StringsとStudio Hornsはいずれも、

  • バイオリンやトランペットなどの単独音源モード
  • セクション音源(編成)モード

との区別があります。

インスト or チャンネルストリップ設定

ちなみに、Drum Kit DesignerやDrum Machine Designerがインストゥルメントのメニューにのみあるのに対し、Studio StringsとStudio Hornsはインストゥルメントのメニューとライブラリと両方にあります。
これは、インストゥルメントのメニューがソフト音源の列挙であるのに対して、ライブラリがチャンネルストリップ設定(この場合は音色)の列挙であり、Studio StringsとStudio Hornsが双方同じ名前で登録されてるせい。大した問題ではないんですが混乱する人いるかもですね。

ライブラリ(=チャンネルストリップ設定)でのメニュー
ライブラリ(=チャンネルストリップ設定)でのメニュー
インストゥルメントのプルダウンメニュー
インストゥルメントのプルダウンメニュー
ライブラリ(=チャンネルストリップ設定)でのメニュー
ライブラリ(=チャンネルストリップ設定)でのメニュー
インストゥルメント内でのメニュー
インストゥルメント内でのメニュー

したがって、インストゥルメントとしてのStudio HornsやStudio Stringsは、場合によっちゃライブラリにない音色を呼び出せることになります。
そもそもそれは当たり前なんですけど、デフォで自動的に開くライブラリにStudio HornsとStudio Stringsの名が見えちゃうせいで、「これらを使うならライブラリから開く」という固定観念が植え付けられちゃいますね(以前Mellotronが新機能として追加された際に、一時的に変則的な呼び出し方になってたのが頭に引っ掛かっちゃってるのかもしれない)。
とはいえ、Studio HornsとStudio Stringsも、Drum Kit DesignerやDrum Machine Designer同様にライブラリから選んだほうが圧倒的に扱いやすい。

MIDIチャンネルおよびマルチ出力

Studio HornsとStudio Stringsはマルチティンバーおよびマルチ出力に対応していて、マルチティンバー時(セクション楽器選択時)の楽器とMIDIチャンネルの対応についてはヘルプに次のように整理されています(Logic Pro X音源:セクションのMIDIチャンネルの割り当て)。

MIDIチャンネル 管楽器セクション 弦楽器セクション
1 セクション全体 セクション全体
2 アルトサックス1 バイオリン1
3 アルトサックス2 バイオリン2
4 テナーサックス1 ビオラ
5 テナーサックス2 チェロ
6 バリトンサックス ダブルベース
7 トランペット1  
8 トランペット2  
9 トランペット3  
10 トランペット4  
11 トロンボーン1  
12 トロンボーン2  
13 トロンボーン3  
14 バストロンボーン  

セクション音源でMIDIチャンネルを1のままノートを打ち込むと、その音程が守備範囲にある楽器すべてが鳴ることになります。
ただしAuto Voice SplitがOnになっていれば、各セクション内で和音が振り分けられます
ウィンドウ下部の▶をクリックして表示される拡張パラメータの、Allow Unison、Split Voicing、Split Modeの順にディープな…というか専門的な設定になっていくので、管楽器の和声や響きにこだわりがあるなら活用していいと思います(この機能、完璧とは思わないが)。

それから、マルチ出力先については(Studio HornsまたはStudio Stringsの「マルチ出力」を選んだときにチャンネルストリップ下部に示される)「+」マークを押すたびに追加されるステレオバスの番号が若い順に、上記リストの楽器順にアサインされていきます。

Studio Stringsのマルチ出力先アサイン
Studio Stringsのマルチ出力先アサイン
Studio Hornsのマルチ出力先アサイン
Studio Hornsのマルチ出力先アサイン

スクショに見える、これらマルチ出力のバスチャンネルに記されるトラック名は、Studio HornsまたはStudio Stringsのウィンドウ上でセクション楽器を定めてから既述の「+」ボタンを押していけば自動記入されていきます。手順を間違えると手動で1個ずつ入力するハメになります。
※決め打ちの楽器編成で作ることが前提の動作のようで少々疑問。

アーティキュレーション

大まかな仕組みやカスタマイズの流れについては以前記しました(Logic Pro : アーティキュレーション・セット – makou’s peephole)。

これもヘルプにあるのですが、Fall(Doitもかな?)はそのまま鳴らすと安定したノートが一発鳴ってから装飾音になり、Sustainなどの音程の直後につけるとすぐ装飾音として鳴ります。
他のソフト音源に置き換えにくいっつう少々変則的な動作ではありますが、GarritanのJBBがいちいちControl Changeの入力を必要とするのと比べると非常にラクだしフレキシブル。

Fallの連結
Fallの連結

欲を言えばExpressiveやCrescendoなどはなかなかちょうどいい位置にピークが来てくれないので、仕様の辻褄を合わせてほしいですね。
冒頭に書いたKontaktのSession Strings, Session Hornsは2拍か1小節単位にタイミングを合わせてくれるものの、それでも万能とは言い難い。
先日、テンポを変えた状態でオーディオデータとして書き出してflexモードをOnにしてタイミング調整してようやく、面倒ながら理想の抑揚に仕立てられました(下図)けど、他のトラックで重いプラグインを用いていてプロジェクト起動の重さに耐えかねてフリーズさせてたため、テンポ変更に従って再読込アンド再読込させられ、結局大量の時間を費やしてしまいました(フリーズトラックはテンポの変更を無視してくれてかまわないんだけどなあ;そのくせ「時間をカット/挿入」に対応してないんだから片手落ちよね)。
まあ、でも僕の活動は基本”意地で何とかする”なので結果としてはよかったかな。

バウンス用にテンポを変えた比較画像
バウンス用にテンポを変えた比較画像

いちばん上と、いちばん下のピアノロールが打ち込み内容。2トラック目がそのままのテンポでバウンスしたもので、3トラック目がいったんテンポを落としてバウンスしてテンポを戻したもの。
この手法自体は別段珍しいものでもなく、わりと昔からあるもので、だけど、

  • ビブラートに対応しきれない
  • 手順が面倒
  • サウンドクオリティの劣化を最小限に抑えたい

って理由で行う人が少ない。
以前のバージョンのLogicだとスタック状態のトラックを書き出すのが少々煩わしかったのですが、通常のトラック同様にバウンスできるようになったお蔭で、わずかとはいえこの手法もラクになりました。
ピッチを下げた状態でMIDIを打ち込んで書き出してオーディオデータでピッチ変更する手法も同様、これで少しラクになりますね。


また何か思いついたら書き足すかもです。