ググったらSleepfreaks以外に説明してるとこほとんど無いのね。
既に活用している人も多いとは思いますが、イマイチ掴めてない方用に考え方だけまとめときます。
基本的な使い方
キースイッチ方式の音源など、1つの音色の中で複数の奏法を切り替えて鳴らす音源をラクに鳴らす用途のものです。
下記はうちの環境にあるキースイッチ方式の音源いくつか。ここに挙げなかったものもあります。
本来キースイッチ方式は便利なのだけど、シーケンスを途中から鳴らそうとすると違う音色で鳴ってしまったりしてしんどい。
Logic純正のStudio Strings, Studio Hornsのように1つ1つの音符に奏法を定義してあげると、途中から鳴らしてもきちんと鳴ってくれます。
サードパーティ製品でもこの方式を適用できるようにするのがアーティキュレーション・セット(のカスタマイズ)。
アーティキュレーション・セットの基本的な使用手順は次の通り。
- トラックにソフト音源(の音色)を読み込み、
- アーティキュレーション・セット割り当て、
- ピアノロールで打ち込んだら(またはリアルタイムで弾いたら)
- 個々のノートにアーティキュレーションを設定する、
指定の済んだアーティキュレーションを一覧の状態にして目視することが今のところはできなそうでして。音符ラベル機能やオートメーションレーンに何故表示させないのか…。
代わりに以下の方法で、ある程度目視しやすくすることはできます。
- ピアノロールでカラー表示の対象をアーティキュレーションにする
- イベントリストの表示でアーティキュレーションのチェックを入れる(上のスクショ)
- 記号化してスコアに表示する。
アーティキュレーション・セットの指定
既製のものに対してはこれでOKで、だけど、あまり入り組んだ内容で打ち込んじゃうと再生時に処理し切れなくなるときがあります。
殊にStudio Strings, Studio HornsのSection Instrumentsは、読み込みが重いくせにフリーズトラック化(オフライン化)させにくい、かつ現状のアーティキュレーション・セットはその仕込みを解除して通常のキースイッチに置き換える互換性が欠落しているなど優等生の顔をした難儀な子で、個人的にこの2つの純正音色はメモリに余裕のある曲か、よほど吟味した場面でしか使いません。
でも違う言い方をするとサードパーティ製でこそお手製のアーティキュレーション・セットが軽やかに使える、と。
処理の流れ
打ち込んだらすぐ音が鳴るって状況に慣れ過ぎてるとピンと来にくいかもですが、打ち込んで音が鳴るまでの間にアーティキュレーション変更の処理がなされると考えるとわかりやすい。一種のMIDI FX。
「そらそやろ」と思っちゃいますが、お手製のアーティキュレーション・セットを作るときにはここに立ち返る必要がちょいちょい出てきます。
試しにお手製アーティキュレーション・セットを作ります。
手作りの流れ
アーティキュレーション・セットの設定項目が多くてどこから手を付けていいかわかりにくそうですが、動画に示した手順で機能します(AとかBとか名称は変えてください)。作ったセットは、保存を忘れずに。
ポイントとしては、
- アーティキュレーション、出力、スイッチの順にやっつける
- アーティキュレーションの名前はReturnかEnterで入力状態になる(マウスのダブルクリックだとマウスのポインタをずらさないと反応してくれない)。
- あとで名称変更できる(アーティキュレーション・セットの管理を参照)。
- テキストをコピペする場合、改行もペーストされてしまい、誤動作の原因となる可能性があるのでお勧めはしない(アーティキュレーション・セットの管理を参照)。
- 記号(ఠ、♞)、絵文字(🏋🏻♂️、♉️)は使用OKっぽいがどうなっても知らん。
- アーティキュレーションIDは要なので、順序を乱さない。ここで失敗すると出力を調整するのが面倒なのでちゃんとやったほうがいい。
- 出力欄のプルダウンはマウスクリックしたあと左手でキーボードの矢印やらReturnやら使うと早い。
- アーティキュレーション、出力に項目が出揃っていればスイッチの部分は+で項目数を揃えればいいだけ。
なので、項目数によるとは思いますが、シンプルなものであれば3,4分で作れます。
出力でのタイプというのは、先ほどの「処理の流れ」になぞらえると、いったん打ち込まれたノートをどういう情報に変更して音源に送り込むかと考えるとわかりやすいかも。
何かしらノートを打ち込んで、それに付随して(実際には鳴らさないけど)C-1のNote Onを音源に送り込むって意味なので、実際のとこNote On以外の選択肢はあまり活用の場がありません。
もしやるとしたら、特定のキースイッチでビブラートがかかるようにするとか? MIDI FXと絡めたらかなり妙なこともできるのかもしれません。やんないけど。
可能性のある設定がすべて選択肢として用意されているために取っ付きにくくなっていると言って差し支えないでしょう。
「スイッチ」の役目
アーティキュレーション・セットの左端のペイン、スイッチの項目は呼び出し用で、個人的にずっと謎に思っていたのはモードの部分。
僕の環境がMIDIキーボードを常設してるわけじゃないせいでずっと謎でした(スクリーンキーボードだとうまく機能してくれない)。
モードだけでなくスイッチペイン自体が、MIDIキーボードでキースイッチを積極的に使用してノート入力している制作環境で活用されるものであり、キースイッチそのものに対する動作を指定するもの。
早い話、上のスクショの例でいうとFall ShortやFall LongはG0なりB0なりのキーを押してる間しか機能しません。つまり鉛筆ツールでぽちぽち打ち込んでいく人には出番のない機能ということになります。
アーティキュレーション・セットの管理
保存したものはAudio Music AppsフォルダのArticulation Settingsにあり、不要なら捨てたり、ファイル名を変更するのも直接行なって大丈夫そう。
Logicを再起動する必要もなく変更はすぐに反映されます(使用中のアーティキュレーション・セットはいったん指定を解除して再指定する必要がある)。
Finder上でサブフォルダを作ればアーティキュレーション・セットにサブメニューとして表示されます(プラグインマネージャーは「:」でサブメニューを作れる)。作りまくった場合にはフォルダで管理しとくといいかも。
設定はplistなので、設定内容をLogic内でいちいち修正するのが嫌ならテキストエディタかplist用のエディタ(Xcode含む)で開いて編集してもいいと思います。が、万が一のためにバックアップは忘れずに。
たとえばうちの環境でKontaktのFactory LibraryのString Ensembleに対して設定したアーティキュレーション・セットの内容はこのように記されています。