KORG “wavestate” 所感

年末年始、何のニュースもなかったのにNAMMショー近づくと流石にこうなんですね。
近年シンセ類はドイツのSuperboothのほうに照準合わせてくると聞いてましたが。
KORGは先の記事で記したSV-2(リークですが;Korg SV-1 の後継が出る? – makou’s peephole)に続いて Wavestate を発表。

ICONさんはじめ各誌が仕様等に関して伝えてますんで、詳細はそちらを。ここでは所感のみ。

wavestate - WAVE SEQUENCING SYNTHESIZER | KORG (Japan)
wavestate – WAVE SEQUENCING SYNTHESIZER | KORG (Japan)

第一報のニュースとKORGの動画は比較的淡々としたもので、特に感想もありませんでした。
ところが、下の機能紹介動画には軽く腰が浮きましたね。

Wavestation(Wikipedia)の音色というのは、もちろん使いどこを選びつつも画期的なもんでしたけど、その時代をじかに経験された方や旧KORG Legacy Collection, KORG Gadget(Gadget上ではMilpitasの名で現れ、MilpitasはWavestationが開発されたとされるKORG R&Dのあるカリフォルニア州にある)をお持ちの方ならご存知のとおり、今にして思えばペッラペラのカッサカサ。
そうした懐かしい素朴な響きの音色も中にはありつつ、先代から20余年経て、動画で聞けるストリングスやピアノの音色に関しては一般的なPCM専用シンセと遜色ないクオリティに達してますね。
ほかにどのくらいのPCM音色が収録されているのか(”240以上のパフォーマンス、740 プログラム、1,000 ウェーブ・シーケンス”と記されているものの、Wavestationがそうだったように数えにくい仕組みなので多いのか少ないのか判断し難い。ただWavestationの数千倍と記されています)が、僕にとっては活用可能性の判断材料です。それこそSV-2の先代にあたるSV-1が、ライブラリーの奥行き狭く、潰しの利きにくい代物でしたから。「その音色出ねえって」と言っても頑として選曲を変えないボーカリストに泣かされる率が相対的に上がり、キラーなシンセより無難なオールラウンド型シンセに依存せざるを得なくなるてなもんで。
そんで、動画とひとしきりの仕様情報を見た後で¥79,800という価格はあまりに安すぎる印象があって、何かとんでもない落とし穴があるのではとすら思ってしまいます。壊れやすいとか同期非対応とかかな。

あまり載せられてない背面写真をば(via wavestate - WAVE SEQUENCING SYNTHESIZER | KORG (Japan))
あまり載せられてない背面写真をば(via wavestate – WAVE SEQUENCING SYNTHESIZER | KORG (Japan)

Wavestationを経験してない世代の方にとっていわゆるPCMシンセでないシンセといえばこれまでアナログシンセ止まりだったわけで、それもそう簡単に面白い音が出るわけじゃないのだけど、VCO, VCF, VCAとEG, LFOがわかればどうにか制御はできたもの。ところがwavestateのコントローラー部にはそのアナログシンセやモジュラーシンセはおろかPCMシンセのボキャブラリーにないものが多々見え、カッコいいけど、未体験の方々には混乱を来すのではと思います。
まあ、今さらどのくらいの人がプリセットを使わずに音楽するのかわかりませんが。

こうしたWave Sequenceみたいなチョコザイな仕組みのものは、PCでも理論上不可能じゃ全然ないけど、サウンド的に代替表現があるためか、あまり好まれないんですよね。
そこにパフォーマンスという形で4レイヤーもできるシンセが登場となると、ICONさんの見出しを借りれば「超強力」と言わざるを得ません(…と、製品ページの「wavestateの構成」の図で「ScalesとTempo」の箱が孤立しているのが気になるな)。
なんならPCからの卒業と言っちゃいましょうか。PCは一回性や偶然性にめっぽう弱いですからね。
はたして多くの作り手の環境がそうした一回性の方面にシフトしていったとき、今まで発注していた側は今までのままのお仕事の手順で対応できるのかと一瞬不安が過るのです。
こういうのって憶測、邪推には違いないのだけど、事態がそうなってから考えても後手なんで、不充分でもふだんから憶測、邪推巡らしとくくらいでちょうどいいと考えてます。