Impact Soundworks “Django Jazz Guitar”

Koto Nation などニッチな民族楽器や弦楽器をクオリティ高く扱う Impact Soundworks から、ジプシー・スウィングでよく知られるマカフェリのギターサウンドの音源、 Django Jazz Guitar がリリースされました。

Kontakt用の音源

先月、知人の結婚パーティーで久しぶりにお会いした方に、雑談の中で「ジャンゴみたいな、グラッペリみたいなのを作ってもらうかしれん」と(社交辞令的なアレかもしらんけど)持ち掛けられたこともあり、また使うかもなってことで買っちゃいました。

Django Gypsy Jazz Guitar (VST, AU, AAX)
Django Gypsy Jazz Guitar (VST, AU, AAX)

買ったからには使わなきゃなあってことで、個人作にこれ系の曲を突っ込めやしないかと昨日の今日で目論見中。

ジプシー・スウィングっていうと、前にも書いたけれど基本的には古臭い印象があったり技術指向が過ぎる印象があったりで、苦手な人にはめっぽう苦手かもしれない。
だけれども、雑な言い方をすると僕らの活動域ではまだそんなに畑が耕されてないので楽しみ甲斐があるというか。19,20歳くらいの人がやってたら掛け値なしにカッコいいなあと思う(親がその手のジャンルに詳しいってケースが多い印象だが)。

正直、期待していなかったのだけどSoundcloudに上がっていたデモを聞いてびっくり、そしてYouTubeに上がっている商品解説を見て、再現クオリティを上げるためにエラー率を設定するパラメーターがあるということに二度びっくり。

完璧じゃないですか。

とまあ、しかしよくあるのが、複数のトラックを使って再現度を上げたり、あるいは某社製品のようにクオリティは超一流だが膨大にメモリを喰うのでおいそれと使えないライブラリだったり、あるいはミックステクニックで使いにくさがカバーされていたりするパターン。
たとえばEmbertoneのバイオリン音源Friedlanderなんかは非常によいサウンドだけれども、本気モードで使おうとするとメモリ消費が尋常じゃなかったりするので、さわっと使うよりも完全フィーチャーするノリでないと(貧乏性の私は)使いにくい。
そういやNAMM2016中の話題でAuddict社のバイオリン音源Virtuosoを取り上げたけれど、つい最近製品名称が変わったらしくWebページのURLも変更となり、この日記のシステムであるWordpressからリンク切れ報告が届いた。考えてみりゃ元々の「Virtuoso」って名前、商標上ほぼ間違いなく使えなさそうだ。

動作やいかに

デモ版などで試すこともなく即購入してしまったので、失敗だった場合にはけっこうな授業料を支払ったことになるのだが、いずれ何かの形で報われると信じることにしよう…。
で、何か打ち込んでみてこの日記に載せようと思ったら、打ち込みやすげで比較的メジャーな曲、Minor SwingもCaravanも著作権の管理状態にきな臭さを感じたので断念。
相変わらずで申し訳ないのだけど、以前ゲームに提供したTrompe L’œilを流用します。

音がモノラルになっちゃって聞きにくいけど、1時間ちょっとザクザクいじった程度でこのくらいにはなる、と。

BPMが早すぎるせいか随所で音のリリースが崩れてて「あら?」って感じなので、BPMは100落とした遅いバージョンも貼っておく。

以前はReal GuitarにSpeakerphoneを通してリズムギターパートを作っていたのだけど、ここではほぼ無加工。

Real Guitar+Speakerphoneと比べると嘘くささは圧倒的に薄まっている。
動画でもわかるがドラムやフィドルはむしろ邪魔でミュートしたくらい。

リズムギターとリードギターとで2つのライブラリーから成っていて、リズムギターは完全にコードをフレージングするだけのもの、リードギターは5つほどの奏法をキースイッチングしながらメロディを作っていくもの。

コードネームが表示されている状態
コードネームが表示されている状態

コードの入れ方はKontaktのFactory LibraryにあるAkkord Guitarと似たようなものだけれど配列が全く違って、最初のうちはDjangoのホストであるKontaktの画面を開きっぱで、コードネームを目視で確認しながら打ち込んでいくことになりそう。
これがけっこうイライラするので、(つい最近Kontaktは5.6に更新されたばかりだけれども)Logicのピアノロールの「ドラム名」その他LiveやStudio Oneの類似機能のようにキーに機能が表示されるべきだ。
ちなみにVir2のElektri6ityなんかは、いまだにどこに何のキースイッチがアサインされているか覚えてなくて、Elektri6ity(http://www.vir2.com/instruments/electri6ity/)でしか打ち込めないようなフレーズを思いついたときには毎回いったん覚悟を決めて立ち上げる。キースイッチってのはそのくらい憂鬱なのだ。

当然のことながらコードは、ジプシー・スウィングで用いられる最適化されたコードのみ。
コード表記は欧米式なので、Real Bookいわゆる赤本に慣れている人なら問題ないが、マイナーが大文字のMで書かれていたりするので若干注意(知らない方のために一応記しておくと、日本だとM7はメジャー・セブンスになりがちだが、あちらだとマイナー・セブンス。個人差も結構あるようだが)。
コードをシーケンスさせるモードもあるが、うちの環境だと妙なレイテンシーが発生して、とうてい使えるとは言い難いものだった。
リード用はマイク録りとDI録りの2種類が別々にあって、混ぜるというのは無理。贅沢に2つ立ち上げるならいいかもしれんけど。
Effectってタブには見覚えのあるコンプやトランジェントデザイナーが並んでいて、わかってる人は軽くほくそ笑む。

汎用性があるかというと、ホントにこのジャンルを好きな人以外が手を出すにはよしたほうがいいものだと思う。