HYBE が AI 音声企業を買収

MusicTech で、BTS を擁する HYBE が AI 音声 のデベロッパーを巨額買収したというニュースが取り上げられています。HYBEは既に AI サウンド企業への投資を行なっており、MusicTechではバーチャルK-Popグループが近い将来登場するのではと推測しています。
記事では、音声分離と合成技術を活用することで実在する/した人間の歌唱ひいては歌唱時の生理を効率よく学習する…という研究に対してスポットを当てているので、AI BTSとかその辺りを想定した記事なのかな、って気がします。

同記事からリンクのある過去記事、AIが音楽をどう変えるのかって記事も興味深いので、興味ある方は原文でお読みください。

ここんとこAIアートの話題も過熱気味。「AIとは何か」「”AIでない”ことをどう証明するのか」が眼前に突き付けられてる気がします。
10年ほど前、歌が巧すぎるボーカリストがピッチ補正疑惑をかけられて評価が下がるって話を書きました。またロシアのGot Talentショーだったか、幼い子の歌が巧すぎて口パク疑惑をかけられる動画も見ました(この動画自体はスカッと的文脈で消費されたわけですが)。
これらはいずれも数年前の話。イラスト界隈でまた、巧い人がAI使用してる疑惑をかけられてるのを見て、似たようなことはどこでも繰り返されるんだなあとしみじみ。
疑心暗鬼はたぶん生きている以上通らなきゃいけない道なのですが、もはや当該作品だけ見ても判定できない精度に技術が達していて、前後関係やら文脈やら作家の人間性やらを判断材料に動員しないといかんっぽいです。リテラシーが問われるというかハイコンテクストというか。

個人的に、この辺りのAIの使い方はデモンストレーションの域内を超えず、いずれ飽きが来ると思ってて、音楽でいえばSonibleやiZotope、LANDRのような「活動を支えてくれるもの」に活用の場が落ち着くかなと思います(そう成り果てるという意味ではない。中心地が一旦そこになるだろうって意味)。
ちなみに、ちょっと前まで、斬新な音楽はそれでも結局人間が作るだろうと思ってたんですが、最近は、「やっぱ人間が作っちゃ面白くねえな」って言葉が発せられる時代がもう間近に来てる気がしています。某所で言う「技師」(つまり供給者側)を目指すなら基礎知識や応用知識は結局ないがしろにできなそう。

“These tools just widen the funnel of people coming in and making music,” says Rowland. “Ultimately a percentage of those new creators are going to stick with it, level up, and become professional musicians who hire professional engineers.”

Smart Songs: how AI is changing the way we listen | MusicTech

これからの創作がAIドリヴンになっていくかどうかは、消費者および消費者兼供給者が未来に対して何を思い描くか次第、とはMusicTech誌でも語られているところであり、自分も同感。
適度にAIを容認し、適度に拒絶し、付かず離れず付き合っていくのがいちばんベクトルとしては効率的なのかなと。