ぶつかっても許されるメロと、許されないハモ

いい例が思い浮かばなかったので日記としては書かずにきたのだけど、「コードとぶつかるメロは聞き流せる」けど「コードとぶつかるハモは聞き流せない」ってのがあるのですよ。
以前から僕の曲はよく、メロはなんとか歌えるけどハモりが鬼畜って言われてて、そのように作ってるというと語弊がありますが、ホントはメロが押し切ってるだけだったりします。

ざくっと作ったものを元に少しだけ書いてみます。

前半をもとに後半にコードアレンジが加わってる。
前半をもとに後半にコードアレンジが加わってる。

前置き1

メロのラインをこう全部4分音符で作るのは、メロ作りの基礎訓練としてよく行われます。歌詞がまだないんで大体のラインを作るって手法。
最近は歌詞とメロが先に思い浮かんじゃう人が多いと思うので、こういう訓練はほとんど必要ないかも。

前置き2

キーの調号が付くと難しく見えるので、調号が付かないキーで作りました。
一般的なボーカルの音域より高いのは勘弁。

本題

前半の8小節を元にして、コード進行だけいじったのが後半の8小節で、定番の「後ろから作ってく」手法を使ってます。
コード進行は譜面でいうと左から右に作っていくのが標準といえますが、下段の2小節目や3〜4小節目は、そこをわざといったん空欄にし、後続するコードに辿り着くように作られてます。3小節目のAmに辿り着くように2小節目を、5小節目のDmに辿り着くように3〜4小節目を、と「後ろから作ってく」。

▲部分の音程は"押し切ってる"箇所
▲部分の音程は”押し切ってる”箇所

少し調に変化があったほうがドラマチックってことでBmだのE7だの圏外のコードがよく持ち込まれますよと。「差し込みII-V」とでもいうべき王道の手法。
これによってメロの音程がホントは怪しくなってる(譜面の▲の箇所;✕じゃない)のだけど、押し切っちゃう、というのがここ数年よく見るパターン。
シビアに調に合わせてメロディをイジるとラインがかえって不自然になるんで、当初は苦肉の策だったのかもしれませんが今やすっかり定着してます。
流れで聞くと違和感ないのに、その和音とメロディの箇所でいったん止めて響きを鳴らしっ放しにすると「合ってる、これ?」って気分になります(経過音もそれと同じなので、止めたときの響きの良さで判断するのは実はあんまりアテにならない;ただ、メロディラインの場合、経過音とは言い難い)。

Bmの箇所をB7-9にしてCナチュラルを使いやすくする慎重派もいます(世代的には上のほうか)。
ハモりも想定してBm7-5、AORに造詣深くてB7-5,-9、フュージョン好きならF7/Bを使う人も、と選択肢は多々あります。
そうしたイジりのパターンが作/編曲家のキャラになることもありますし、一人の作/編曲家が対象とするリスナーによって手法を変えることもあります。

で、この例自体はそんなに厄介じゃないにしても、さあこれに下3度のハモりを加えようなどのときに「ムムッ?」となる人は多そう。
Bmの箇所はいいとして、3小節目のE7/G#のときにメロがGナチュラル使ってるので、次の拍に至ったときにメロディのBのハモりにGナチュラルを使うかG#を使うべきかは迷いどこ。
Gナチュラルでいくのがたぶん今は一般的。
が、たとえばドラマチックさを演出する目的でストリングスパートが加わってる場合、その流麗なフレーズに引っ張られてG#を鳴らしたくなることもあり得ます。
コード進行とメロディ以外にサブ的に楽曲を構成している要素も、音程には影響を与え得る、この点に注意は必要だと考えます。

なんにせよ、ドラマチックさをどの程度演出するかでハモりの難度は変わるといえるわけで、ハモり好き+ドラマチック好きって属性を持ったボーカリストの方は、ハモりで苦しむ覚悟を持ったほうがいいかもしれません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です