Artiphon on Kickstarter

Kickstarterで資金が募られている Artiphon 。既に目標金額は達成されています。

結論はありません。気付いたことを羅列するだけ。

この形状のデジタル楽器は近似したものを既に幾つか見かけているので、特段目新しさを感じないのですが、順調に資金を集められた様子。何が魅力的に映っているのか、説明文を概訳してみます。

概要

  • スマホやタブレット、PCとの連携次第でいかなる楽器、奏法、サウンドを得られる
  • マルチ・インストゥルメント・テクノロジーによりギター、バイオリン、ベース、ドラムマシンなどの楽器へ様変わり
  • GarageBand等を使用して、ストラミング(ギターの掻き鳴らし)、タップ、ボウイング、スライドなどなどの奏法に対応
  • 弦様のインターフェースはMIDIを通じて様々なソフトとともに機能
  • 人間工学に基づいた設計で、様々に持ち、構えることができる。利き手にもとらわれない。
  • Artiphonアプリにより新しい楽器やカスタム・チューニングを設定可能
  • 軽量で頑丈で、セルフ・パワー、何よりシンプルである
  • テネシー州ナッシュヴィル産

ヴィジョン

我々は、誰もが音楽を奏でられると思っているし、多くの人がそれを望んでいると思っている。Instagramで素敵な写真を容易に撮影できるように、音楽を奏でるのだって特権的である必要はないと思っている。画面の中のアプリを演奏するための(実在の)楽器を形作り、多くの人が日常的に音楽表現を深められるようになればと考えている。

キャッチになるのはここですね。
製品そのものよりその向こう側、つまり”非/未”音楽家の関心を集めたい、っていう意図の部分に共感が得られたのかなと思います。コメントページからはちょっとわかりませんでした(わりと、音楽家からの反応が多いようです。”非/未”音楽家が怖気づいてコメントしていないせい、ってことはないと思いますが)。
近年は特殊奏法みたいなの流行ってる雰囲気ですけど、よくわからん人にとっては、よくわからんのに自慢気に見せつけられても不快だったりします(むろん大道芸としての価値がないというわけではない)。なので、そういう先鋭的な方向じゃなくて、誰でも触れば音が出て楽しげなものを楽器様のハードウェアとして提示したいということだと思われます。個人的には、音を鳴らしたいとき以外ジャマじゃないの?とか奪い合いになるんじゃないの?とか思っちゃいますが、ゆくゆく解決されてゆくことでしょう。

どうしてKickstarter?

取っ掛かりの製品、INSTRUMENT 1を熱狂的な人に向けてアピールしています。 Kickstarter はアーリー・アダプター、イノベーター、音楽好きによる有力なコミュニティですから。クラウドファンディングの要は、我々のヴィジョンに共鳴し、実現に向けて協調してくれる人々とダイレクトにつながれることであり、我々は全てをオープンにしたいと思っています。Kickstarterは楽器がどうあるべきかを考え直すための完璧な場所であり、皆さんとお近づきになれることに興奮を覚えています。

あと、これは”場”に対する敬意ですね。
Kickstarter 自体が半ばコモディティ化しているっぽいとはいえ、そのぶんウケやすいプレゼンみたいなノウハウの蓄積ができてると思うんで、ランディングページの指南みたいなビジネスもあるのかもしれません(わかんないけど)。

動画前半は、何人かの人が順番に、”何なのこれ?”→”楽器ねぇ、ふぅ〜ん”→”面白いじゃん、これ、フゥ〜!”ってなってく定番映像。
中盤で「弦楽器だと、一本の弦で2つの音程を出すことできないんだよね」って言ってる人います。そういうとこに気付くのは大事ですね。

そういや、

Studio Jamsシリーズの動画は以前にも取り上げたことありますが、おっと、これも偶然スタジオがナッシュヴィルですね、マイケル・ジャクソンのHuman Natureをセッションでカバーしている映像。
トレイシー・シルバーマン(Tracy Silverman)って人のエレキバイオリンは6弦で、フレット打ってる部分があります。意地の悪い見方をすると「奇を衒いやがって」ってことになるんでしょうけど、ポジティブに見れば「この人だからこその楽器」。
自分だからこその楽器っていうとステータスの誇示として見られる向きがありますが、もともと多少個人差があるから直感がおいしいのであって、そうした部分にカスタマイズってのが反映されたりするわけです。でもカスタマイズって金額がベラボーに高くなるもんですから、何らかの革新的な方法で手近に楽器の構造や形状にその人の直感が吸収されるようになったらいいなと。
Artiphonがそうしたアイディアの引き金になってくれないかなあと思ったり。