Apple 、 Camel Audio を買収

AppleによてCamel Audioが買収されるという噂が流れていて、ほぼ確実と考えられそうです。

Camel Audio products no longer for purchase

Camel Audioのサイト閉鎖

Camel Audioのサイトが閉鎖したとRekkerdで伝えられたのが今年1月のこと。

Camel Audio "Alchemy"

Camel Audio “Alchemy”

Camel Audioというと、かつてBTが太鼓判を押していたAlchemyの認知度が最も高そうですが、K-v-R(http://www.kvraudio.com/q.php?search=1&q=&dv[]=118)なんかで見ると他にCamel Crush, Camel Space, Camel Phat, Cameleon 5Kといった風にInstrument、FXと幅広い分野の開発実績がある結構な老舗という印象があります。Camel Phat Freeはなかなかの出来だと思います。
サイトが閉鎖して実に素っ気ない状態になったことに、よほど切羽詰まっていたのかなと思わされましたが、

と昨日一気に話が広まった様子で、なるほど買収ならそうなるかもしれんと思いました。
ICONさんとこでも記されていますがCamel Audioの企業情報が更新されてiTunesに関する欧州の首席弁護士の名が連ねられているとのこと(App StoreやiTunesは今回関係なく、単に近場で都合のいい人の名が使われたのではないかとCDMは推測)で、買収はほぼ確実と考えてよさそうです。

果たしてAppleがCamel Audioの何を欲して買収したのかってとこからは噂になると思いますが、CDMの記事のコメ欄でも侃々諤々喧々囂々と推測が飛び交っている様子。
Alchemyは面白いと思うのだけど、特に全体的にサンプリング・レートが低めに聞こえてミックスの中で埋もれやすいので、扱いにくい部類のソフトだと個人的には思っています。一方で、

  • EG Time(特にAttack Time)がかなり細かく設定できる
  • パッチングがかなり自由に組める
  • XYパッドを通じたコントローラビリティが高い
  • iPadでのモバイルコントロールは(使ったことないけど)デザインが割り切れていて使いやすそう
  • Granular Synthesisをはじめとした合成/再生方式のバリエーションが多く、よく出来ている
  • かなり豊富なフィルターバリエーション

といった面で異彩を放っている印象もあります。アルペジエーターやシーケンサーもなかなか面白いインターフェイスだと思いますし。

何が起きる?

MainStage3.1とAutoSampler

MainStage3.1とAutoSampler

Redmaticaが閉鎖してAppleに買収された際にそのサンプリング素材の管理の仕組みが買われたのかと思いきや現状MainStage 3にAutoSamplerがちっちゃく組み込まれているだけってことを考えると、Camel Audioの技術力も同様そんなに大々的にAppleのソフトウェアに組み込まれないんじゃないかという気がしなくもないです。似たようなことをCDMのコメ欄でも見かけました。

以下、あくまでも憶測の範囲の駄文になりますが。直近のLogic Pro XのアップデートでRetro SynthのWaveTable部分が妙に注力されていて、そりゃ近年の音楽でNIのMassiveやXferのSerumに代表される登録波形型のシンセの使用頻度が高いのは事実ですけど、現状のRetro SynthのWaveTableじゃまだまだ実用レベルじゃない気がしたんですね。解像度の低いデジカメ写真という印象で。
ただ、その他のLogic Pro X追加機能(正直いずれも取ってつけた感がすさまじいですけど)に、珍しく今の音楽制作環境に食いつこうとする意気込みが滲んでることを考えると、Retro Synthと別のくくり、いわば兄弟分のくくりでProspective Synthとでも言うべき立ち位置の新しいシンセシスエンジンを組み込む可能性があると思いました。とはいえGranular Synthesisが注目されて頻用されていたのは既に4,5年くらい前だったと思いますし、その他のAdditive SynthesisもSpectral Synthesisもそんなに先進的ではありません(cf. 8 Ways To Turn Photographs Into Audio » Synthtopia)。PCMや物理モデリングによる再生方式の進歩はここで小休止とし、むしろLogicと同時にインストール済みのPCM素材をエコノミックに流用できる合成方式を取り入れるのもいいかもしれません。

8 Ways To Turn Photographs Into Audio

もう1つ、これももちろん憶測として考えてるのは、パッチングの自由さ(かなり見づらいけど)やXYパッドのコントローラビリティに見えるような、Camel AudioのUIデザイン能力に期待しているかもしれないなと。これはモバイルアプリケーションも含めて。AlchemyのUIはぱっと見わかりやすいとは言い難いですけど、それは合成方式が多彩過ぎるからってとこがあって、Granular SynthesisならGranular Synthesisで、Spectral SynthesisならSpectral Synthesisで、FilterならFilterで使用する操作子だけ見ればUIはわりあい合理的に整理されていると思います。Logic純正のES2のVector操作やSculptureのモーフィングコントロールの画面に比べたらずいぶんシステマチックに見えます(画面が大きいからか)。そうした操作系を現在のLogic Pro XのMIDIプラグインのように独立させ、Smart Controlのように’内部的には多少複雑なパッチ処理だけれどあたかも簡単操作に見える’ようなXYパッド、もしくはそれに類するものとして、Mac上のアプリまたはモバイルアプリの形で用意しようと企んでるのかなと思いました。

成果は数年がかりだろうか

いずれも憶測というか夢想みたいなもの。
Logic Pro Xのアップデートは出たばかりですし、Redmaticaが買収されてからAutoSamplerとして発見されるまで数年の隔たりがありましたし、Camel Audio買収の成果としてゆくゆく認められるものはそうすぐに現れないと思います。楽しみといえば楽しみですし、不安といえば不安ですね。そうこう言う間に買収のニュースも忘れちゃうかもしれませんし。
BTつながりでいうと、iZotopeのStutter EditもたしかBTの息がかかっていた気がします。次はいずれiZotopeが買収されたりしてね。Ozoneみたいなマスタリングスーイトが純正になったらオレ歓喜しそう。