Cycling ’74 と Ableton との相思相愛

Max等で知られるCycling ’74が、LiveのメーカーであるAbletonの子会社となる。

設立から今年20周年を迎えるCycling ’74は、言わずと知れた、Max/MSP, Jitter, Pluggoなどメディアアーティストに欠かせないDSPソフトウェアを提供/保守してきたメーカー。
一時はVisionやOMSで知られるOpcode Systems社がMaxを扱ったが、Opcode社もその後Gibsonに買われ無くなった。
近年、Max for Liveの形でAbletonと互いに技術を支援したり煽ったりしてきたのだが、このたびAbletonがCycling ’74を子会社化し、オーナーシップを取ることになったと発表されている。

Abletonのニュースリリースは次の通り。

You may know Cycling ‘74 as the developers of Max – the visual programming language for music and multimedia, as well as the platform on which Max for Live devices and instruments are made. Ableton and Cycling ‘74 have been working together for a long time – in fact, back in the late ‘90s, some Max-based programming even served as proof of concept for what would become Live.

Now in 2017, the two companies have agreed to enter into a new partnership with Cycling ‘74 remaining a separate and independently run entity, wholly owned by Ableton. Ableton’s investment in Cycling ‘74’s unique product vision will see Max development continue indefinitely while creating an exciting opportunity to join forces in the spirit of shared research, exploration and innovation.

Gerhard Behles and David Zicarelli – CEOs of Ableton and Cycling ‘74, respectively – gave an interview at CDM that paints a fuller picture of how the acquisition came about and our two companies’ visions for the future.

Read the interview here.

For you, the customer, everything will remain the same: Live and Max for Live licenses will continue to be administered by Ableton. And if you own Max, you will continue to have a licensing agreement with Cycling ‘74 and be looked after for support, sales and everything else by exactly the same team at Cycling ‘74.

ユーザーにとって、事務的な部分で今までと変わることは何もない。
Cycling ’74はCycling ’74として名を残し、ライセンス管理も各社で行う(つまり、MaxだけほしいのにLiveまで買うなどする必要はおそらくない)。
友好的に思想や経験、研究を共有し、ソフトウェアの構造面においての連携も深まると考えられる。
コンピューティング・デバイスが浸透していく現況を見て、音楽や音響、メディアに対してメーカーがどうコミットしてゆけばよいかを共に考える間柄になるといえそう。

そもそもAbleton Liveは当初からMax無しにはあり得なかったと語られる。
とすれば、Liveの売りともいえる、他に類を見ないレスポンスの速さは、Maxのもたらした恩恵の一つかもしれない。
1/1000のズレがノリを台無しにする音楽の世界で、そのレスポンスの確実さは、ライブパフォーマンスを手軽かつ安定して支えてくれる。信頼性充分なシロモノだと思う。

現在LiveにはIntro, Standard, Suiteという3つのエディション(グレード)があって、Max for LiveはSuiteにのみ付属する。
LiveとMaxがより密になるということは、かつてMaxがMSPなしでいられなくなったように、LiveとMax for Liveも神経レベルで結合し分割しにくくなるのではないか。
近い1,2年でLiveにDAWとしての大きな変化があるとはあまり思わないが、これからの入門者向けのエディションに明示的にMaxが付属してくることはないにしても、コントローラビリティや音響処理のバリエーションの面でMaxによってさらに強くサポートされていく可能性がありそうだ。

他のDAWとの連携や、モバイル上のサウンドアプリケーションとの連携の面でずいぶん先を進んでいる感のあるLiveは、これを期にさらに骨太で洗練された存在になっていくかもしれない。