逆 KeyFollow の鍵盤のこと

鍵盤上がっていくにつれ音程が下がるという逆 KeyFollow 設定は今じゃ当たり前にできますが、当初は驚きをもって迎えられたもんです。ただ使う場面がなかなかない。

40代以上の方ならJoe Zawinul(ジョー・ザヴィヌル)がWeather ReportのBlack Marketという曲でこの設定でメロディを奏でているのを見たことあるんじゃないでしょうか。
僕が初めてこの映像を見たとき、単に映像を左右反転させただけと思いこんでたもんです。

面白いことするなあとしか思わず、この理由なんぞ考えたこともなかったんですが、コメ欄を見ると説明があって…

CribNotes 5 years ago
Zawinul was a great believer in each finger having its own individual personality and identity. He used to play scales using one finger at a time. The reverse keyboard was an extension of that idea of independence and breaking from traditional boundaries and philosophies. Could he have written such an odd an beautiful melody on a standard keyboard?

訳:ザヴィヌルは指一本ずつが独立人格を有していると信じていて、一本ずつの指でスケールを奏でるようにしていた(訳注:単に当時モノフォニックだったせいだと思うが)。反転キーボードは固有性の考え方の延長、あるいは古典的な理屈からの脱却である。ふつうの鍵盤で果たしてあんなメロディを作り得ただろうか。

んー、そうかな…?と。
国内の記事も探してみたら、島村楽器公式ブログに少し

これはわたくしの勝手な想像ですが、習慣(指癖)で平凡なフレージングになるのを回避するためだったのではないでしょうか。

想像かーい。
で、追跡して調べたらSound on Sound誌に自身で述べた言葉が見つかりました。

“The ARP was great. I still play it today. It was the first keyboard that could be inverted, in other words, when your hands go up, you’re sounding down. It’s a mirror system where C remains C, D flat becomes B, D becomes B flat, and so on. When you play chords with this, you have to have a good brain. What’s good about it is that you get different ideas. Weather Report’s ‘Black Market’ was played on an inverted keyboard. Check it out.”

訳:ARPはね、すごいんだよ。今でも弾いてる。反転…そう、鍵盤を上がるにつれて音程が下がるようにできる初のキーボードなんだ。CはCなのに、D♭はBにDはB♭にと、鏡写しになる。コードなんか弾いてごらん、頭の体操になるよ。何がいいって別な発想ができることなんだ。Weather ReportのBlack Marketで反転キーボードを弾いてみたから聞いてみて。

同様にボタンアコーディオンの奇っ怪な音程配置に刺激を受けたと語られています。
Youtubeのコメント欄で言ってるindependenceってのは、ドラマーの演奏なんかで右腕左腕右脚左脚がそれぞれ全く別の内容を演奏することを指すように、指それぞれが「自律」を持つみたいなことを言いたかったんかなと思います。もっとも、コメ欄の方の仰ってることが的確であるならばですが。
ともあれ、モノを使うORモノに使われるっていう論点の1つ外側、つまり楽器に使われることで刺激を受け成長する自分ってのを認識してたわけで、つくづくただ音楽が楽しいってモチベーションだけで活動していた人ではないんだなと思わされますね。