「EQの使い方」(概訳)

この間ポロッと話していた記事を簡単に。2001年の記事でした。


USING EQUALISATIONUSING EQUALISATION:Published in SOS August 2001(アーカイブ)

(Technique : Effects / Processing)

ポール・ホワイトとマイク・シニアが語るイコライジング実践法。これは楽器や人間の声の実際の周波数帯域を理解した上で行なう手法である。

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色々なイコライザーの違いを好きなように理解してもらって、状況に応じて最適な処理を選択していけばいいのだけれども、イコライザーを使うことっていうのは、相応しいユニットを単に選ぶ以上に大変なことなのだ。今月は、音楽プロダクションにおけるイコライザーテクニックについて掘り下げていってみようと思う。

楽音をイコライジングしていく中で最初の難関は、どの帯域がその音色の特徴を形成しているかを判断していくこと。キックのアタック部分を強調したいときにどこをブーストするかとか、ギターの音がもったりしてるときにどこをカットしたら効果的かなど。

Pitch & Frequency(ピッチと周波数)

これらを判断する上で役立つことの一つが、それぞれの音程の基音にあたる周波数を知ること。これによってまず、音程のついた楽器が奏でる周波数の帯域下限を見定めることができるようになる。図1に示されているのは一般によく使われる楽器の音域で、それぞれの基音を周波数と関連づけて示したもの。これを見るとたとえばバイオリンの150Hz以下の帯域をEQでいじっても何ら変化がないことがわかるだろう。大体の場合、基音を下回る帯域を増幅させたところで、もともと目立たなかったノイズが増幅されるだけなのだ。事実、用の無い低い帯域をハイパスでカットするのは、ミックス時にその望まぬノイズによって他のパートが聞こえにくくなってしまうのを防ぐ効果があるのだ。

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そのピッチに対応した周波数を知っておくと、ハムノイズなど本来の音色に不必要なピッチを除去するにも役立つ。自国のハム周波数を知っておけば(UKだと50Hz)、50Hzの基音部分や、目立ったその倍音などをピークノッチでカットすることができる。こうしたケースで覚えておくといいのは、実世界の楽音がたいてい聞き取れるレベルの倍音を有していて、それが基音の倍数の周波数で鳴っていること。なのでハムノイズがどうしても気になるなんて場合には100Hz, 150Hz, 200Hzもついでにカットしてみるといい(そうはいっても、ひどいハムは複数のフィルターをもってしてもやすやすとは処理し切れない。というのは、EQノッチは元の楽音にダメージを与えないように狭めにするので。この場合、専用のデジタルノイズ除去デバイスのほうがうまくいくと思われるし、副作用も少なくできるだろう)。

同様のEQテクニックは噪音(打楽器音)の音程成分を強調する際にも用いられる。これがサウンドにパンチを加えるのに役立つことを発見したプロデューサーがいたのだ。この仕掛けは、楽器がどのピッチを一番強く発しているかを見定め、当該ノートの基音や倍音をブーストする為に極めてQのキツいフィルターを配置する必要がある。

Exploring Instrumental Timbres(楽器の特性を探る)

図1の表からは、EQの使い方を学ぶにあたって限定された実践法しか得られない。通常メインと考えるべきEQの周波数に関連する音程ではなく、特定の箇所でブーストしたりカットすることで起こる音の変化なのだ。そしてそれを効率よく学ぶには音を鳴らしながらEQユニットやプラグインをいじること。

音色を特徴づける周波数を特定するのに一番簡単な方法は、EQのQの値を3もしくは4に設定してピークを上げ、各帯域をブーストしつつスウィープさせて音を聞き確かめていくこと。これにより特定の場所のピークを抑えることができるようになり、EQのイン/アウトを切り替えてその箇所でブーストさせた効果を感覚的にとらえる。異なったソースで少し練習して、それぞれの音の特徴をつかめるようになるべきだろう。

異なった楽器の異なったEQ特性を感得する為のガイドとして、この記事に載せた囲み記事をチェックしてもらいたい。一般的な様々な商業音楽での同じ楽器で周波数のバランスを比較したものなので、自分がレコーディングに対してどの帯域を調整すべきかなんてときに参照してもらえればお役に立てるだろう。

The Drumkit

BASS DRUM

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バスドラのパンチの聞いた部分は80〜100Hz。AC/DCのBack In Black, Britney SpearsのBaby One More Timeなんかの力強いキックはこの帯域に比重が置かれている。ここより下は聞くというより感ずると言ったほうがよくて、やり過ぎになりやすい。James BrownのI Got You (I Feel Good), Stevie WonderのSir Dukeのような暖かみのあるキックの音は200〜300Hz辺りに重点がある。小さなスピーカーでもキックの音がしっかり聞こえるようにするために2.5〜6kHz辺りを持ち上げておけば多くの場合ビーターの当たる音が強調される。James BrownのイカれたシングルAll About My Girlのバスドラのアタック音で試すといいだろう(訳注:同曲はバスドラが終始刻んでいるが目立たないので実験台にちょうどいいという意味)。

SNARE DRUM

スネアの音の太さは120〜400Hz辺りにある。さっき言及したAC/DCやBritney Spearsの例だとどちらもこの辺りの帯域がパワフルだ。Guns & RosesのSweet Child Of Minみたいなもったりした音は800Hz〜1.2kHz辺りにエネルギーが集中していて、またBob MarleyのGet Up Stand Upを始めとしたレゲエトラックで聞けるスネアのカーンというリンギング音はここより上の2〜4kHzのところにある。アタックの瞬間のはじけるようなサウンドは4〜8kHzのところにあることが多く、Sister SledgeのWe Are Familyはスネアのどっしり感よりもこのはじける音の帯域を強調している。

TOM-TOMS

フロアタムは100Hz前後に集中しており、ラックタムは同様に300Hzくらいまでの範囲で反応が見られる。Sir Dukeのタムはこの帯域にブーストされた特徴が見受けられる。タムの鳴りや質感は1〜3kHzにある。Iggy PopのLust For Life, BeatlesのThe Endのドラムソロで顕著だ。Iggy Popの例ではタムのアタック感は4〜8kHz辺りで際立っている。

CYMBALS

シンバルは高い周波数帯域に関連が深く、100Hz〜300Hzの辺りをブーストするとライドやハイハットのスティックで叩いた感じが強調される。DonovanのMellow Yellowがわかりやすい。クラッシュやライドのジャラジャラ感は1〜6kHz辺りにあって、Led ZeppelinのRock & Rollがわかりやすい。MetallicaのEnter SandmanやMichael JacsonのBillie Jeanなんかで聞けるシンバルのチリチリした感じは8〜12kHz辺りで強調される。

Strings & Brass

STRING SECTIONS

200〜300Hzの帯域に、The BeatlesのEleanor RigbyやThe Rolling StonesのAs Tears Go Byのようなストリングスセクションの厚みや特徴がある。中域の音色のほとんどが演奏の強さに依存しており一般化して言うことはできない。ただ、The BeatlesのYesterdayのように高域で7.5〜10kHzを強調するとボウイングノイズが聞こえるようになるし、Massive AttackのUnfinished Sympathyのように規模の大きな、かつスムースなストリングスサウンドを得たいのであればこの辺りをカットしてやるといい。

BRASS SECTIONS

200と400Hzの間をブースとすると、ブラスセクションの録音時には温もりのある音が録れる。DonovanのMellow Yellowがこの辺りの特徴が目立っている。Aretha FranklinのRespectのようにもっとピリッとしたサウンドにするのであれば1〜3.5kHz辺り、Stevie WonderのSir Dukeのギラギラしたブラスサウンドはこれより高い帯域にあってだいたい6〜8kHz。Swing Out SisterのBreakoutもビリビリした音はこれに加えて8〜12kHzにあの甲高さが見られる。

SOLO TRUMPET & SAX

The KinksのDead End Streetのトランペットの暖かいサウンドは200〜400Hzの辺りにエネルギーを有している。James BrownのI Got You (I Feel Good)の暖かいサックスソロも同様。他方、The Stereo MCのConnectedは対照的にこの辺りを欠いていて1〜3kHzの鼻にかかるようなところにブーストがある。Dire StraitのYour Latest Trickのソロは6〜8kHzで明るさをアピールしている。Touch & GoのWould Youは8〜11kHzに高いエネルギーを有していて耳に痛いほどの甲高さだ。

2つ目のルールは、処理結果がゴミゴミしたものになるのを避けるためにEQブーストよりもEQカットを活用した方がよいということ。

自然な結果にするならEQブーストは控え目がよい。だけどナローバンドでのカットは、求める音にもっと近くなる。ただ実際、シングルピークのフィルターの最大の値でカットしても充分ではなくて、2つ目のシングルピークフィルターで同じ帯域をさらにカットなんてこともする。このとき、言っておかなきゃいけないのは、2段がけすると、ブーストした場合と同様にEQ回路のインターナルヘッドルームに衝撃を与えてしまうのだ。なので安いEQだとこんな感じでEQ2段がけをすると予期せぬ音になってしまう。

先月のイコライザー解説を見たら、フィルターが中心帯域以外にも影響していたね。特定の周波数にキツいノッチをかけたら近縁の帯域も下がったって場合には、キツ目のQで近縁の帯域を持ち上げて相殺してやるといい。

いい具合に調整できてきたらバイパススイッチを使って原音と聞き比べよう。ミックスダウンの段でEQ調整をしているのなら、くだんの音をSolo状態にして確かめるよりも、ミックス状態で鳴らしながらEQの効果を確かめたいと思うだろう。つまり、個別に音が際立つように調整してもミックスの段に至っては意味が無いのだ。ベースが仮にすごく生々しくレコーディングされていてもミックスされれば消えてしまう。

Guitars & Basses

ACOUSTIC GUITARS

The BeatlesのYesterdayのように80〜120Hzを持ち上げると重量感が出る。一方、NirvanaのPollyのように200〜300Hzを持ち上げるとよりブーミーになる。後者の曲は2〜5kHzを持ち上げた場合の好例でもあり、リズムギターをかき鳴らした際のクッキリした感じが出ている。The JamのThat’s Entertainmentに見られる1〜1.5kHz辺りはやや鼻にかかった感じの音になり、5〜10kHzを強調するとスチール弦のガチャガチャした部分が出てくる。Natalie ImbrugliaのTomがわかりやすい例だ。

ELECTRIC GUITARS

エレキギターの方法論はそれら自身にあって、音のバランスはスタイルによって極端に異なる。心に留めておくといいのは2,3の点。1つはギターの基音よりさらに低いところにハムなどのノイズがかすかにあるということ。なので80Hz以下はカットしておいたほうがいい。MetallicaのEnter Sandmanで聞こえるギターのように、大体のギターは125〜250Hzをブーストすると音の温かみが出てくる。もう1つ注意すべきは、ほとんどのギターキャビネットは4kHzから急激に周波数がなくなっていて、クリスピーさを強調するには3〜5kHzをブースとしてやるといい。NirvanaのSmells Like Teen Spiritの前半、Chuck BerryのJohnny B Goodeのように。この帯域より上のどこをブーストしてもノイズが増えるので、Guns & RosesのSweet Child Of Mineのようなビキビキした音にしたいならエンハンサーを使用するのも手だ。

BASSES

ベースは80〜100Hz当たりに中核があって、Shania TwainのStill The Oneのようなポップバラードだとこの帯域でパンチ感を出している。もっとくっきりした暖かみを与えるなら100〜300Hzを持ち上げるとよい。極端な例としては、The BeatlesのCome Together、Bob MarleyのI Shot The Sheriff、アップライトベースだとBen E KingのStand By Meなどだ。ゴワゴワ感を出さずにアタックを強めるならば500〜1500Hzがいい。The TemptationsのPapa Was A Rolling StoneやThe StranglerのPeachesがフレッテッドベースでこの帯域を持ち上げている。Paul SimonのGracelandやThe CureのLovecatsはフレットレスやアップライトベースがそれぞれフィーチャーされている。NirvanaのLounge ActやRed Hot Chili PeppersのGive It Awayのように弦やフレットのガチャガチャした感じを強調するには2〜5kHzをブースト。Lou ReedのWalk On The Wild Sideみたいにアップライトベースの弦のノイズや空気の振動感を追求するならば2kHz辺りからのハイシェルフのブーストが効果的だろう。

Vocals

ボーカルは基音の周波数を持ち上げるとすぐにブーミーになってしまう。RadioheadのExit Music (For A Film)やPrinceのPeachは試しにそんな処理をしている。破裂音やハンドリングノイズは100Hz以下をカットすると軽減される。ボーカルの声色に対する副作用もあるのでバランスは考慮に入れておこう。

鼻にかかった感じは1〜3kHz辺りにある。明るさを出すには4〜5kHz。この辺りを残して他を全部カットすると、White TownのYour WomanやSpaceのThe Female Of The Speciesみたいないわゆる電話声になる。

7〜12kHz辺りは、Sheryl CrowのIf It Makes You HappyとかSealのKiss From A Roseのバッキングボーカルみたいな摩擦音やブレスノイズを強調する。16〜18kHzはボーカルに引き締まった感じを与える。The Radioheadのボーカルはブーミーではあるけれどもこの辺りの帯域に大量のエネルギーをおいている。Shania TwainのStill The Oneのボイスも高域にエネルギーを大量に持たせたものであるけれども、ポップボーカルにありがちな聴覚心理的なエンハンスを期したものである。

Setting EQ Gain

色んな楽器の特徴的な帯域を知っておくのは便利なことだけれども、実際の信号に対してそうした情報をどう使えば効果的かっていうことを本当は知りたいだろう。まあ、初めは音の問題を整理するのになるべく少ないEQを試してみるといい。上質のイコライザーが手元にないのであれば。

どんな処理であれ、信号経路上のコンポーネントは音を劣化させているわけで、病気であるよりは治療をってんじゃないけれども、ハードウェアにせよソフトウェアにせよたくさんのEQを使える境遇であるならば、ミックス時のごちゃごちゃした音のままどうこうするよりは、きちんと音をケアしてあげるに越したことはない。

色んなEQを試すにあたって、そのそれぞれの音は設定が一緒でもほんの少し違うし、同じ信号に対しても、別々のモデルであれば別々の反応をすることがわかるだろう。デジタルEQとアナログEQの違いで考えるといい。良質のアナログEQは信号を通過させると良い位相の変化をもたらし、ほんの少しのブーストでも目立った変化が起きる。一方デジタルEQは位相の変化をほとんど起こさないように設計されているので大きくいじっても変化が目立たない。

Equalisation Or Enhancement? (均質化するのか、強調するのか)

初心者がおかしがちな過ちで、もともと鈍い音の高域をがっつり上げて明るくしようというのがあるのだが、これにはノイズを増幅させギラギラ感が増す以上の効果はない。イコライザーに関する無知に起因する。イコライザーはそこに存在する高域をブーストすることしかできない。高域の無い人工的なサウンドだとか、鈍い音のアンプでバンド幅の狭いスピーカーを経て演奏されたFender Rhodesの音など、高域にはノイズや干渉材料ばかりなわけで、高域をブーストしたところでいい成果は得られないのだ。

こうした場合、音響心理に基づいたエンハンサーっていうのがよい結果をもたらす。エンハンサーは存在しているオリジナルの信号をコンプやフィルター、ディストーションなどで加工して原音に新たな倍音を加えるもの。産生された倍音は元の信号由来なので、聴覚はそれを本物ととらえ、音の一部ととらえるのだ。エンハンサーは、ざらつきや耳障りな結果になるのを避けるため、節約しながら使う必要がある。EQでは対処し切れない部分をどうにかするためにね。

Loudness & Distance

多くのミュージシャンは、特にあなたがサブミックスをイコライジングしている時やミックスを完成させる時に、イコライザーがオーディオ信号のラウドネスに影響を与えるということを実感していない。これは、耳で感ずる音量が周波数によって違うからだ。図2は、周波数(Hz)に対して音の強さ(dB SPL)が一定だと感じるレベルを示したもの。たとえば1kHzを100dB SPLで鳴らすのは100Hzを103dBで鳴らすのと同じで、1kHzを50dB SPLで鳴らすのは100kHzを60dB SPLで鳴らすのと同じ。各曲線で一番低くなっている箇所が聴覚の最も敏感なところであり、やたら低い周波数ややたら高い周波数よりも中域のほうが明らかに敏感に聞こえているというのがわかる。脳がそうした状況をうまく補正していることは実感されていないけれども。

ラウドネス曲線において大事なのは聴覚は音の強さによっても異なるということ。受容される効果はリスニングレベルの高低によって極めて異なってくるものだろうから、EQをかける時は実際の音量でモニターすることが大事だということを意味する。耳は音量が大きいほど高い/低い周波数に一層敏感になるという事実は、(あとで)。なので、小さい音量で大きな音に聞こえさせたいなら、両端の帯域をブーストすると効果的なのだ。hi-fiなシステムについているラウドネススイッチを音にしたときに起きることと同じ。再生環境でのグライコがしばしばスマイルカーブの形状になっている理由でもある。

他、EQを使った聴覚心理的な効果として、距離感を操作することが可能だ。これは低域よりも高域のほうが弱く伝わるからだ。音源が近ければ無視していいのだけど、遠くから伝わってくる音は高域が鈍くなる。なので、高域を削ってやると遠くから聞こえてくるように聞こえる。この手法はリードボーカルをバッキングボーカルに埋もれさせることなくMix上手前に持ってくる際によく使われる。バッキングボーカルは10kHz辺りを少しカットして、メインボーカルは同じ帯域を少し持ち上げるのだ。

Mixing With EQ

等ラウドネス曲線
等ラウドネス曲線

ミックスの段に至ると、イコライゼーションというのは2つの大事な働きを持っている。1つは自分の好みに応じて音色を調整することだけれども、これはレコーディングのプロセスで大概なされる。2つ目は聞こえてほしいものが聞こえてくれるように調整すること。これは、レコーディングされた音から不要な帯域を削ることであり、大事な帯域だけが残って聞きやすくなるのだ。特定のトラックにハイパスやローパスをかませて不要なノイズやハムを除去することだったり、あるいは個々のチャンネルに対して少しずつカットやブーストなどを必要とすることもある。何をどうしたらよいかという落としどころは、トラックがどのように構成されているのが妥当かという辺りを考えるとよいだろう。

ギターやシンセパッドの低域を残すのはゴロゴロしてしまうのでお勧めしない。そうした音から低域をごそっと排除するだけで音はさっぱりとして、そうすることにより重要な低音担当楽器だとかキックだとかがクッキリ際立ってくるのだ。

同じように、目立つ必要の無い音は高域を少し削ってやると、本当に目立たせたい音とケンカしなくて済む。シェルフEQで行なうといいし、もっと極端にやりたいならキツめのローパスで対処してやるといい。とりわけバッキングのギターのパートに効果的で、これをすることで(メインの)ギターが際立ち、また他の楽器のためにスペースを残すことにもなる。

ざっくり言って、エレキギターやシンセはもともと自然な音ではないし、いじってミックスに馴染むように調整しちゃっていい。特定の帯域をハデにEQかけても別段問題はなく、むしろレゾナンスが際立ってしまっていてもそれは音の特徴なわけだから。

最後になるけれども、ステレオミックスってのは、ミックスダウン時のEQにおいてちょっとした混乱を呼ぶということを指摘しておこう。EQのようにパンニングも音の分離をよくする方法なのだけれども、再生環境がモノラルっていう状況はまだ多々あって、そうした環境ではあなたのミックスはパンニングによる恩恵を損なってしまったり、時には音が混濁してしまったりする。そういったわけで、ボロが出ないように、自分のトラックをステレオ環境だけじゃなくモノラル環境でもチェックしておくのがいいだろう。

Practice Makes Perfect (向上には実践あるのみ)

EQの使い方に絶対的な指標はないけれども、ここに記したアドバイスはきっとあなたの訳に立つだろう。使い込めば、録音時に自分の欲する音を得る為だけでなく、より精錬されたミックスを作り上げる為にみっちりと付き合っていくこともできるのだ。


言うまでもないことですけど10年前のチュートリアルが役に立つのか立たないのかっていうのは読み手次第だと思います。それと、この手の話題が好きな方はEQing and Plugins – Avid Audio Forumsも読んでみるといいかもしれません。