Toontrack “Session Organ EKX”

そろそろToontrackから何か出そうだなと思ってたら出ました。
見た通りですけど、いわゆるハモンドをEZkeys 2フォーマットとして収録したSession Organ EKX。

Introductionを見る限り、音の鳴らし方や音色の格納状態、MIDI周りの仕様がLogic ProのB3にかなり近い。
異なるとしたら内部ピアノロールの三段表示、ビブラートの上下段分離、ドローバー状態のスクリーン表示、ロータリースピーカーのカスタマイズ(材質、ステレオ調整)不可って辺り。
もちろんBandmate含むMIDIグルーブは有り難い。これについてはまた下に書きます。

EKXシリーズの仕様に基づき、一貫性が保たれてる点に正直言って驚いています。
EKXの名を掲げるだけに数々の鍵盤楽器(シンセ含む)を想定した仕様を初期段階で固めていたはずで、かといって一度に幾つものエクスパンションを出せるわけでもありませんから、最初にリリースされたピアノがユーザーにとって少々冗長な仕様に映ってしまってた点は否定できません。だけど、限りなく絶妙な落とし所に落とし込んでいたと個人的には思います(それでも冗長に見える部分にユーザーが納得できるかが、売れる/売れないの分岐点になるはずだけど、よく持ち堪えた)。

J-Pop中心の作風だとオルガンの出番はほぼありませんが、仮にオルガンを曲に入れ込もうとすると…

  • 最大3段分のMIDIトラック
  • その3段分をまとめてコントロールするエクスプレッション
  • 場面に応じたドローバーの調整やレズリーのコントロール
  • スピード感に合ったグリッサンド
  • リックを弾くノートのデュレーションの調整(ex. キークリックを故意に鳴らしてノートを粒立たせるため、ノートのオーバーラップを無くす)

と、実はやることが猛烈に多い。ギターの打ち込み並み。
無視していい要素ももちろん多々ありますけどね。
そういう面で、先に記したEKXのMIDIグルーブの存在がかなりでかい。

NFRをいただけることになってますが未入手なので、MIDIグルーブの充実具合は現段階では不明。
その他、使い勝手面などなどNFRをチェックし終えたら、改めて本記事に追記しようと思います。

追記240215

起動直後の感触としては非常に良い。
特に出音の距離感(特に低音)、高域のピッチ感、ロータリー加速/減速時の帯域別の速度差、あとロータリーでのドライブ、以上の4点が、これまで幾つかオルガンの音源を聞いた中ではダントツで良い。
もちろんミックス内で映えるかとなると別問題で、この部分でEZMixの導入を迫られる面があるようにも思います。iZotopeにしてもsonibleにしてもオルガンは守備範囲外だと思われるので雑に扱われる可能性があります…。
LogicのB3も非常にいいんですが、この製品のように鍵盤全体が見えてるほうが状態の把握がしやすくて個人的には好き。特にプリセットキー、ロータリー、エクスプレッションの状態。

グリッサンドはMIDIグルーブ内にそこそこの量で収録されています。
フレーズはオルガンの音色にかなり左右されます。元来この製品シリーズに収録されたフレーズは、既存曲からのインスパイアが多く、特に本製品においては原曲を知らないとフレーズの活用が難しい気はしますね。

細かい部分として。プリセットキーの内容は、本製品のプリセットで共通しています。カスタマイズ可能かどうかはちょっと調べてみる必要があるかも。

ソフト音源 「EKX - SESSION ORGAN」 | SONICWIRE
ソフト音源 「EKX – SESSION ORGAN」 | SONICWIRE

追記 5:00PM

上図のように、この2箇所がカスタマイズ用なのと、仮にC〜Aのファクトリーレジストレーションをいじったままプリセットを保存すると、いじったプリセットが上の2箇所に保存される仕組みとのこと。
大元のハモンドがそういう仕組みかもしれない(ソフトウェア楽器の自由度に慣らされてしまった自分)。

以前記したように、オルガンの鍵盤を強めに弾いて指を離したときにリバウンドで再度クリック音が鳴ってしまうリアリティは本製品にも備わっていません。MIDIグルーブにもそのような内容は見受けられないため、MIDIグルーブがノートタイミングやデュレーション的にばらつきがあってリアリティがあるといっても、やはりMIDIキーボードでそれらしく弾いたものを収録したに過ぎないのでしょう。