どうってことない記事ですが。
なかなかちょうどいい ゲートリバーブ がないので作ることにしました。
初期状態
とりあえずこのように打ち込みました。
知っている人もいるとは思いますけど、チャンネルストリップ設定を読み込むときにセンドのチェックを外しておくとDrum Kit DesignerのProducer Kitを1個のチャンネルに読み込めますね。ミキサーが混み合うのを避けました。
Space DesignerのSynthesized IRでゲートリバーブを作る
センド先にSpace Designerを挿してLengthを適度な長さに設定したあとは、Volume EnvとFilter Env、Density Env同士の絡みを設定していきます。
まずVolume Envを適度な長さに設定したら、Filter Envを後回しにしてDensity Envを決めちゃいます。
Volume Envのリリース(ここではDecay)はほんの少し余韻を残しておいたほうが雰囲気が出ますね。
Density Envは反射音の密度を設定するもので、少しレトロ感を出したいのでサスティン(ここではEnd Density)を88%程度に抑えて粗さを作ってます。
Filter Envはなかなか思い通りにいかない曲者で、派手な設定値にするとエフェクティブな音になりますが、ここではデフォルトのLP 6dBを使い、高域が減衰するようにしてます。少々紛らわしいのはシンセのEGでいうリリースがSpace DesignerだとDecayとEnd Level/End Filterの兼ね合いになるってところ(FMシンセ等でそういう設計はある)、いざリバーブでこの調整をしてみると辻褄合わせるのが案外しんどい。
あと細かいところで注意したいのが下段、低域の広がり感をHaas効果的に実現するLo Spreadで、Volume Envの前に処理されるためVolume Envのアタックタイムとの兼ね合い次第で片chに偏って聞こえる場合があるところ(ピンポンディレイのフィードバック値等でそういう設計はある)。
調整
もう少し鈍さを出したいので以前も使ったPhat FXをSpace Designerのあとに挿します。
そんなに変わりませんが。
パーツ分けようぜ
キックやスネア、ハイハットとシンバルといったパーツごとにゲートリバーブへのセンド値を変えたいってときは、複製して、各トラックにトラックインスペクタで音域制限かけた上でTrack Stackにまとめちゃう手もあります。
原則、同じ音色のトラックを増やしてもメモリに大きな影響はない(はず)のでわりと僕は常套手段として使ってます。
ノイズゲートだと雰囲気が出ないのはなぜか
ゲートリバーブというからにはリバーブにノイズゲートかければいいと思いがちですが、それはうまくいかない。
何故かというと、ゲートが解けた瞬間に、切ったはずのリバーブが復活しちゃうから。
つまりリバーブの動作に対してゲートが「おい、やめろ」って止めてくれたらいいのだけど、一個のエフェクターの動作に別のエフェクターが干渉するってのは現段階じゃどのDAWでもほぼ不可能(bitwigなら可能?)なわけで、じゃあ、ゲートリバーブをかけるためだけに新しくリバーブを買う? それはイヤだよねってことで、今回この手法を紹介してみた次第です。
Synthwave、Retrowave辺りのトラックにはゲートリバーブが有効ですしね。
もちろんSpace DesignerなどのコンボリューションリバーブにもゲートのIRデータが用意されているのですが、今のLogicはバス上のエフェクトの設定を探すのが若干不便なのと、そもそも使いたい感じのゲートリバーブがないのです。
ここで取り上げたのとやや類似する方法としては、Alchemy辺りで1秒位の長さのステレオのPink Noiseを作って、それをIRデータとしてSpace Designerに突っ込めます。が、ムラが出ない(お蔭でいくぶんミックスしやすくはなりますが、音のふくよかさが無くなってしまいます)。
一時期、純正のEnVerbをゲートリバーブ代わりに用いてた時期がありました。これもしかし根本的に求めるニュアンスとは音の形が違って、どうしてもんかと思ってました。
リバーブの質
蛇足ながら、あのリバーブが良い、このリバーブが良いって話がありますね。
仕事であんな曲もこんな曲も作らなきゃいけないって場面が多いからか、一定レベル以上の製品はおおむね「使い分け」と考えるに至ってます。
僕の場合の判断基準は、素の音と混ざり過ぎず分離し過ぎない定位と位相のばらつき、距離と反射度を演出するゆらぎ、それと減衰の形状で、今のところ万能と感じるものはありません。コンボリューションリバーブはゆらぎにくいので自然とセンド量が多くなり、音壁気味の曲には使いにくいですし。
しょうがないから手持ちのいずれかのリバーブで妥協するって具合。