Logicに備わっている ビートマッピング 機能の説明です。
そんなに使わなそうな機能だからいいんじゃないの?と思いつつも、たびたび当サイトの検索語句の記録に表れるので、この機会にまとめておきます。
オーディオデータからビートマッピングを作る
こういうテンポの揺れたオーディオデータがあったとします。
これをプロジェクトに貼り付けます。
この状態では特に何もできないのだけど、プロジェクトオーディオウィンドウで当該のオーディオファイルまたはリージョンを選び、メニューから「Flex 編集用にオーディオを解析」させるとビートマッピングのレーンに青い線が表示されます(ビートマッピングのレーンには、そのときにメインウィンドウで選択したリージョンが表示されますんで、おかしいな、何も表示されてない、って人はリージョンを選び直してあげましょう)。
小節や拍の線とこの青線(Flex)とをクリックホールド&ドラッグで連結してあげると、それが合致するようにテンポチェンジが挿入される仕組みになっています。
オーディオトラックがFlex有効になっているとFlexの二重がけみたいな状態になっちゃいますんで、オーディオトラック(またはオーディオリージョン)のFlexはリージョンインスペクタでOffにしないといけません。
🔔 あとちなみに以前も書きましたが、Flexが効いている状態のオーディオリージョンを右クリックして表れるメニューで「新規サンプラートラックに変換」しても、サンプラートラックにはFlexが効いていない状態でスライスしたオーディオデータが登録されてしまうので注意です。
どうしてもそれをやりたい場合は、Flexが利いたトラックを「リージョンを所定の場所に」(bounce in place)で正規化してから行います。
この動作はAbleton Liveも同様で、いったんトラックフリーズなどさせてからSamplerに放り込んだほうが安全です。ただし、Ableton Liveはトラックフリーズさせると何故か他のDAWと違って音質が若干劣化するので注意。
ビートマッピングさせることで結びついた線を消すには消しゴムでドラッグするのがいちばん確実。
都合のいい位置にFlexマーカーがない場合
ビートマッピングのレーン上の+や-ボタンでFlex検出の感度を調整できますが、それでも都合のいい位置にFlexマーカーが現れない場合には人力でマーカーを操作します。
メインウィンドウ上で行うとワケわからなくなりますので、オーディオ・ファイル・エディタのウィンドウ内で行うのがいいです。
MIDIデータで ビートマッピング を作る
クリックなしでリアルタイム録音したMIDIデータからテンポを作りたい場合。
先ほどの「MIDIを保護」のチェックを外した上で、同様にMIDIリージョンを選んで小節や拍の線とMIDIノートを連結してあげます。
テンポ操作
ついでなので、こちらもまたたびたび検索語句の記録が残るテンポ管理について。
テンポチェンジ等はビートマッピングと同じようにグローバルトラック(俗にいうコンダクタトラック)のテンポでも入力したりできますし、リストウィンドウのテンポタブ内でも編集できます。
それぞれメニュー内容が少し異なっていて、注目したいのはいずれにも備わるテンポリストの複数セット管理機能。ふつうに曲を作る分には必要ないと思うのですが、たまには思い出してあげるとよいでしょう。
グローバルトラックのテンポで「スナップ」、テンポリストのメニューで「粒度」となっているのはたぶん同一の機能を指すと思われます。
テンポの操作についてはリタルダンドやアッチェレランド、ランダマイズを作るためのテンポオペレーションがあります。
けっこうわかりにくいので、たぶん試したほうが早いです。
あとは、特定のリージョン長に合わせてテンポを調整する機能もなかなか有用です。
オリジナルの録音テンポは邪魔
AppleLoopsを取り込んだときや、既存のオーディオデータをプロジェクトに取り込んだあと、たとえばプロジェクトのBPMを変更しつつオーディオクオンタイズをかけたり、ピッチの変更をするとプロジェクト内のデータと不整合が起きたり思うようにいかなくなることがあります。
AppleLoopsを活用したいときや、テンポの揺れる曲をキー変更して採譜したいときにもどかしいですね。
いったん「リージョンを所定の場所に」バウンスすることでも一応問題を解決できるのですが、著しくサウンドのクオリティが落ちてしまいます。
こういうときは次の操作を途中でいちど挟むといいです。
手順によっては完全に思い通りの状態にすることが難しいかもしれませんが、ネックとなっている「オリジナルの録音テンポを削除」することで妙な制約がなくなります。