iZotope “Iris 2”

とある曲の表現上どうしてもシンセでもPCMでもない雰囲気が欲しくて、既に所有していた Irisを曲に投入したのだけれど、今ひとつビビッと来なかったので iZotope Iris 2にアップデートして導入してみました。
ここのところ iZotope製品のレビューばかりになってアレだけど、順番ってことで。

iZotope Iris 2: Virtual Instrument & Sample-based Synthesizer

iZotope “Iris 2” 仕組み

先代にあたるIris 1は、そのリリース時、多少グロい出で立ちが衝撃を与えたもんです。
声紋分析などでよく見るスペクトログラム、これは縦方向を周波数、横方向を時間経過、濃淡を音の強さとして示すことで音の変化を視覚的に感じられるようにしたもので、これに対して言わば穴を開けた紙を上から被せることで、一定の領域の音は透過、それ以外の領域の音を遮断するようになっています。
ここまでは再三引き合いに出す MetaSynthの ImageFilterに類似しているのだけれど、生成された音がサンプリング音のように鍵盤の音程に従って再生されるところが醍醐味。
iZotope Iris 2は Iris 1の後継ではあるが作り直しに近いらしいです。

似たような仕組みを持ったものに 2CAudioの Aetherがありました。

2CAudio “Aether”

Iris 2での改良点と所感

パッチの激増、ビジュアルの若干の変更、グライド(ポルタメント)の追加、オシレーターソースの追加、モジュレーションやEGなど操作子の追加と整理、ユニークなマスターフィルターの追加がなされています。
あと地味に、Mix画面やパッチ画面などが子ウィンドウにセパレートされる改善点も。

<a href="https://www.izotope.com/en/products/create-and-design/iris.html">iZotope Iris 2</a>の子ウィンドウ

iZotope Iris 2の子ウィンドウ

Iris 1がアンビエント比重高めだったのに比べると、Iris 2は少しEDM比重が高まったかも。
とはいえEDM向けの自由でアグレッシブなサウンドメイキングが可能になったかというとそうでもないようで。
EDMに限った話でもないのだけど、Iris 2になってもなおスペクトログラム画面のエディット機能は弱い印象があるし、オシレーターソースが追加になったとはいえそれらを加工するエフェクター機能が充実しているとも言い難い。

フィルター画像の編集能力に乏しさあり

メインとなるフィルターのエディットについて言えば、ある程度の画像編集ができそうな画面なのに範囲選択の機能だけというのは、やはり物足りなく感じます。
画像からオーディオを生成するソフトではなく、あくまでフィルターとして動作するものだともう一度釘を刺しておきますが、それでもせめてコントラストの上げ下げや、スケーリング、タイリングくらいは欲しいところ。
すこぶるBPMの遅いアンビエントやかつてのトリップホップっぽいサウンドだと、フィルターの変化速度が印象を左右しやすいので、フィルターのスケーリングができないと手間がかかっちゃいますよね。
サンプルソースの音源の尺を伸ばして再度取り込んでやれば可能にはなるのだけど、これって、そのソフト内で処理できていないわけで、外部のソフトを使って再取り込みすることは珍しいことでもないしそれを厭う気もないんですが、プラグイン動作である長所を活かせていないと思うのですよ。
願わくば、ウィンドウ内で最も大きな面積を占めているスペクトログラムとそのフィルターレイヤーを編集する機能をもっとダイナミックに充実してもらいたい。

なお、Iris 2のライブラリーを全てダウンロードしきるのには時間がかかる上、分割されているためどこまでダウンロードを済ませたかはわかりにくいです。
ディスクの容量も結構食ってしまうので、暇でしょうがないときに行うのがいいんじゃないでしょうか。

操作性 ★★★☆☆
レスポンス ★★★☆☆
音質 ★★★★☆