AudioThing “Fog Convolver 2”

愛用者が多かったらしい AudioThing のクリエイティブなコンボリューションリバーブが Fog Convolver 2 にバージョンアップ。

念のためコンボリューションリバーブについて簡単に説明すると、特定の空間でパチンと衝撃音を鳴らすと、衝撃音は全帯域にほぼ均等に分布する特徴があるため、結果的に空間特有の響き(または構造の欠陥)を一瞬でキャプチャできますよと。このキャプチャを、たとえば楽器演奏に対してあてがうと、あたかもその楽器をその空間で鳴らしたような響きになります、というもの。記録する手法やキャプチャしたものを通称 IR (インパルス・レスポンス)といい、これをあてがうことをコンボリューションといいます。当初はサンプリングリバーブ、アコースティックインパルスなどとも言われました。
限りなく正確であるとされているものの、あくまで景色を写真に撮るように結果のみを収めたもので、たとえば常に毎回完全に同一のIRが得られるのかとか、「限りなく」の部分に実は「不気味の谷」みたいなキモがあるのではと素朴な疑問が残ります。

ざくっとデモ版を試してみた感じ、いわゆるリバーブ代わりに使うには(プリセットとしては)実用的な素材が少なく、手持ちでIRデータ(エンコードされてないもの)があるならば、この実験音楽的で豊富な加工機能を使って楽しめそう。どちらかというとレフトフィールドの産物に近い印象です。
IRデータは2種類を同時に使うことができ、画面右上のルーティング図を使って出力を指定できます。

目を引くポイントは2つ。
1つはパラメーター変更時の再計算時間が短いこと。大体の同様のリバーブは再計算にコンマ数秒の待ち時間が発生するのですが、曲中でコンボリューション用の素材を加工する機会が流石にほぼないとはいえ、ミックス時にたとえばリバーブタイムだけ調整したい、立ち上がりだけ弱めたいといった際に、つど音が詰まるストレスを感じてしまうものなのです。そこいくと再計算が早いぶん、もしかしたら粒度が落ちているのかもしれませんが、自分の音楽でそこまで粒度に執着がないのであれば、面白く使えるのではないでしょうか。
もう1つは、今回の売りと思われる、IRデータの生成。こちらは生成時間が多少かかるのと、正直アルゴリズミックリバーブでよいのではと思ったりもするのですが、何か人と違った独自の効果を得ようというのであれば有効に使えると思います。

情報

  • VST, VST3, AU, AAX, CLAP対応
  • macOS, Windows対応
  • 定価$69, イントロ価格$39